診療圏で出生した新生児の疾患の診断と治療を行います。依頼があれば24時間いつでも本院にある新生児専用の救急車で迎えに行き、搬送入院していただいています。また、遠方からはヘリコプター搬送でも受け入れています。
当センターは重症の呼吸循環管理の可能なNICUベッドを15床、後方支援のGCUベッドを20床保有します。極低出生体重児は年間60-100例入院し、良好な成績を挙げています。同時に当センターでは小児循環器のスタッフも充実していますので、先天性心疾患の児も年間約30〜50例入院し、新生児期に積極的に心臓カテーテル検査、カテーテル治療を行っています。その他、一酸化窒素(NO)吸入療法、脳低温療法、血液浄化法、体外式膜型人工肺(ECMO)等の高度先進医療にも積極的に取り組むとともに、カンガルーケアの実施、ファミリールームの設置、保育器内リハビリ、環境への配慮、臨床心理士の配置など母子の心理面、ソフト面での充実にも力を注いでいます。
- 症例数
最近5年間の入院数は360-420例/年です。極低出生体重児は60-100例で、このうち年間35-50人の超低出生体重児(出生体重1,000g未満)の入院があります。特にこの2〜3年は在胎25週未満の超低出生体重児や、出生体重300〜400g台の児の入院が急増しています。平均救命率は超低出生体重児約85%、出生体重1,000g以上1,500g未満約98%と良好な成績を収めています。
疾患別では呼吸窮迫症候群(RDS)は年間30例の入院があります。また在胎16〜23週で破水し羊水過多をきたした重症のdry lung syndromeの極低出生体重児6例に対して、一酸化窒素(NO)吸入療法を施行し、全例救命いたしました。胎便吸引症候群は約30例で、近年は減少傾向にあります。先天性心疾患は年間50-70例にもおよび、左心低形成症候群(HLHS)のような重症心疾患の児の受け入れも多く、兵庫県西部地域、広島県東部地域からも搬送入院されます。新生児外科疾患は年間10-20例、脳外科疾患は年間3-5例で、ともに新生児期に手術を行い、術前後の管理をNICU内で行っています。これら心臓、外科、脳外科疾患は近年胎児診断されることが多く、産科、外科系医師との相互連携により児の娩出、治療方針を決定しています。また先天性奇形症候群や染色体異常症の疑いのあるお子さんの出生もしくは胎児診断にあたっては、遺伝専門医の診察・カウンセリングを受けていただいております。
2008年実績
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2006年 |
2007年 |
2008年 |
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超低出生体重児(1,000g未満) |
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48例 |
35例 |
42例 |
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極低出生体重児(1,000g以上1,500g未満) |
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30例 |
25例 |
34例 |
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呼吸窮迫症候群 |
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37例 |
29例 |
72例 |
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新生児遷延性肺高血圧症 |
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17例 |
22例 |
14例 |
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先天性心疾患 |
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48例 |
69例 |
74例 |
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重症仮死 |
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11例 |
16例 |
15例 |
- 治療・技術
人工呼吸管理は年間60-90名に達します。新生児遷延性肺高血圧症(胎児循環遺残症)、横隔膜ヘルニア等の重症例に対する一酸化窒素(NO)吸入療法の実績は72例で国内有数の症例数です。体外式膜型人工肺(ECMO)も施行し、重症呼吸不全、心筋炎、心筋症などにも適応拡大を行っています。持続血液濾過透析(CHDF)、腹膜透析による腎不全の治療、重症感染時のポリミキシンB固相化カラム(PMX-DHP)によるエンドトキシン吸着、サイトカイン除去などの吸着式などの血液浄化法なども手がけています。近年注目を集めている重症仮死児に対する脳低温療法は、延べ80例に達します。
2008年実績
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2006年 |
2007年 |
2008年 |
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体外式膜型人工肺(ECMO) |
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4例 |
1例 |
1例 |
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一酸化窒素(NO)吸入 |
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15例 |
11例 |
7例 |
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持続血液濾過透析もしくは血液浄化 |
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2例 |
2例 |
2例 |
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脳低温療法 |
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8例 |
9例 |
8例 |
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人工呼吸管理(n - DPAPを除く) |
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119例 |
123例 |
135例 |
- 検査・装置・技術
エコー検査
NICU内に最新エコー診断装置を備えています。極低出生体重児では入院後1週間は毎日、心臓エコー検査と頭部エコー検査、腹部エコー検査を行い、未熟児動脈管開存症(PDA)や心疾患、脳室内出血、腎疾患などの有無や各臓器の血流評価を行い、できるだけ後遺症の少ない治療を心がけています。その後も1週間に2回以上は定期的にエコー検査を行い的確な診断と治療を行っています。
人工呼吸器
最新の人工呼吸器を設備しています。強制換気だけでなく、高頻度振幅換気(HFO)、患者同調性換気(Assist/Control、S-IMV)、吸気時間を可変させるflow termination、APRVなどの最新モードを備えています。またnasal CPAP換気装置を5台備え、抜管後の無呼吸予防・治療や、呼吸障害の児の症状が重症化する前の治療に努めています。
体外式膜型人工肺(ECMO)
平成15年より遠心ポンプ式ECMO装置を使用しておりましたが、平成16年からより低流量でのコントロールが可能なローラー・ポンプ式ECMO装置(特注)を、導入しました。NICUでの使用例は年間1-4例と現在国内屈指の使用数で、県外からの搬送も受け入れます。
一酸化窒素(NO)吸入療法
重度の新生児遷延性肺高血圧症PPHN(かつて胎児循環遺残症と言われていました)のお子さんや、先天性心疾患の術後の肺高血圧のお子さんの治療に威力を発揮します。当院NICUで行ったNO吸入療法の症例数は70例を越え、国内有数の実績を誇ります。
脳低温療法
重症仮死でお生まれになったお子さんに対して、頭部を選択的に冷却し予後の改善を図るものです。重症仮死でお生まれになっても生後早期であれば、予後の改善が期待できます。合併症も多い治療法ではありますが、当院では7年前から症例を積み重ね、ほとんど合併症を伴わない管理を行うことができるようになりました。これまでに70例以上の経験があり、これも国内有数の実績です。
持続血液濾過透析・血液浄化法
先天性腎疾患、腎不全だけでなくECMOとの併用で使用されます。また劇症型A群連鎖球菌感染症、先天性の肺炎球菌敗血症例では、PMX-DHP(ポリミキシンB固相化カラム)と併用することで、救命が難しい両疾患児の救命に成功しました。今後、PMMA膜の併用などによりサイトカイン除去に威力を発揮するものと思われます。
新生児呼吸機能測定装置
静肺・動肺の呼吸機能測定装置を導入し、患児の呼吸機能を的確に把握し、病態解析、診断、治療に役立てています。湿度測定器(Moiscope)も2台所有し、人工呼吸管理の精度を飛躍的に向上することができ、人工呼吸管理中の児の換気状態の安定を図ることができました。
気管支ファイバースコープ
φ1.8mm、φ2.3mmの細径気管支ファイバーにより呼吸管理をしながら、患児の気道を観察することがきるようになりました。また気道の出血や肉芽に対しては気管支ファイバー下の薬物治療も行っています。
心臓カテーテル検査
新生児の心臓カテーテル検査を年間10-20例行っており、カテーテル治療も積極的に行っています。早期に手術が必要な症例は岡山大学心臓外科に搬送し手術していただくとともに、同大学から心疾患術後の児の受け入れも行っています。
- 環境・その他
母乳栄養の促進
NICU入院のお子さんには、できるだけお母様の母乳だけがあげられるように、入院時からその旨を説明し配慮しています。
ご両親の面会
当院の設定した面会時間はありますが、当NICUではできる限りお子さんに面会できるように24時間面会を行っています。
ファミリールーム
退院前の親子にかかわりを深めるために、ご家族でゆっくり過ごせるお部屋を備えています。また長期の入院の場合、ファミリールームを利用してのご兄弟、祖父母の方々の面会を行っています。1か月以上NICUに入院し、近々の退院のないお子さんのご兄弟・祖父母の方が対象となります。感染症の持ち込みを防ぐために、ご兄弟の場合に問診と診察が必要です。
カンガルーケア
母(父)児分離をできるだけ少なくし、健全なる親子関係を構築するために全入院児を対象として積極的にカンガルーケアを実施しています。
Terminal care
上記のファミリールームを死期が迫った患者さんがご家族、親族の方々とゆっくり過ごしていただける部屋として使っています。そのための人工呼吸器のための配管、配線も整備しています。その際、祖父母、ご兄弟などの部屋への入室も許可しています。
リハビリテーション
小児専属の理学療法士により、保育器内から積極的にリハビリテーションを行っています。退院後もハイリスクの児については、理学療法士、作業療法士による継続フォローを行っています。また呼吸理学療法により無気肺の消失にも成果を挙げています。
臨床心理士
当院の臨床心理士によりNICU入院中のご両親、特にお母さんの悩みなどについてカウンセリングを行っておりましたが、平成17年4月よりNICU内に臨床心理士を配置し、NICU内をラウンドしてカウンセリングを行っています(平成20年11月よりNICU常勤)。これからのNICUにおいては、ご両親、特にお母さんの心理面でのサポートは不可欠と思っています。
臨床工学技士
当院NICUは最先端の高度先進医療を行っています。数々の新しい医療器械や最新の人工呼吸器の使用に際しての専門的な知識が必要です。また器械のメンテナンスにも専門性が要求されます。このためにNICUに臨床工学技士を配置し、これら最新医療器械の稼働時のサポート、メンテナンスを行っています。特に、体外式膜型人工肺、持続血液濾過透析などの最新医療機器使用時には欠くことのできない存在です。また疾患の重症化により人工呼吸器を付けたまま退院されるお子さんも増えています。退院後の在宅人工呼吸器のサポートも行っています。