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総合周産期母子医療センターNICUのご紹介

01概要

対象疾患


センター長 渡部晋一

新生児期(日齢28まで)に発生したあらゆる疾患を治療するセンターです。具体的には、低出生体重児(出生体重が2,500g未満)、呼吸障害、循環障害(先天性心疾患、不整脈その他)、新生児外科疾患、脳外科疾患、泌尿器科疾患、感染症、黄疸その他の治療を行っています。


診療圏

倉敷を中心とする岡山県南西部、広島県東部、兵庫県、時に鳥取県、島根県の産婦人科、小児科の先生方から依頼された新生児の入院を受け入れています。最近はこれらの地域からの母体搬送症例も増加しています。NICU入院の約半分は本院産科からの入院で、極低出生体重児(出生体重1,500g未満)の9割以上が母体搬送による院内出生です。

方針

診療圏で出生した新生児の疾患の診断と治療を行います。依頼があれば24時間いつでも本院にある新生児専用の救急車で迎えに行き、搬送入院していただいています。また、遠方からはヘリコプター搬送でも受け入れています。

特徴

当センターは重症の呼吸循環管理の可能なNICUベッドを21床、後方支援のGCUベッドを30床保有します。極低出生体重児(超低出生体重児を含む)は年間45-70例入院し、良好な成績を上げています。同時に当センターでは小児循環器のスタッフも充実していますので、先天性心疾患の児も年間約50-70例以上入院し、新生児期に積極的に心臓カテーテル検査、カテーテル治療を行っています。その他、一酸化窒素(NO)吸入療法、脳低温療法、血液浄化法、体外式膜型人工肺(ECMO)等の高度先進医療にも積極的に取り組むとともに、カンガルーケアの実施、ファミリールームの設置、保育器内リハビリ、環境への配慮、臨床心理士、NICU入院支援コーディネーターの配置など母子の心理面、ソフト面での充実にも力を注いでいます。

平成12年12月に岡山県で最初の総合周産期母子医療センターに指定されました。


02診療案内

症例数

最近5年間の入院数は510-599例/年です。極低出生体重児は45-70例で、このうち年間20-35人の超低出生体重児(出生体重1,000g未満)の入院があります。特にこの数年は在胎25週未満の超低出生体重児や、出生体重300~400g台の児の入院が急増しています。

疾患別では呼吸窮迫症候群(RDS)は年間60例以上の入院があります。先天性心疾患は年間60例以上で、左心低形成症候群(HLHS)のような重症心疾患の児の受け入れも多く、兵庫県西部地域、広島県東部地域からも搬送入院されます。新生児外科疾患は年間10-20例、脳外科疾患は年間約20例で、ともに新生児期に手術を行い、術前後の管理をNICU内で行っています。これら心臓、外科、脳外科疾患は近年胎児診断されることが多く、産科、外科系医師との相互連携により児の娩出、治療方針を決定しています。また、当院に遺伝診療部が設立されています。先天性奇形症候群や染色体異常症の疑いのあるお子さんの出生もしくは胎児診断にあたっては、遺伝専門医の診察・カウンセリングを受けていただきます。

2012年~2016年実績
  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
超低出生体重児(1,000g未満)
30例
28例
33例
32例
21例
極低出生体重児(1,000g以上1,500g未満)
22例
29例
35例
34例
24例
呼吸窮迫症候群
48例
57例
47例
36例
34例
新生児遷延性肺高血圧症
7例
8例
11例
7例
14例
先天性心疾患
52例
70例
37例
57例
61例
重症仮死
13例
14例
9例
8例
14例

治療・技術

人工呼吸管理は年間140例以上。新生児遷延性肺高血圧症(胎児循環遺残症)、横隔膜ヘルニア等の重症例に対する一酸化窒素(NO)吸入療法の実績は200例以上で国内有数の症例数です。体外式膜型人工肺(ECMO)も施行し、重症呼吸不全、心筋炎、心筋症などにも適応拡大を行っています。持続血液濾過透析(CHDF)、腹膜透析による腎不全の治療、重症感染時のポリミキシンB固相化カラム(PMX-DHP)によるエンドトキシン吸着、サイトカイン除去などの吸着式などの血液浄化法なども手がけています。近年注目を集めている重症仮死児に対する脳低温療法は100例に達します。

2012年~2016年実績
  2012年 2013年 2014年 2015年 2016年
体外式膜型人工肺(ECMO)
2例
0例
1例
0例
0例
一酸化窒素(NO)吸入
20例
16例
17例
20例
17例
持続血液濾過透析もしくは血液浄化
1例
3例
1例
0例
0例
脳低温療法
10例
12例
7例
5例
9例
人工呼吸管理(n - DPAPを除く)
140例
181例
160例
171例
140例

検査・装置・技術

エコー検査

NICU内に最新エコー診断装置を備えています。極低出生体重児では入院後1週間は毎日、心臓エコー検査と頭部エコー検査、腹部エコー検査を行い、未熟児動脈管開存症(PDA)や心疾患、脳室内出血、腎疾患などの有無や各臓器の血流評価を行い、できるだけ後遺症の少ない治療を心がけています。その後も1週間に2回以上は定期的にエコー検査を行い的確な診断と治療を行っています。

人工呼吸器

最新の人工呼吸器を設備しています。強制換気だけでなく、高頻度振幅換気(HFO)、患者同調性換気(Assist/Control、S-IMV)、吸気時間を可変させるflow termination、APRVなどの最新モードを備えています。またnasal CPAP換気装置を10台備え、抜管後の無呼吸予防・治療や、呼吸障害の児の症状が重症化する前の治療に努めています。

体外式膜型人工肺(ECMO)

平成15年より遠心ポンプ式ECMO装置を使用していましたが、平成16年からより低流量でのコントロールが可能なローラー・ポンプ式ECMO装置(特注)を、導入しました。NICUでは現在国内屈指の使用数で、県外からの搬送も受け入れます。

一酸化窒素(NO)吸入療法

重度の新生児遷延性肺高血圧症PPHN(かつて胎児循環遺残症といわれていました)のお子さんや、先天性心疾患の術後の肺高血圧のお子さんの治療に威力を発揮します。当院NICUで行ったNO吸入療法の症例数は200例を超え、国内有数の実績を誇ります。

脳低温療法

重症仮死でお生まれになったお子さんに対して、頭部を選択的に冷却し予後の改善を図るものです。重症仮死でお生まれになっても生後早期であれば、予後の改善が期待できます。合併症も多い治療法ではありますが、当院では8年前から症例を積み重ね、ほとんど合併症を伴わない管理を行うことができるようになりました。これまでに90例以上の経験があり、これも国内有数の実績です。

持続血液濾過透析・血液浄化法

先天性腎疾患、腎不全だけでなくECMOとの併用で使用されます。また劇症型A群連鎖球菌感染症、先天性の肺炎球菌敗血症例では、PMX-DHP(ポリミキシンB固相化カラム)と併用することで、救命が難しい両疾患児の救命に成功しました。今後、PMMA膜の併用などによりサイトカイン除去に威力を発揮するものと思われます。

新生児呼吸機能測定装置

静肺・動肺の呼吸機能測定装置を導入し、患児の呼吸機能を的確に把握し、病態解析、診断、治療に役立てています。湿度測定器(Moiscope)も2台所有し、人工呼吸管理の精度を飛躍的に向上することができ、人工呼吸管理中の児の換気状態の安定を図ることができました。

気管支ファイバースコープ

φ1.8mm、φ2.3mmの細径気管支ファイバーを計10本所有しており、呼吸管理をしながら、患児の気道を観察することがきるようになりました。また気道の出血や肉芽に対しては気管支ファイバー下の薬物治療も行っています。近年は、喉頭軟化症などの気道病変のお子さんにCPAPによる治療も積極的に行っています。そのための、気道外来を2014年8月から開設しました。

心臓カテーテル検査

新生児の心臓カテーテル検査を年間10-20例行っており、カテーテル治療も積極的に行っています。早期に手術が必要な症例は岡山大学心臓外科に搬送し手術していただくとともに、同大学から心疾患術後の児の受け入れも行っています。

環境・その他

母乳栄養の促進

NICU入院のお子さんには、できるだけお母さんの母乳だけがあげられるように、入院時からその旨を説明し配慮しています。

ご両親の面会

当院の設定した面会時間はありますが、当NICUではできる限りお子さんに面会できるように24時間面会を行っています。

ファミリールーム

退院前の親子にかかわりを深めるために、ご家族でゆっくり過ごせるお部屋を備えています。また長期の入院の場合、ファミリールームを利用してのご兄弟、祖父母の方々の面会を行っています。1か月以上NICUに入院し、近々の退院のないお子さんのご兄弟・祖父母の方が対象となります。感染症の持ち込みを防ぐために、ご兄弟の場合に問診と診察が必要です。

カンガルーケア

母(父)児分離をできるだけ少なくし、健全なる親子関係を構築するために全入院児を対象として積極的にカンガルーケアを実施しています。

Terminal care

上記のファミリールームを死期が迫った患者さんがご家族、親族の方々とゆっくり過ごしていただける部屋として使っています。そのための人工呼吸器のための配管、配線も整備しています。その際、祖父母、ご兄弟などの部屋への入室も許可しています。

リハビリテーション

小児専属の作業療法士、理学療法士により、保育器内から積極的にリハビリテーションを行っています。退院後もハイリスクの児については、理学療法士、作業療法士による継続フォローを行っています。また呼吸理学療法により無気肺の消失にも成果を上げています。

臨床心理士

当院の臨床心理士によりNICU入院中のご両親、特にお母さんの悩みなどについてカウンセリングを行っておりましたが、平成17年4月よりNICU内に専従の臨床心理士を配置し、NICU内をラウンドしてカウンセリングを行っています(平成20年11月より小児科・NICU常勤3名)。児の退院後も、臨床心理士によるサポートを得られます。また、児のフォローアップにおける発達検査、心理検査も行います。これからのNICUにおいては、ご両親、特にお母さんの心理面でのサポートは不可欠と思っています。

臨床工学技士

当院NICUは最先端の高度先進医療を行っています。数々の新しい医療器械や最新の人工呼吸器の使用に際しての専門的な知識が必要です。また器械のメンテナンスにも専門性が要求されます。このためにNICUに臨床工学技士を配置し、これら最新医療器械の稼働時のサポート、メンテナンスを行っています。特に、体外式膜型人工肺、持続血液濾過透析などの最新医療機器使用時には欠くことのできない存在です。また疾患の重症化により人工呼吸器を付けたまま退院されるお子さんも増えています。退院後の在宅人工呼吸器のサポートも行っています。

NICU入院支援コーディネーター

2010年10月より、医療社会福祉士を1名、NICU専従といたしました。NICU入院児の福祉全般に関する相談、助言、地域医療機関、行政との連携に関して援助しています。


03その他

施設認定

新生児集中治療ベッド(NICU)21床の認可を受けています。平成12年に総合周産期母子医療センターに指定され、MFICU(母体胎児集中治療室)も6床認可されています。

日本周産期新生児医学会新生児専門医制度暫定基幹施設(基幹、新生児専門医)に認定されました。

カンファレンスのご案内

NICU申し送りカンファレンス(毎日8:30、17:00)

NICU入院中のお子さんの経過の把握と治療・管理方法の決定を行います。

周産期カンファレンス(毎週水曜日 17:30~産科医師カンファレンスルームにて)

新生児グループの医師と産科医師による合同のカンファレンスです。NICUを退院した症例について母体の経過とNICU入院中の経過について、症例掲示、ディスカッションを行います。また現在待機中の胎児診断症例や早産の可能性のあるお子さんについてのディスカッションを行います。

NICU退院カンファレンス(毎週水曜日 18:00~)

前の週にNICUを退院されたお子さんの症例検討会です。入院中の問題点、退院後のフォローアップ(リハビリ、遺伝、外科など他科連携)について検討します。

患者さんの会

どんぐりの会(年4回、土曜日14:00~16:00)

本院NICUを退院した極低出生体重児(出生体重1,500g未満)のお子さんに対して、2歳から3歳の間に当院施設内に集まっていただき、いろいろな遊びを通して精神面や運動面の全体的な発達を促そうとする集まりです。小さいお子さんを持つご両親に対して、医師、栄養士、歯科衛生士からのアドバイスを行ったり、お互いにディスカッションを行いながら育児支援していく会です。アメリカでは既にearly intervention(早期介入)として行われており、日本でも少しずつ広まりつつあります。

スタッフは全員ボランティアで、小児科医師、NICU看護師、リハビリテーションセンターの理学療法士、作業療法士、保育士、看護学生、院内ボランティアスタッフなどから構成されています。また病院の理解も得られ、運営についての資金援助も受けています。この会はご両親が参加しやすいように、仕事が終わっている土曜日の午後に設定をしています。


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