心不全について

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心不全手帳

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心臓の働きについて

心臓は全身に血液を送り出すポンプの役目をしています。全身から帰ってきた血液を受け取って肺に送り出す右心系と、肺から帰ってきた血液を受け取って全身に送り出す左心系に分かれています。全身で酸素を使って右心系へ帰ってきた血液は肺で酸素を受け取り、左心系から再度全身へ酸素を供給します。

心不全とは

心臓のポンプとしての機能が障害された状態を心不全といいます。心臓の収縮力が弱くなったり、弁膜症があったり、不整脈があったり、原因はさまざまあります。心臓を取り巻く環境(高血圧、貧血、感染症等)の悪化から心臓に負担がかかることで起きる心不全もあります。症状が急速に出現・悪化したものを急性心不全、慢性的に症状があって日常生活に障害のあるものを慢性心不全といいます。

その他 薬剤 ホルモン異常 感染 など

心不全の症状

心不全の症状は全身に必要な血液が送り出せないことによる症状と血液が送り出せないために尿量が減り、水分が肺や身体に貯まることによる症状があります。

● 動悸がする
● 動くと息切れがする
● 血圧が低い
● 手足や顔にむくみが出る
● 体重が増える
● 横になると息苦しくなって寝られない(夜間起座呼吸)

急性心不全の治療

急性心不全は急な心臓の機能低下により息切れの症状が出現・増悪し、安静にしていても息苦しさがとれない状態となります。慢性心不全の方が急に症状が悪くなった場合も急性心不全の状態となります(慢性心不全急性増悪)。多くの場合、入院のうえ、安静、酸素吸入、数日間から数週間の点滴および内服による治療が必要となります。

慢性心不全の治療

慢性心不全は心臓の機能低下があり、状態や症状が安定している状態です。慢性心不全の経過は一般的に下図のように示されます。慢性心不全が急性増悪を繰り返すことにより心機能は徐々に低下していくと考えられ、心機能を保つため内服による治療継続が必要となります。

① 心不全の症状が出現し、心不全治療を開始する
② 心不全の初期治療により心機能がある一定状態で安定し持続する
③ 慢性心不全の急性憎悪・軽快を繰り返しながら徐々に心機能が低下する
④ 難治性心不全
⑤ 終末期緩和医療

心不全状態となると血圧や心収縮力を上げるため交感神経と、身体に水分を保持するためレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系とよばれるホルモン経路が活性化します。現在これらが心筋に過剰に作用することにより心機能の低下につながると考えられています。そのため心筋保護を目的として交感神経の抑制薬であるβ遮断薬とレニン・アンギオテンシン・アルドステロン系を抑制する薬剤(アンジオテンシン変換酵素阻害薬・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬・抗アルドステロン薬)が治療の2本柱となります。
虚血性心疾患や弁膜症、心房細動を含む不整脈、高血圧、感染症、貧血、睡眠時無呼吸など心機能低下の原因が有る場合はそれらの治療も必要となります。
その他、心不全の重症度に合わせて、夜間にマスクによる陽圧呼吸を行ったり、適度な負荷がかかる程度の運動リハビリ療法も必要です。
心不全と思われるような症状がある方は、まずは医療機関を受診して検査してもらいましょう。