- 婦人科
子宮頸癌検診の普及に伴い子宮頸癌の早期発見が増加しており、広汎性子宮全摘除術を必要とする進行子宮頸癌の症例は減少しています。したがって子宮頸癌については前癌状態あるいは初期子宮頸癌症例が増え、一方では手術療法が不可能な程度に進行した癌の2極化が進んでいます。妊孕力の温存が必要な初期の子宮頸癌では温存手術を取り入れています。子宮体癌は明らかに増加傾向にあります。不正出血に対しては積極的に子宮鏡検査を実施しています。いずれの子宮癌の場合も、精密検査、画像検査などで進行期を把握した上で手術方法を検討し、進行癌の場合は術前化学療法、自己貯血の準備なども考慮しています。術後病理検査の結果により、放射線療法、化学療法の追加療法の必要性を検討しています。
卵巣癌の治療成績は新しい抗癌剤の導入とそれらによる多剤化学療法、second debulking surgeryの組み合わせにより飛躍的に改善されてきています。症例数の多いT期、V期の5年生存率はそれぞれ100%、40%以上となっています。
婦人科悪性腫瘍ではterminal stageが他科の悪性疾患に比して長期間となります。QOLを考慮したterminal careに今後力を入れていく予定です。
かっては不可能であった子宮筋腫の薬物療法が可能となり、40歳代の症例を中心に外来治療を行う子宮筋腫症例は増加しており、手術が必要となる子宮筋腫症例は半分以下に激減しました。手術療法が必要な症例では経腟手術、腹腔鏡下経腟手術を第一選択とし、これらが不可能な場合に経腹手術を選択しています。妊孕力の温存を希望する手術必要症例では、MRI、子宮卵管造影などでの検討の後に筋腫核出術を行っていますが、術後の妊娠率は高いものがあります。
腹腔鏡下手術は吊り上げ法、気腹法の両法を症例により使い分けています。良性の卵巣腫瘍の腫瘍摘出術、子宮付属器摘出術、破裂前の子宮外妊娠手術の大部分は腹腔鏡下に行っています。これにより患者さんの侵襲は少なくなり、入院日数も短縮されます。
帝王切開術を除く年間の手術症例数は約500例(静脈麻酔下手術を除く)です。
多嚢胞性卵巣症候群、拒食性無月経、高プロラクチン血症などをはじめとする若年婦人の月経異常症例、ホルモン異常症例に対する治療は、長期間の対応が必要となります。また、更年期障害をはじめとして、高齢婦人の増加に伴い、骨塩量測定を行いながらのホルモン補充療法(HRT)など、女性の一生を通じての健康管理も大きな課題となっています。
- 産科
平成21年の分娩数は1,188例で、全国的な少産傾向にもかかわらず、当院での分娩数は増加傾向にあります。多様化する妊婦の分娩に対するニーズを取り入れていく姿勢が大切であろうと考えています。
当院ではあくまでも自然分娩を基本方針としており、医学的適応のない陣痛誘発、分娩促進はいっさい行っていません。毎回の妊婦健診では、医師の診察のほかに助産師による個別指導をあわせて行っています。妊娠経過中に前後4回の母親教室(土曜日午後)、2回の両親学級(水曜日夜)を開いています。また、産後の乳房外来、個別電話訪問を行うとともに、産後3か月目の褥婦を対象に「赤ちゃん同窓会」を開いており好評です。
正常分娩では妊婦の希望するバースプランを助産師が援助します。また、分娩直後のカンガルーケアも取り入れて好評です。産褥は産後1日目からの母児同室制で、母乳栄養を促進しています。
異常分娩については、近隣施設からの母体搬送を常時受け入れており、その数は年々増加の傾向にあります。重症合併症妊婦、胎児奇形をはじめとする胎児疾患、切迫早産、前期破水症例など、平成21年は約118例の母体搬送がありました。
当院の周産期母子センターは、総合周産期母子医療センターとして県の指定を受けています。産科のPICU(母体胎児集中治療管理室)6床が分娩部に設置されており、隣接したNICUでは超低出生体重児から極低出生体重児、低出生体重児、合併症を有する新生児の管理を行っています。小児科未熟児医療チームと分娩前からのカンファレンスで治療方針を検討しながら運営に当たっています。
- 不妊治療 不妊治療ホームページへ
専門の不妊外来を月曜日〜土曜日に開いています。挙児希望が主訴の患者さんでは、初回から不妊外来で診察を行っています。
不妊症では、まず系統的な検査によりその原因を追及し、適切な治療法を検討します。子宮鏡、腹腔鏡検査も積極的に取り入れています。当院では、排卵誘発などのホルモン治療、夫精子を用いた人工授精(AIH)などの一般的な不妊治療から体外受精、顕微受精、胚凍結保存までのあらゆる段階の不妊治療を行っており、その治療成績は全国的にも上位に位置するものです。卵管閉鎖症例では卵管鏡による卵管疎通治療を県内で初めて取り入れています。
一般的な不妊治療では妊娠が困難な症例では、体外受精などの生殖補助技術(ART)の適応となります。そのような症例のご夫婦を対象に「体外受精説明会」を定期的に開いています。ARTの具体的な治療方法、治療成績、副作用、費用などを充分に知ってもらったうえで、ARTに踏み切るか否かを相談しています。平成21年の体外受精治療は約200例で行われ、3割あまりの症例で臨床妊娠にいたりました。
泌尿器科不妊グループとの密接な連携は男性不妊治療には欠かすことはできません。これまで不可能と考えられていたKlinefelter syndromeなどによる無精子症症例でも、精巣内精子採取と体外受精の組み合わせにより妊娠、分娩に成功しています。
不妊に悩む症例では精神的なcareも必要です。採卵、胚移植などの操作を行う専用の治療スペースを婦人科病棟内に設けています。また、不妊外来に通院する患者さんの「悩みを語り合う会」を不定期ですが開催しています。
反復流産とは、妊娠はするものの流産を繰り返すものです。当院では反復流産に対しても系統的な検査を行っています。希望により、ご夫婦、流産絨毛の染色体検査も実施しています。それらの検査結果を踏まえて、子宮奇形に対する手術療法、抗リン脂質抗体症候群に対する薬物療法などを行います。