倉敷中央病院 総合周産期母子医療センター地域がん診療連携拠点病院災害拠点病院
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 眼科のご紹介

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概要

当科の診療圏は岡山県下、福山をはじめとする広島県東部、島根県や四国に及びます。
対象疾患は、白内障はもとより網膜硝子体疾患、黄斑疾患、糖尿病眼合併症、緑内障、眼外傷、角膜移植など、眼科疾患全般に及びます。手術は、白内障手術、硝子体手術、緑内障手術などを多く行っています。レーザー治療は、通常のレーザーのほか光力学的療法(PDT)のよる黄斑疾患の治療も行っています。当科は、従来から眼科の急性期病院、最終病院としての機能を担ってきました。緊急に処置を要する疾患に対応していること、他院からの紹介患者が多いこと、重症例が多いこと、総合病院の利点を生かして他科との協力のもとに全身疾患の合併例などを受け入れていることなどが特徴です。
なお、当科受診の際には紹介状を持って受診していただくことをお願いしています。

主任部長 岡田 守生

診療内容

  1. 新たな試み ‐血管内皮成長因子(VEGF)に対する抗体を用いた治療‐
  2. 近年、加齢黄斑変性などの眼内に異常血管が発生する疾患や黄斑浮腫に対して、血管新生を誘発する血管内皮成長因子(VEGF)に対する抗体(抗VEGF抗体)やそれに類する薬物を用いる治療が行われています。最近まで保険適用ではなかったため、当科では臨床研究として抗VEGF抗体(アバスチン)を用い、50例以上に治療を行ってきました。
    昨年から、保険適用薬剤(マクジェン、ルセンティス)が発売されましたので、加齢黄斑変性の治療に用いています。現在のところ、保険適用とされているのは加齢黄斑変性のみですので、これ以外の疾患、特発性脈絡膜新生血管、近視性脈絡膜新生血管、新生血管緑内障、黄斑浮腫に対してはこれまでのアバスチンを使った治療を続けてゆきます。

  3. 加齢黄斑変性に対する治療
  4. かつては西洋人に多くみられた加齢黄斑変性が日本でも急増していますが、その傾向は続いています。この病気は視力の中心である黄斑部に異常血管が発生し、そのために視力が著しく低下する疾患です。治療には通常のレーザー凝固術や硝子体手術が行われてきましたが、黄斑直下にある病変については通常のレーザー凝固を行うと黄斑網膜が傷害されるため、その適応や視力改善効果が限られていました。このような黄斑下の病変に対して開発されたのが光感受性薬剤であるベルテポルフィンと長波長レーザーを用いた「光線力学的治療(PDT)」です。2004年から保険適用となり当科でも精力的に治療を行ってきました。当科では現在まで300回以上の治療実績があります。本治療はすべての方に有効というわけではなく、効果も限定的ではありますが、従来の方法では治療困難であった症例でも視力が維持あるいは改善される可能性があります。
    さらに、先に述べた抗VEGF療法が有効なことが分かってきており、これらとPDTのコンビネーション治療が行われるようになってきました。

  5. 白内障
  6. 白内障は、加齢のほか外傷、アトピー性皮膚炎の眼症状、先天白内障などによって起こります。治療は手術ですが、現在ではほとんどの症例に小切開の自己閉鎖創を作成し超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術が行われています。当科の特徴として、白内障が進行して水晶体核が硬いため前述のような方法がとれない難症例、高齢あるいは全身疾患の合併があって術前術後の全身管理が難しいことが予想される症例、水晶体の支持組織が脆弱で術中合併症発生の可能性が高い症例など、難易度が高い白内障症例があげられます。また、他の眼疾患との合併例も多いため、他の手術(緑内障など)との同時手術も多く行っています。白内障単独手術の場合には、全身合併症がなく、術後の通院が可能な方には通院手術も行っていますが、術後経過観察のために比較的頻回の通院が必要です。
    2008年度の白内障手術件数は約1400件で、2009年度は約1550件でした。

  7. 裂孔原性網膜剥離
  8. 裂孔原性網膜剥離の治療は手術治療ですが、いわゆる経強膜法と硝子体手術による方法を症例ごとの病状によって使い分けています。経強膜法は強膜側から凝固針によって網膜裂孔を凝固した後、剥離網膜下の液を強膜側から眼外に排出し、シリコンスポンジを強膜に縫い付けることによって裂孔に対応する部分の眼球壁を眼内に向かって突出させます。この処置によって網膜裂孔を含む剥離網膜を眼球内壁に密着させて裂孔閉鎖を行います。硝子体手術による方法は、硝子体を完全に切除したのち眼内を空気に置き換え、網膜裂孔をレーザー光凝固あるいは眼外から冷凍凝固します。術後は凝固部位が瘢痕化するまでの間、俯き姿勢をとるようにします。硝子体手術機械と手技の進歩により、最近は網膜剥離手術に占める硝子体手術の割合が次第に増加しています。
    2008年度の裂孔原性網膜剥離の手術は99件で、2009年度は111件でした。

    網膜剥離手術の成績(2006年度、2007年度)

    2006年度と2007年度の最終復位率は99%でした。図1に各年度の術前術後視力(術後視力の調査時点は、術後1年以内)を示します。ほとんどの症例で術後視力改善を得ています。

    図1:網膜剥離術前術後視力:2006年度、2007年度

  9. 硝子体手術
  10. 硝子体手術は、眼内の硝子体を切除し、硝子体腔や網膜などの病変を治療する手術です。
    裂孔原性網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前線維症、黄斑浮腫、膜静脈閉塞症、加齢黄斑変性、黄斑下出血、眼球の外傷や眼内異物などの治療を行います。
    2008年度の硝子体手術件数は216件で、2009年度は280件でした。

    特発性黄斑円孔

    特発性黄斑円孔は、特に誘引なく黄斑部網膜に円孔が形成され視力が低下する疾患です。
    現在では硝子体手術によって治療すると黄斑円孔を閉鎖することができます。
    2008年度の黄斑円孔の手術件数は39件で、2009年度は47件でした。

    黄斑円孔の手術成績(2006年度、2007年度)

    2006年度と2007年度の初回手術による黄斑円孔閉鎖率は94.9%で、近年は円孔閉鎖率が100%近くなっています。図2に各年度の術前術後視力(術後視力の調査時点は、術後1年以内)を示します。1年以内の経過観察でも、ほとんどの症例で術後視力改善を得ています。

    図2:特発性黄斑円孔術前術後視力:2006年度、2007年度
    黄斑前線維症

    黄斑前線維症は、黄斑部の網膜上に線維膜が発生し、これが網膜を牽引して網膜皺襞が形成される疾患です。網膜の皺のため変視症と視力低下が起こりますが、硝子体手術によってこの線維膜を除去することで視機能が改善します。
    2008年度の黄斑前線維症の手術は14件で、2009年度は25件でした。

    黄斑前線維症の手術成績(2006年度、2007年度)

    黄斑前線維症の手術件数は、2006年度が23件、2007年度が23件でした。
    図3に各年度の症例ごとの術前術後視力(術後視力の調査時点は、術後1年以内)を示します。

    図3:黄斑前線維症術前術後視力:2006年度、2007年度

  11. 糖尿病網膜症
  12. 糖尿病網膜症は、以前は後天失明原因の第1位でしたが、近年、緑内障に1位の座を譲り、2位となりました。しかし、依然として視力障害を来たす主要な疾患であることに変わりありません。糖尿病網膜症は糖尿病の罹病期間が長くなるほど病期が進み、適切な時期に適切な治療を行わないと視力予後が不良となるので、継続的な経過観察が必要です。網膜症が増殖期に進行してゆく場合は網膜レーザー光凝固を行います。増殖期になり硝子体出血が起こったり、牽引性網膜剥離が起こった場合には、いたずらに自然経過にまかせると予後不良となるので適切な時期に硝子体手術を施行することが大切です。また、糖尿病黄斑症による視力低下は薬物療法やレーザー治療では改善しないことも多く、その場合には硝子体手術が有効な場合があり、手術を行っています。
    2008年度の糖尿病網膜症に対する手術は46件で、2009年度は89件でした。

    糖尿病網膜症に対する硝子体手術の成績(2006年度、2007年度)

    糖尿病網膜症に対する硝子体手術件数は、2006年度が30件、2007年度が37件でした。図4に各年度の術前術後視力(調査時点は、術後1年以内)を示します。
    約70%の症例で術後視力が0.3以上となり、40〜50%の症例で術後視力が0.5以上となりました。

    図4:糖尿病網膜症術前術後視力:2006年度、2007年度

  13. 緑内障
  14. 緑内障は高眼圧によって視神経が傷害され、視野が狭窄してゆく疾患と定義されますが、最近では眼圧がいわゆる正常範囲(21mmHg以下)にあるにもかかわらず緑内障的な視神経乳頭の変化と視野狭窄を示す症例が少なくないことが注目され、これを正常眼圧緑内障として緑内障の一種と考えるようになっています。緑内障による視野狭窄は不可逆性なので、通常の緑内障はもとよりこの正常眼圧緑内障に対しても、視野狭窄が進行しない程度にまで眼圧を降下させることを治療の目標とします。
    緑内障は隅角の状態によって閉塞隅角緑内障、開放隅角緑内障に分類し、また他疾患に付随して起こってくるものを続発緑内障として区別していますが、これはそれぞれの病型によって治療法が異なるからです。原発閉塞隅角緑内障は、まず隅角を広げるために虹彩切開術を行うことが一般的でしたが、最近では隅角を広げる目的で白内障手術を行うことも提唱されています。その後、十分な眼圧下降が得られない場合は、眼圧降下剤の点眼やその他の緑内障手術を選択します。原発開放隅角緑内障では、眼圧降下剤の点眼による保存的治療がはじめに選択されるのが通常です。保存的治療で十分な眼圧降下が得られない場合、房水流出路手術(トラベクロトミー)や房水濾過手術(トラベクレクトミーなど)を行います。続発緑内障に対しては、原因疾患の治療によって眼圧降下が得られる場合は、眼圧降下剤を使用しつつ原疾患の治療を行います。十分な眼圧降下が得られない場合は、上記術式や毛様体レーザー凝固術などの術式から、病状に最適な術式を選択して行います。
    緑内障治療の目的は、視野狭窄を進行させないことですので、そのためには眼圧が適正に維持されているかを経過観察することが大切です。どの程度の眼圧が適切であるかは病状の進行度合いによって異なり、緑内障が進行すればするほど、その視野を維持するためには眼圧を低く保たなければなりません。このような考え方から、視野狭窄を進行させないための眼圧レベルを視野の状況によって設定する「目標眼圧」という概念が提唱されています。しかし、視野狭窄が進行するかしないかはその人ごとに異なりますので、一律に目標眼圧のみを指標とするだけでは不十分で、やはり視野検査を定期的に行うことが不可欠です。当科では緑内障専門外来を設け、緑内障の方の経過観察を行っています。また、病状が安定している場合には、他院の経過観察を依頼しています。その上で、必要な検査のみを定期的にお受けすることを行っています。
    2008年度の緑内障手術件数は127件で、2009年度は102件でした。

    主な緑内障手術の成績(2006年度、2007年度)

    トラベクロトミーは、2006年度が75件、2007年度が64件でした。図5に各年度のトラベクロトミーの術前術後眼圧(調査時点は、術後1年以内)を示します。
    トラベクレクトミーは、2006年度が22件、2007年度が24件でした。図6に各年度のトラベクレクトミーの術前術後眼圧(調査時点は、術後1年以内)を示します。

    図5:トラベクロトミー術前術後眼圧:2006年度、2007年度

    図6:トラベクレクトミー術前術後眼圧:2006年度、2007年度

  15. 未熟児網膜症
  16. 未熟児の入院が増加傾向で、特に超未熟児の割合が増えています。これに伴い、重症の未熟児網膜症も多くなりました。網膜症が進行し、ダイオードレーザーによる網膜光凝固の施行が必要な症例もあり、2009年度は4例にレーザー光凝固を行いました。

  17. 角膜移植
  18. 国内の提供角膜は依然、慢性的に不足しています。2009年度は角膜移植がありませんでした。

  19. その他の疾患
  20. 手術以外の目的で入院治療を行っている疾患には、視神経炎、ぶどう膜炎、眼窩蜂窩織炎、重症角膜感染症、眼内炎などがあります。


その他

  1. 施設認定
    • 日本眼科学会専門医制度研修施設
    • 岡山県アイバンク協力医療機関
    • 眼球登録取扱病院

  2. カンファレンスのご案内
  3. 倉敷眼科臨床懇話会

    開催日:3・6・9・12月の第2木曜日、19:00〜21:00、第5会議室
    内 容:紹介患者の経過報告と教育講演

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