倉敷中央病院 総合周産期母子医療センター地域がん診療連携拠点病院災害拠点病院
Last Update 2010.9.2
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 眼科のご紹介

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概要

診療圏は岡山県下はもとより広島県東部や四国にも及びます、当科では、白内障、緑内障、網膜硝子体疾患をはじめとして糖尿病眼合併症、眼外傷、角膜移植など、眼科疾患全般を対象としています。従来より当科は眼科の急性期病院、最終病院としての機能を担っており、緊急に処置を要する疾患に対して迅速に対応していること、他院からの紹介患者が多いこと、重症例が多いこと、総合病院の利点を生かして、他科との協力をもとに全身疾患の合併例や幼児の患者も受け入れていることなどが特徴です。

主任部長 岡田 守生

診療内容

  1. ●新しい治療―加齢黄斑変性症に対する光線力学療法
  2. かつては西洋人に多くみられた加齢黄斑変性症が日本でも急増しています。本症は視力の中心である黄斑部に異常血管が発生し,そのために視力が著しく低下する疾患です。本症の治療にはレーザーや硝子体手術がありますが、これまでは黄斑網膜下にある病変については通常のレーザー治療を行うと黄斑網膜が障害されるため、その適応や視力改善効果が限られていました。このような黄斑下の病変に対して開発されたのが、ベルテポルフィンと長波長レーザーを用いた「光線力学的治療(PDT)」です。アメリカ、日本ですでに治験が終了し今春から保険適応となりましたので、当院でも治療を開始します。本治療は、すべての方に有効と言うわけではなく、効果も限定的ではありますが、従来の方法では治療困難であった症例でも視力が維持あるいは改善される可能性があります。

  3. 白内障
  4. ほとんどの症例に、小切開の自己閉鎖創を作成し超音波乳化吸引術と眼内レンズ挿入術を行う無縫合手術を用いています。また、当科の特徴としては、白内障が進行して水晶体核が硬いため前述のような方法がとれない難症例、高齢あるいは全身疾患の合併があって術前術後の全身管理が難しい事が予想される症例、水晶体の支持組織が脆弱で術中合併症発生の可能性が高い症例、他院での白内障手術で合併症が起こりその治療が必要な症例など、難易度が高い白内障症例を多く治療しています。また、他の眼疾患との合併例も多いため、他の手術(緑内障など)との同時手術も多く行っています。白内障単独手術の場合には、全身合併症がなく、術後頻回の通院が可能な方には通院手術も行っています。2003年の白内障手術件数は約1300件でした。

  5. 緑内障
  6. 緑内障は高眼圧によって視神経が障害され、視野が狭窄してゆく疾患と定義されますが、最近では眼圧がいわゆる正常範囲(21mmHg以下)にあるにもかかわらず緑内障的な視神経乳頭の変化と視野狭窄を示す症例が少なからずある事が注目され、これを正常眼圧緑内障として緑内障の一種と考えるようになっています。緑内障による視野狭窄は不可逆性なので、通常の緑内障はもとよりこの正常眼圧緑内障に対しても、視野狭窄が進行しない程度にまで眼圧を下降させる事を治療の目標とします。

    緑内障は隅角の状態によって閉塞隅角緑内障、開放隅角緑内障に分類し、また他疾患に付随して起こってくるものを続発緑内障として区別していますが、これはそれぞれの病型によって治療方針が異なるからです。原発閉塞隅角緑内障は、まず隅角をひろげるためのレーザー虹彩切開術あるいは周辺虹彩切除術が治療の第一選択となります。その後十分な眼圧降下が得られない場合は、眼圧降下剤の点眼やその他の緑内障手術を選択します。原発開放隅角緑内障では、眼圧降下剤の点眼による保存的治療がはじめに選択されるのが通常です。保存的治療で十分な眼圧降下が得られない場合、房水流出路手術(トラベクロトミー)や房水濾過手術(トラベクレクトミーなど)を行います。続発緑内障に対しては、原疾患の治療によって眼圧降下が得られる場合は、眼圧降下剤を使用しつつ原疾患の治療を行います。十分な眼圧降下が得られない場合は、上記手術や毛様体レーザー凝固術などの手術術式から、その症例に最適な術式を選択して行います。

    緑内障治療の目的は、視野狭窄を進行させないことですので、そのためには眼圧が適正に維持されているかを経過観察する事が大切です。どの程度の眼圧が適切であるかは病状の進行度合いによって異なり、緑内障が進行すればするほど、その視野を維持するためには眼圧を低く保たなければなりません。このような考え方から、視野狭窄を進行させないための眼圧レベルを視野の状況によって設定する「目標眼圧」という概念が提唱されています。しかし、視野狭窄が進行するかしないかは症例毎に異なりますので、一律に目標眼圧のみを指標とするだけでは不十分で、やはり視野検査を定期的に行うことが不可欠です。当科では緑内障専門外来を設け、緑内障の方の経過観察を行っています。また、病状が比較的安定している場合は、他院に経過観察を依頼し必要な検査のみを定期的にお受けする事もしています。

    2003年の緑内障に関する手術は129件で、トラベクロトミー55件、トラベクレクトミー35件、その他39件でした。図1にトラベクロトミーの、図2にトラベクレクトミーの術前眼圧と、最近の術後眼圧を示します。

    図1 トラベクロトミーの術前術後眼圧
    図2 トラベクレクトミーの術前術後眼圧

  7. 裂孔原性網膜剥離
  8. 裂孔原性網膜剥離はいわゆる経強膜法と硝子体手術による方法を、症例毎の病状によって適切に使い分けています。経強膜法は強膜側から凝固針によって網膜裂孔を凝固した後、剥離網膜下の液を強膜側から眼外に排出し、シリコンスポンジを強膜に縫い付ける事によって裂孔に対応する部分の眼球壁を眼内に向かって突出させます。この処置によって網膜裂孔を含む剥離網膜を眼球内壁に密着させて裂孔閉鎖を行います。硝子体手術による方法は、硝子体を完全に切除したのち眼内を空気におきかえ、網膜裂孔をレーザー光凝固あるいは眼外から冷凍凝固します。術後は凝固部位が瘢痕化するまでの間、俯き姿勢をとるようにします。2003年の裂孔原性網膜剥離の手術件数は93件で、初回手術による網膜復位率は94%、最終的には100%の症例で網膜復位を得ています。図3に術前視力と術後視力を示します。

    図3 網膜剥離の術前術後視力

  9. 硝子体手術
  10. 硝子体手術は231件で、裂孔原性網膜剥離、増殖糖尿病網膜症、黄斑円孔、黄斑前線維症、加齢黄斑変性、黄斑下出血などを治療しています。

    特発性黄斑円孔は特に原因なく黄斑部網膜に円孔が形成され視力が低下する疾患です。従来は治療法がないとして放置されていましたが、現在では硝子体手術によって治療できるようになっています。2003年の黄斑円孔の手術件数は26件で、初回手術による円孔閉鎖率は100%、術後視力は92%の症例で術前以上となっています。図4に術前視力と術後視力を示します。

    黄斑前線維症は黄斑部の網膜上に線維膜が発生し、これが網膜を牽引して網膜皺襞が形成される疾患です。網膜の皺のため変視症と視力低下が起こりますが、硝子体手術によってこの皺を除去することで視機能が改善します。2003年の黄斑前線維症の手術件数は20件で、80%の症例で術前以上の視力を得ています。図5に術前視力と術後視力を示します。

    図4 黄斑円孔の術前術後視力
    図5 黄斑上膜の術前術後視力

    黄斑下出血は加齢性黄斑変性などが原因で黄斑下網膜に出血し視力低下を来します。加齢性黄斑変性が増加しているので、今後手術件数も増加が予想されます。

    その他、網膜静脈閉塞症、黄斑浮腫、網膜血管障害による硝子体出血、増殖硝子体網膜症、外傷による眼内異物、感染性眼内炎などを硝子体手術で治療しています。

  11. 糖尿病網膜症
  12.  糖尿病網膜症は増加傾向にあり、日本では今や後天失明原因の第一位となっています。糖尿病網膜症は糖尿病の罹病期間が長くなるほど病期が進み、適切な時期に適切な治療を行わないと視力予後が不良となるので、継続的な経過観察が必要です。網膜症が増殖期に進行してゆく場合は網膜レーザー光凝固を行います。増殖期になり硝子体出血が起こったり、牽引性網膜剥離が起こった場合には、いたずらに自然経過をまかせると予後不良となるので早期に硝子体手術を施行するようにしています。その結果、従前に比較し視力予後が改善しています。また、糖尿病黄斑症による視力低下は薬物療法やレーザー治療では改善しないことも多く、その場合には硝子体手術が有効な場合があり、手術を行っています。 2003年の糖尿病網膜症に対する硝子体手術は62件で、そのうち53例(85%)で術前以上の視力を得ています。図6に術前視力と術後視力を示します。

    図6 糖尿病性網膜症の術前術後視力

  13. 未熟児網膜症
  14. NICUの拡張移転に伴い未熟児の入院も増加しています。新生児管理の進歩と慎重かつ献身的な管理により重症例は減少しましたが、それでも年間10数例は網膜症が進行し、ダイオードレーザーによる網膜光凝固を施行しています。

  15. 角膜移植
  16. 国内の慢性的な提供角膜不足は依然として解消されていません。当科でも角膜移植が待機患者があるにもかかわらず、提供角膜不足から2003年の角膜移植は0件でした。

  17. その他の疾患
  18. 手術以外の目的で入院治療を行っている疾患には、視神経炎、ブドウ膜炎、眼窩蜂織炎、重症角膜感染症、眼内炎などがあります。


その他

  1. 施設認定
    • 日本眼科学会専門医制度研修施設
    • 岡山県アイバンク協力医療機関
    • 眼球登録取扱病院

  2. カンファレンスのご案内
  3. 倉敷眼科臨床懇話会

    開催日:3・6・9・12月の第2木曜日、19:00〜21:00、第5会議室
    内 容:紹介患者の経過報告と教育講演

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