倉敷中央病院 総合周産期母子医療センター地域がん診療連携拠点病院災害拠点病院
Last Update 2010.9.10
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 内分泌代謝・リウマチ内科(内分泌代謝グループ)のご紹介

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概要

本院での内分泌診療の歴史は、1966年に日下医師(現参与)のもとで、RI検査とバセドウ病に対する放射性ヨード内用療法が実施可能となり、甲状腺疾患の専門的診療が始まったことに遡ります。その後、1994年には大量投与が可能なRI治療室が完成し、甲状腺癌に対する放射性ヨード内用療法を開始しました。

2000年の内科分科、当科専門外来発足以降は、内分泌代謝科専門医・指導医資格を有する常勤スタッフ3名(横田、村上、村部)を中心に、甲状腺疾患のみならず広く内分泌代謝疾患に対する専門的診療に努めています。甲状腺疾患、下垂体疾患、副腎疾患、副甲状腺疾患など内分泌疾患全般にわたり、最新の機能検査法、画像診断、治療法などを絶えず取り入れてきました。現在では、この地域における内分泌診療の中核的役割を担っているものと自負しています。

内分泌領域では、耳鼻咽喉科(甲状腺・副甲状腺疾患)、泌尿器科(副腎疾患)、脳神経外科(下垂体疾患)などの外科系診療科と綿密な連携を図ることが求められますので、相互に連絡を取り、最善の治療法を提供することを日々心がけています。

また、糖尿病、高脂血症、高尿酸血症、肥満、さらには最近注目されているメタボリック症候群など、成人での代謝性疾患も当科の診療領域であり、外来を中心に診療を行っています。

現在は、指導医スタッフ3名、シニアレジデント2名で、火曜日を除き平日2診体制の専門外来を担当し、入院診療(2006年 入院数251例、平均在院日数13.7日)を行っています。

主任部長 横田敏彦

入院患者数
(2006年)
251症例(複数回入院を含む)
  甲状腺疾患138症例
  副腎疾患31症例
  下垂体疾患28症例
  副甲状腺疾患・Ca代謝異常16症例
  糖尿病・低血糖17症例
外来新患数
(2006年)
1,360症例
  バセドウ病143症例
  慢性甲状腺炎(橋本病)237症例
  結節性甲状腺腫648症例
  甲状腺癌46症例
  下垂体疾患45症例
  副腎疾患85症例
  原発性副甲状腺機能亢進症15症例
  糖尿病101症例
  高脂血症144症例

診療内容

  1. 甲状腺疾患
    1. バセドウ病
    2. バセドウ病の確定診断には、RI検査(甲状腺シンチグラフィーと摂取率)が必要とされていますが、当院では2〜3日以内に実施可能ですので、早期の確定診断を得ることができます。甲状腺機能検査とエコーは即日に実施し、結果説明が可能です。

      バセドウ病には、抗甲状腺薬、放射性ヨード内用療法、手術療法の3つの治療法があり、病状、年齢、女性の場合は妊娠希望などを考慮して、インフォームドコンセントを行った上で、希望に沿った形で治療に当たっています。

      抗甲状腺薬による内服治療は、外来で継続できる簡便な治療法で、理想的な治癒が期待できる点で優れていますが、様々な副作用に留意する必要があり、また喫煙者やアレルギー素因者など、一部の症例では再発が多いことが知られています。そこで、抗甲状腺薬の副作用が出現した症例や難治性の症例には、充分に説明を行い、放射性ヨード内用療法、あるいは手術のいずれかを勧めています。

      2006年では、紹介患者さんを中心に放射性ヨード療法15名、手術6例をインフォームドコンセントの上、治療選択しました。手術療法は侵襲が大きい点で、妊娠希望の女性などに適応が限られますが、当院耳鼻咽喉科を中心に紹介し、術前管理と術後のフォローアップを当科で行っています。

      一方、放射性ヨード治療は、長期的に甲状腺機能低下症に移行するため、甲状腺ホルモン補充が必要となること、眼症合併者や喫煙者では治療後に眼症の増悪のリスクがあること、などをご理解いただいた上での治療適応となりますが、バセドウ病を早期に治癒させる利点は大きく、適応例にはきわめて望ましい選択と思われます。当院ではこの10年間で253症例に実施しており、安定した治療成績を得ています。甲状腺機能が安定すれば、紹介先の医療施設に甲状腺ホルモン補充療法を含めた継続治療をお願いしています。

    3. 慢性甲状腺炎(橋本病)・甲状腺機能低下症
    4. 日本人女性にきわめて高頻度で合併する自己免疫性甲状腺疾患であり、健診などで指摘されることが多い疾患です。近年、TSHのみ上昇する潜在性甲状腺機能低下症が、動脈硬化との関連で注目されており、ヨード制限を指導しても改善せず持続するもの、脂質代謝異常を伴うもの、甲状腺腫が大きいものなどについては、甲状腺ホルモン補充療法を開始しています。

    5. 結節性甲状腺腫
    6. 近年は、各種CT、MRIとともに、頸動脈エコーの際に偶発的に指摘されることが多いと思います。当院では、病院全体で2006年に3,198件の甲状腺エコーの検査が実施されました。すべての甲状腺エコーについて当科で診断していますが、基本的に6mm以上の結節は穿刺吸引細胞診の適応と考えています。2006年には963例に穿刺吸引細胞診を実施しました。腺腫様甲状腺腫やバセドウ病、慢性甲状腺炎などに伴う良性結節が約90%を占めますが、71例(7.4%)にClassW以上の診断を得て、甲状腺悪性腫瘍と診断しています。

      また、結節が甲状腺ホルモンを産生するプランマー病については、2006年に2例診断し、いずれも耳鼻咽喉科で手術を受けられました。

    7. 甲状腺癌
    8. 日本人では、甲状腺悪性腫瘍のほとんどは甲状腺乳頭癌です。乳頭癌と濾胞癌では、早期であれば手術のみで予後は良好であり、転移を合併する進行例でも、甲状腺全摘後に放射性ヨード治療を実施することで、長期の治療成績は決して悪くありません。甲状腺癌に対する放射性ヨード治療は、2006年には17例、累計232例(1994年〜2006年)に実施しています。

      なお、耳鼻咽喉科、病理科と月1回の定例カンファレンス(甲状腺カンファレンス)を開催し、手術適応や放射性ヨード治療の適応を相互に議論しています。

    9. 甲状腺PEIT
    10. 甲状腺の大きな嚢胞性結節、手術を希望されない機能性甲状腺腫、一部の甲状腺癌などに、エタノール注入療法の適応があり、2005年6例、2006年4例を施行しました。治療実績のある熟練医(桑原医師)が入院の上、治療に当たっています。

    11. バセドウ病眼症
    12. バセドウ病の一部の症例で、眼球突出、角膜充血、眼球運動制限による複視などの眼症状が出現することがあります。眼科医によるCAS(臨床活動指数)評価とともに、眼窩MRIでの外眼筋肥厚やT2高信号所見の有無を参考に治療適応を考えています。ステロイドパルス療法(3クール)と眼窩放射線照射の併用が有効なことが多く、2006年には当科で9例に入院治療を行いました。副作用に留意しながらステロイド薬の漸減が必要ですので、約5〜6週間の入院期間となります。

  2. 副腎疾患
    1. 副腎偶発腫瘍
    2. 近年、腹部エコー、CT、MRIなどの画像検査が普及した結果、副腎腫瘍は高頻度に発見されます。当科では、副腎機能スクリーニング検査と画像検査を外来で行い、副腎機能異常が疑われる症例、3cm以上の副腎腫瘍の症例を中心に精査入院を勧めています。

    3. 褐色細胞腫
    4. 褐色細胞腫の副腎腫瘍は3cm以上のことが多く、重度の高血圧や糖尿病を来たすことから、放置すれば予後不良です。確定診断が得られれば手術適応となり、血圧の変動を最小限にする目的で、術前にα阻害薬漸増投与の前処置を当科で行っています。2006年には2例を診断し、泌尿器科で手術を受けられました。

    5. クッシング症候群、プレクリニカルクッシング症候群
    6. クッシング症候群の領域では、軽症例であるプレクリニカルクッシング症候群の頻度が高いことが示されています。副腎機能異常の評価とともに、耐糖能異常、脂質代謝異常、骨粗鬆症の有無など、総合的な評価を行った上で個々の手術適応を検討しています。2006年には入院精査で3例をプレクリニカルクッシング症候群と診断しました。

    7. 原発性アルドステロン症
    8. 原発性アルドステロン症は、日本人の高血圧症で5〜6%を占める頻度の高い疾患です。内分泌スクリーニング検査で疑うことができますが、入院下に副腎機能検査(内分泌負荷試験)を実施することで正確な診断が得られます。さらに、静脈サンプリング検査でアルドステロン分泌の左右差が得られれば、患側の腹腔鏡下副腎切除で高血圧の治癒が期待できます。また、手術適応のない症例でも、抗アルドステロン薬(アルダクトン、セララ)を選択することで適切な降圧療法の一助となります。2006年には6例を診断しました。

    9. 手術適応(泌尿器科での腹腔鏡下手術)
    10. 副腎の手術は、従来は大きな切開を伴う開腹術が必要でしたが、当院泌尿器科は腹腔鏡下手術(後腹膜アプローチ)に優れた治療成績を示しています。密に連携を取りながら、手術適応を相談していますので、最善の治療法を提示できるものと考えています。診断と術前管理、さらに術後の経過観察は当科で行います。

  3. 下垂体疾患
    1. 下垂体腫瘍
    2. 他臓器と同じく、CT、MRIなどの頭部画像検査で偶然見つかる症例が多くなりました。下垂体造影MRIと下垂体機能検査でスクリーニングを行いますが、正確な評価のためには短期精査入院を勧めています。

    3. 先端巨大症
    4. 下垂体腺腫による成長ホルモン(GH)過剰分泌のため、手足の腫大、顔貌の変化とともに、糖尿病、高血圧を合併することが多く、循環器疾患の合併率が高いことが知られており、大腸癌、甲状腺癌、乳癌などのリスクにも注意が必要です。安静下のGH測定、IGF-1測定が高いことで疑うことができます。原則的には手術を中心とした治療を考えますが、サンドスタチンLAR、ソマバートなどの薬物療法も保険適用となりましたので、個別の病状と希望に応じた最善の治療法を考えています。2006年には4例の入院精査を行い、治療を進めています。

    5. プロラクチノーマ
    6. プロラクチンを過剰に分泌する下垂体腺腫により、女性の場合には無月経と乳汁分泌、男性では性欲低下などの症状が生じます。婦人科で見つかることの多い疾患です。この下垂体腺腫の場合は、薬物療法(パーロデル、カバサール)の有効性が確立されており、大部分は手術を受けずに内科的治療での管理が可能です。当科で薬物治療による治療を実施しています。

    7. 下垂体機能低下症
    8. 下垂体疾患により続発性副腎不全を生じると、体重減少、食思不振とともに低Na血症、低血糖などが出現することがあります。診断が確定すれば、少量の副腎皮質ホルモン補充で劇的な症状の改善が得られます。

    9. 中枢性尿崩症
    10. 糖尿病や高Ca血症もないのに多尿、多飲を訴える場合には、この疾患を疑います。心因性多尿との鑑別には短期入院精査が必要ですが、診断が確定すれば点鼻薬(デスモプレッシンスプレー)使用により症状が改善します。

  4. 副甲状腺疾患・Ca代謝異常
    1. 原発性副甲状腺機能亢進症
    2. 血清Caが一般検査で測定されるようになり、この疾患も高頻度で発見されるようになりました。軽症例では無症状ですが、進行すると骨粗鬆症、尿路結石、さらには腎機能低下、精神症状、意識障害まで出現することがあります。入院の上、各種画像検査での局在診断、NIH conference(米国2002年)の手術適応基準を判定し、適応例には耳鼻咽喉科との連携下で手術を勧めています。2006年には8例の精査入院を行いました。

    3. その他のCa異常
    4. その他の高Ca血症の原因として頻度の高いものとして、骨粗鬆症治療に用いられるビタミンDの過剰投与があります。また、悪性腫瘍による高Ca血症では、PTHに類似したPTHrPというCa代謝調節ホルモンが異所性に作られることがあり、固形癌以外にも、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫などの血液疾患で見られます。輸液、カルシトニン、ビスホスフォネート薬(点滴静注)などで血清Caの正常化を図りつつ、原疾患の迅速な診断に努めています。

  5. 糖尿病・代謝性疾患
    1. 糖尿病、高脂血症、高尿酸血症
    2. いずれも食事療法と運動療法が重要な疾患ですが、有効な薬物療法がありますので、適応を判断しながら治療に当たっています。糖尿病については、糖尿病内科と協力しながら糖尿病教室による教育を行い、経口薬・インスリン自己注射指導、合併症精査などを約2週間のクリティカルパス入院で計画しています。

    3. メタボリック症候群
    4. 内臓脂肪の増加により糖尿病、高血圧、高脂血症などを合併する症候群で、心筋梗塞や脳梗塞がハイリスクに発症する病態と考えられています。2005年の日本内科学会診断基準では、腹囲 男性85cm以上、女性 90cm以上で疑いますが、内臓脂肪面積 100cm2以上がその診断根拠であり、CTでの正確な解析が有用です。

      動脈硬化の評価も含めて精査を行い、有効な薬物療法を考えてゆきますが、基本的には食事療法と運動療法による理想体重までの減量が大切です。一方、海外では副作用の少ない食欲抑制剤(リモナバンなど)が開発されており、将来的に日本でも保険適用となると予想されますので、注目しています。


その他

  1. 施設認定
    • 日本内分泌学会内分泌代謝科認定教育施設
    • 日本糖尿病学会認定教育施設
    • 日本甲状腺学会認定専門医施設
    • 日本リウマチ学会認定教育施設

  2. カンファレンスのご案内
  3. 甲状腺カンファレンス

    耳鼻咽喉科、病理検査科と合同で、月1回の定例で開催し、手術適応や放射性ヨード治療の適応を相互に議論しています。

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