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鼻とアレルギー
―まもなく、花粉症の季節です
耳鼻咽喉科 主任部長 八木 伸也
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花粉が飛び始めるころとなってまいりました(図1)。花粉症をお持ちの方々にとっては、つらい季節の始まりと思われます。
花粉症はもともと、アレルギー体質を持つ方がかかる病気です。人間の体には、自分以外のもの(異物)が体内に入ると、それを体外に出そうとする働きが生じます。体内に入り込んだ異物、特に細菌やウィルスに対しては、防御反応のすべてを動員して反応し、細菌やウィルスを食い殺し、異物を体外に出そうとして嘔吐、下痢などが起こります。これをおおまかに免疫といい、免疫物質は生涯体内で産成されますが、一方、反応が異常にあらわれる場合をアレルギー(アレルギー性鼻炎など)といいます。
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図1 花粉飛散時期
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体内に入り込む異物は、細菌やウィルスだけではありません。杉、ブタクサ、カモガヤ、イネなどの花粉、ハウスダスト、ダニ、犬や猫の上皮も異物となります。アレルギー性鼻炎の方がこれらの異物を吸い込み、鼻で反応が起こると、異物を体外に出そうとして水のような鼻水が出たり、くしゃみを起こします。それに伴い、鼻の粘膜が肥大し、鼻がつまるという現象も起こります。
空中に飛散する花粉の量によっても、症状の出方は変わります。杉花粉の場合、花粉の飛散は一月下旬より五月中旬まで続きますが(図2)、ピークは三月初旬から中旬です。飛散量は前年夏の最高気温に比例するといわれており、年によって異なります(図3)。
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図2 倉敷地区の花粉飛散時期 (小山耳鼻咽喉科医院・小山恵三先生より)
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図3 倉敷地区の花粉飛散年度変化 (小山耳鼻咽喉科医院・小山恵三先生より)
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症状
花粉シーズンには、くしゃみや鼻づまり、鼻のかゆみ、目のかゆみ、さらには、耳がかゆかったり、のどがかゆかったりする症状が現れます。アレルギー性鼻炎の場合、花粉シーズンでなくとも、温度差の激しいとき、たとえば、夏の冷房や冬の暖房などによる体温変化によって、同じような症状が起こることがあります。
また、布団の中に入ると咳が出て困り眠れない、などの症状が出ることもあります。これらもアレルギーのしわざです。
検査
アレルギーの原因を知る検査には、血液検査で原因物質を探す方法、鼻や皮膚に原因物質をあてて反応を見る方法などがあります。これらの方法によって、たいていの場合、原因物質が判明しますが、突き止められないこともあります。
予防
原因物質が分かれば、原因物質をできる限り避けるような生活をお勧めします。たとえば杉花粉の時期には、外出から帰ったらよく服を叩いたり、着替えるなどして花粉を家の中に持ち込まない、あるいは、外出時マスクや眼鏡をかけるなどです。
原因物質がダニアレルギーの場合には、晴れた日に窓を開けて部屋を掃除する、布団の天日ぼしなどをお勧めします。
治療
免疫反応がひどいときは鼻にヒスタミン等が出てきて、アレルギー症状を引き起こします。治療としては、抗ヒスタミン剤の内服があります。点鼻薬を差す場合もあります。
その他、レーザー治療、薬品塗布、手術療法などがありますが、半年から1年で再発するようです。
より基本的な治療として、減感作療法が行われることもあります。これは、アレルギーの原因物質を少量ずつ投与して、体にその異物に抵抗力のある免疫物質を作るものです。週二回、一年間通院しなければならず、時間と根気が必要ですし、原因物質を注射しますのでショックが起こる場合もあり、一般的な治療法として定着していません。
現在アメリカでは、内服治療による減感作療法が行われています。日本でも試験的に行われていますので、二‐三年のうちには内服治療ができるようになるかもしれません。
アレルギーは現代病、文明病といわれていますが、遺伝子治療も徐々に進歩していますので、数年後には、画期的な治療法が現れるかもしれません。
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