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 KNEWS No.8−HEALTHY LIVING

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インフルエンザについて

呼吸器内科主任部長 石田 直

今年もインフルエンザのシーズンが近づいてきました。インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって起こる呼吸器感染症です。インフルエンザ患者が咳をするとウイルスが細かい霧状になって飛散し、これを周囲の人が吸い込むことにより、ウイルスがのどや気管支について感染を起こします(これを飛沫感染といいます)。

インフルエンザウイルスにはA,B,Cの3種類の型がありますが、このうちA型のウイルスは世界的な流行を起こすことで知られており、古くは1918年のスペインかぜ(全世界で4000万人が死亡したといわれています)や香港かぜ、ソ連かぜなどと呼ばれてきたものです。B型は地域的な小流行を起こし、C型は散発的にしか発生しません。

突然の高熱から全身症状へ

通常の感冒が比較的発熱は低く症状も軽微なのに比して、インフルエンザに罹ると突然高熱を発し、強い頭痛や咽頭痛、関節痛など全身症状が顕著です。高熱は通常は2〜3日で解熱傾向を示しますが、咳や鼻水、全身倦怠感はその後しばらく持続します。

重症のインフルエンザではウイルス自体による肺炎を起こすことがあります。この場合、両側の肺に陰影が出現し呼吸困難感が強くなります。また、インフルエンザに罹った後に2次的に細菌による肺炎を起こすことがあります。特に高齢者や心臓、肺に基礎疾患を持つ人、妊婦では肺炎を起こして重症化しやすいといわれていますので注意が必要です。また小児のインフルエンザ脳症も近年問題となっています。

インフルエンザの診断は、流行時期に典型的な症状を呈していれば容易ですが、ウイルス学的な検査を行うこともあります。近年開発された方法は、インフルエンザウイルスの抗原を検出するもので、綿棒でのどや鼻腔をこすって検体をとり調べる方法です。短時間で結果がでるので外来でも行えますが、インフルエンザに罹っていても陽性に出ないことがありますので注意しなければいけません。

薬剤療法も可能に

インフルエンザに罹ってしまった場合、従来は有効な薬剤がなく対症療法を行っていましたが、最近新しい薬剤が開発されて利用できるようになりました。
これはノイラミニダーゼ阻害剤という種類の薬剤で、ウイルス粒子の表面に付着してウイルスが増殖するのを防ぐ作用を持っています。パウダー製剤で吸入するタイプのものと、内服の薬剤の2種類が発売されています。この薬剤を使用すると、発熱の持続が1-2日間短くなるといわれていますが、発症早期、できれば48時間以内にはじめることが必要です。
その他、鎮痛解熱薬(小児では使用は要注意)、咳止めなどが症状に応じて投与されますが、細菌感染の合併がある場合には抗菌薬の投与も行われます。

予防はワクチン接種で

インフルエンザの予防では、ワクチン接種が最も基本となります。インフルエンザワクチンは、以前は学童に対して集団接種が行われてきましたが、1994年の予防接種法の改正により中止となり、ワクチンの接種率は激減しました。しかしながら、欧米では日本と逆にハイリスクグループへの接種を積極的に進め接種率は向上しています。日本でもようやく高齢者の接種に対して一部公費負担が行われるようになり接種率が回復してきました。

インフルエンザのワクチンは、前シーズンまでの流行したウイルス株を考慮して、次シーズンの流行を予測し、A型より2種類、B型より1種類のウイルス株を選び作成します。全く新種のインフルエンザが出現した場合には、従来の株のワクチンでは無効であり、新たに作成する必要がありますが、それが利用できるようになるまでは、世界中の誰もが新しいインフルエンザに対して免疫がないということになります。

高齢の方には、ワクチン接種をお勧めします

ワクチンは誰に接種してもよいのですが、特にハイリスクグループの人には必要です。米国でワクチン接種が強く勧められている対象は、65歳以上の高齢者、肺や心臓に基礎仕疾患を持つ人、老人ホームや介護施設の入園者、糖尿病や腎不全などの慢性疾患を持つ人、長期アスピリン投与を受けている小児や若年者、インフルエンザ流行期に妊娠後半に入る妊婦となっています。

ワクチンの接種方法は、成人の場合1回皮下注射するだけです。副作用としては、注射部位が腫れたり熱を持ったりすることがありますが、通常は一過性です。稀に重篤な副作用も報告されています。ワクチンは卵から作成していますので卵アレルギーのある人は接種できません。

ワクチンで100%インフルエンザの予防ができるわけではありませんが、高齢の方、リスクを持った人は是非接種を受けられることが望ましいと思います。ワクチン接種を行ってから抗体が上昇するまで1ヶ月近くかかりますので、できる限り年内に接種されることをお勧めします。

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