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肝臓病の話(肝臓病教室のご案内)
消化器内科部長 下村 宏之
肝臓について
肝臓は身体の中のどこにあって、どんな働きをしている臓器なのでしょうか?肝臓は、おなかの右の上の方で肋骨に囲まれたところにあります。重量はおよそ1200gです。
肝臓は、化学工場に例えられますように、さまざまな仕事をしています。まず、皆さんが食事で取り入れた栄養を、身体が利用できる形(糖、脂肪やアミノ酸)に変換したり、すぐに使わないエネルギーを、グリコーゲンとして蓄える働きをしています。また、胆汁を作り、脂肪やビタミンなどの消化吸収を助けています。身体の隅々まで大事なホルモンなどを運搬するたんぱく質や、出血した時に血液が固まるよう働くたんぱく質も作っています。
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身体が活動をしている間にできる老廃物を、身体に害のない物質に変えたり、体外へ排泄しやすい形に変える働きもしています。また、薬やアルコールなどを代謝して、無毒化しています。
胃腸から身体に入ってくる微生物や異物に対する免疫反応も、肝臓の中の細胞がコントロールしています。
「肝腎」「肝心」などと重要な物の例えに挙げられている「肝(臓)」は、このようにとても大事な働きをしています。
肝臓病の種類
肝臓に起こる病気は、原因によって分類され、ウイルス感染が原因のウイルス肝炎、肝臓に脂肪がたまって働きが悪くなる脂肪肝、アルコール飲料の摂取が多いために起こるアルコール性肝障害、その他自分に対する免疫反応が原因の自己免疫性肝障害(自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変など)等があります。一方、病気の起こり方や状態によって、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変というように分類することもあり、原因と状態を組み合わせて、「C型慢性肝炎」というように呼んでいます。
肝臓病の症状には、全身倦怠感、食欲不振、吐き気、黄疸、腹水、意識障害などがありますが、病気が進行しないと気付かないことが多く、「沈黙の臓器」とも呼ばれています。
倉敷中央病院では、患者さんの肝臓病の療養にお役に立てるよう、病気の成り立ちや薬の話、食事の注意、運動療法、社会保障について、「肝臓病教室」を開いて説明しています。これまでに取り上げた内容のいくつかを、簡単にご紹介しましょう。
C型肝炎
C型肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)が肝細胞に感染し、ウイルスを除去しようとして肝炎が始まります。肝炎は慢性化しやすく、半数の患者さんでは肝硬変へ進行すると言われています。大量飲酒や肥満、鉄分の取りすぎは肝炎の進行を早めます。肝炎の程度(病期、ステージ)によって、肝がんの発生率に違いが見られますので、進行した慢性肝炎では、早期に治療することをお勧めしています。
C型肝炎の原因治療はインターフェロン療法ですが、最近リバビリン(経口抗ウイルス剤)を併用することで治療効果が改善し、ペグインターフェロンを使用して、注射回数を週1回に減らす治療法が行われるようになっています。ウイルスの型・量、病期の程度、年齢、合併症に応じた治療法を選択するようになりました。
このような薬には、副作用も種々のものがあります。インターフェロンによる発熱や倦怠感、白血球や血小板減少、間質性肺炎、脳出血、眼底出血、リバビリンによる貧血、催奇形性をはじめ、十分な説明を受けてから治療を始めていただいています。
こうした治療には、多くの患者さんが医療費についての不安をお持ちです。多額の治療費がかかりますが、保険の種類や収入に応じた補助の制度もありますので、医療福祉担当者にご相談ください。
最近の慢性肝炎に対する治療
【C型慢性肝炎】
●リバビリン+ペグインターフェロン併用療法
これまで、1型でウイルス量の多いC型慢性肝炎患者さんだけが保険診療の対象でしたが、2005年12月より、他のウイルス型でも量の多い場合には、使うことができるようになりました。また、インターフェロン再治療の場合は型・量に関わらず使用可能です。
●インターフェロン自己注射
肝炎の活動性が高い場合には、肝炎の活動性を抑え肝がんの発生を減らすことを目標にして、少ない量のインターフェロンを長期にわたって注射することが有効であると考えられています。そこで、患者さんがご自分で注射をすることが保険診療でできるようになりました。注射できるインターフェロンは従来型のαインターフェロン製剤で、安全のため量は600万単位程度までで、2週間に1度診察においでいただきます。夕食後に注射することで、副作用が軽減されるという利点もあるようです。主治医とよくご相談ください。
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B型肝炎
B型肝炎も、B型肝炎ウイルス(HBV)が肝細胞に感染し、それを排除しようとして肝炎が起こります。C型肝炎と異なり、成人で感染した時には慢性肝炎になる率は低いのですが、出生時に感染すると持続感染します。現在、HBVを持っている妊婦さんから生まれる新生児には、HBVの感染を予防する処置がとられています。B型肝炎でも、一部の感染者では慢性肝炎から肝硬変へ病気が進み、肝がんも発生してきます。
B型肝炎では、若年者で多いのですが、自然にウイルスが減っていき肝炎が治まる現象が見られます。そこで、治療は35歳以上の肝炎患者さんや、若いけれども肝炎の活動性の盛んな患者さんを対象としています。ウイルスの増殖を抑える治療として、抗ウイルス剤(ラミブジン、アデフォビル、エンテカビル)や場合によってはインターフェロン治療が行われます。ウイルスの増え方や肝炎の状態に応じた治療法が選ばれています。
B型肝炎はワクチンで予防が可能ですので、感染する可能性が高い方には、ワクチンを接種することを強くお勧めします。
最近の慢性肝炎に対する治療
【B型慢性肝炎】
●抗ウイルス剤
ラミブジン(ゼフィックス)という抗ウイルス剤には、長期間の治療中にこの薬に対する耐性が生じるという短所がありました。2004年12月からアデフォビルという抗ウイルス剤が保険診療で使えるようになり、ラミブジン治療を行いやすくなっています。さらに、慢性肝炎のみに適用されていましたが、肝硬変の患者さんに対しても、正式に保険診療での使用が認められました。
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肝臓病教室
毎月開かれている肝臓病教室では、医師、看護師、薬剤師、栄養士、臨床検査技師、理学療法士、医療ソーシャルワーカーなど、それぞれの専門家が、皆さんのお役に立つ話をしています。また、普段の診察で聞けないような質問もお受けしています。興味をお持ちの方は、参加自由ですのでどうぞおこしください。開催の日時や場所などの予定は、院内にポスター掲示をしています。
肝臓病の診断や治療の方法は、次々と新しくなっています。皆さまに最新の、役に立つ知識を得ていただけるよう、これからも企画していきますので、どうぞご参加くださり、ご意見等をお寄せくださるようにお願いします。
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