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図書室
倉敷中央病院図書室
>当院の文献検索環境について−総合診療科 國永医師 インタビュー
● 先生は当院へ赴任される前はどんな病院にいらっしゃったんですか?
沖縄本島にある300床くらいの病院で、外科系がけっこう多い病院でした。
● 図書室はありました?
図書室は医局のすぐ近くに設けられていて、外来からは遠かったので…外来を終えて、医局に帰るついでに立ち寄る、という状況でした。インターネットは電子カルテを開くパソコンからはつながらなかったので、非常に使いづらい環境でした。診断をしているときに「ちょっとあれを参考にしたい」ということも一切できないので、みんな本をごっそり持って歩いていました。医師は総数70人ぐらいだったと思うんですけれど。図書係の人が1人いて、貸し出し業務を担当していました。救急の本とかは人気があるのですぐになくなって、どこに行ったかわからないということもありました。
● 先生はそこが初めての赴任先だったのですか?
そうです。そこで5年勤めて、こちらへ着任しました。僕はそこにいながら離島に2か月派遣されたり、本島の病院を中心に、いろんなところを転々と経験しました。
● 診療所におられるときは、医学情報を検索できました?
宮古島の隣にある島民7,000人の島に、唯一の19床の診療所でした。その診療所ではUpToDateだけは見られました。そこも電子カルテとインターネットにつながるパソコンは別で、片方は電子カルテを開いて、片方はインターネットで検索した情報を参考にするために用意しておいて。あとは、診察室の横にちょっと並んでいる本を参考にしたりしていました。
● 倉敷中央病院に着任されての印象は?
まず、電子カルテからインターネットが開けるという時点で、調べられる情報量が圧倒的に増えました。一番いいのは、
電子カルテを開きながら、同じ画面で自分のデスクトップを開ける
こと(当院では院内パソコンに各自のID・パスワードでログインすれば、各自のドキュメントや設定が適用されます)。デスクトップにダウンロードした論文や、お気に入り登録したものがどこでも見られるのは非常に魅力的だと思います。以前は自分のパソコンを院内に持ちこんで調べていたので、だんだん持ち歩くのがめんどうになって、調べる回数が減っていって、勉強する回数が減っていって…。今でこそiPhoneなんか流行っていますけど、当時はありませんでしたから。
● では、今のこの環境は、勉強意欲を高める環境でもあると。
そうですね。この環境が無くなったらと思うと、非常に恐ろしい(笑)。現状レベルから下げることが考えられないです。
● パソコンからでは入手できない文献がたくさんあったと思うのですが、以前の病院でも、他院から取り寄せされていましたか?
全国的にグループ展開している病院だったので、横のつながりはしっかりしていて、取り寄せについては不自由しませんでした。ただ、沖縄なので時間はかかりました。紙で送ってもらうのも大変だし、PDFでのやりとりも始めたころでしたが、あんまり頻回にそういうやりとりはなかったです。
● 当院だと3日、早ければ2日くらいで届いていますね。先生は文献を頻繁に取り寄せるほうですか?
いや、文献取り寄せはあまり…インターネットでいろんな角度から読める文献をいろんなところから探して、というほうが多いです。ひとつの病気を調べるにしても、UpToDateしかなければ、それで調べてなければ終わりですが、当院ではUpToDateがダメだったらDynaMedを開いてみようと調べるうち、どれかは開けたりするので、非常に助かっています。
● 周りの方からもそういうご意見を聞かれたりしますか?
僕自身、同期があまりいないのですが、岡本先生がようやく入ってきてくれて、2人で「この環境は自分たちにとってすごくプラスだ」という話はよくしています。僕らみたいに、外から来た医師は、この環境のよさを感じていると思います。僕は、検索した文献から関連をたどっていきます。Harrison's OnlineやMD Consultは良く使いますが、
イントラネットの図書室サイトにあるバナーをクリックすればすぐ検索(IP認証でログインをせず直接開けるようになっています)できる
ようになったので、助かります。そういえば、あまり利用されない雑誌の定期購読を切って、オンラインを充実するという話や仕組みはあるんでしょうか?
● 毎年図書委員会で必要の有無を検討し雑誌の選定を行っています。オンラインの利用が増えると同時に年々金額も上がっているので、限られた予算の中でどうとっていくかが課題です。他病院では雑誌の講読を全てやめてオンライン一本にしているところもあると聞きますが、もしオンラインの契約が切れたときに何も残らないのはまずい、ということも考えながら購入しています。
●
セミナー
は、いかがですか?
EndNoteのセミナー
は、使い方があまりわからないので行ってみたいと思っているんですけど、時間の兼ね合いも合って…。僕にとってEndNoteは、文献検索が十分できるようになって使う、というイメージです。あのセミナーはいつも定員いっぱいですよね。たとえば大原記念ホールで大々的に開催…とかいかがですか?実際自分で触ってみないとわからない部分があるので、少人数制なんでしょうけれど。
● 皆さん、大学で文献検索方法について勉強されるんでしょうか?
僕らは2004年卒ですけど、あんまりなかったです。最近はちょっと増えてきているみたいですが…。
● 大学の医学図書館のデータベースの充実度に対して、倉中の充実度はどうでしょう。
福岡先生は、やはり大学レベルはすごいといいますね。ただ僕らが学生のころには、患者さんにあたっても、教科書レベルのことくらいしか勉強する機会はないし、文献検索まで辿り着けるかどうか…。あんまり図書室にこもった記憶がないです。
● 図書スタッフについてはいかがでしょうか
すごく対応が良くて、福岡先生(図書委員会 委員長)が頼りにしているということは聞いています。インターネット環境が整っていることもあって、直接対応をいただくことはあまり無いですけれど…。ひとつ思うこととすると、当院の規模であの図書室だと、ちょっと小さいんじゃないかと…。医者は医局にもパソコンがありますし、あまりパソコン利用に対する不満も無いと思いますが、看護師さんは時間外に私服で来て勉強するんだったら、図書室が一番使いやすいと思うんですよ。環境もいいし、もっとたくさんパソコンがあってもいいんじゃないかな、と思います。
● 来年、第3棟増築棟が完成すれば、新しい職員向け図書室が完成して、今よりかなり広くなる予定です。その際には、利用できるパソコンの台数も増える予定です。
● 2011年3月、
外国人スタッフが入職
し、図書室に席をおき業務にあたっています。期待されていることはありますか?
仲良くなりたいんですが、まだ話す機会がありません。できれば友達になって、英語を学びたいと思っています。ネイティブな方と仲良くなって話をすることで、自分の英語力向上にプラスになると思うので…。僕自身英語が苦手なので、そこはすごく期待しています。ポールさん自身が積極的に研修医のなかに入っていっているので、それはすごいなあと思っています。
● 海外の学会へ発表のご予定は?
福岡先生からはいずれ勧められると思いますが…。論文執筆アドバイスや、英語の添削とか担当されていますよね。それは発表する身としては、すごく助かります。外国人講師が来たときの対応もされていますよね。
●
ネイティブチェックができる人が院内にいる
、いないでは、安心感は違ってきますか?
違うと思います。論文を読んだときに、日本人が書いた論文と、中国とか英語圏の方だと書き方がちょっとずつ違うんです。英語が苦手な僕らから見たら、日本人が書いたもののほうが読みやすいというか、日本人向け。じゃあ向こうの人にとって、この書き方はどうなんだ、というのは非常に気になります。確認のやりとりが院内でできるのも、ありがたいと思います。ポールさんだから言いたいことも言える、ということもありますし。非常に助かります。
● 見学にこられる方に、図書室を紹介されているようですが…
救急では1週間の見学の最終日、発表があります。そのために学生はいろいろ調べてプレゼンテーションを作るんですが、問題なのは、学生がイントラネットへアクセスできないことです。
● それについては、5月に開催されたIT情報セキュリティー委員会で「実習生に電子カルテのユーザーIDを発行する」ことが決定したそうです。
それはいいですね。当院はこれだけ検索環境がある、というのを体験してもらうのも、見学に来ていただいた方にプラスになるんじゃないかと思います。イントラネット内図書室サイトのリンクをクリックすれば、すぐ検索できるとか。
IDやPASSを入力しなくてもすぐアクセス
できるのは、とても助かります。Cochrane Libraryは使い慣れていないのもあって、まだ活用できていないのですが…
● そういえば、周りでスマートフォンを使われる方は増えてきていますか?
急速に増えています。ただ、前の病院みたいに図書室が遠いだとか、調べ物に困るというところは院内で情報検索に使うことも多いと思いますが、うちは院内どこでもパソコンにアクセスすれば情報が引けるので使うことはありません。僕はAndroid携帯なので、Googleのドキュメントへ読みたい文献を入れておいて、携帯から読んだりしています。
● それでは、最後に図書室についてのご要望をお聞かせください。
常に改善してくださっているので、出てくる要望を聞きながら検討していけばよいと思います。僕らのような総合診療や救急科では、困ることはいまのところありません。しかし専門診療科の先生方には、必要な専門書や専門の論文が多数あると思われるので、是非専門診療科の先生方の要望にも答えられる図書スタッフでいてくださいね。
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