
私の所属する集中医療センター(ICU)は、未熟児・新生児集中医療センター(NICU)、脳神経(脳卒中)集中医療センター(NCU)、循環器内科・心臓血管外科集中医療センター(CCU-C/CCU-S)以外のすべての診療科の重症患者さんを受け入れるジェネラルICUという位置づけです。そのため、ICUの看護師には、小児から外科、内科までの様々な疾患への対応力と重症患者さんに対する全身管理の看護ケアが求められます。
最近多いのは、急性呼吸促拍症候群といって、肺炎などをきっかけに重症の炎症が起こり、呼吸困難になる危険な病気。腎臓や血管にも障害が起こるため命に関わります。肺を傷つけないように細かく設定した人工呼吸器の管理をはじめ、血圧や内分泌などのチェック、浮腫が広がると皮膚が弱くなって裂けてしまうので、リードや管が患者さんの身体にかからないようにするなどの全身管理が必要です。バランスをとりながら最大限の治療効果を望め、なおかつ日常生活により近づける看護ケアを心掛けています。

ICUには、急性重症膵炎や多発性外傷(交通事故)、時には人食いバクテリアなどの重症感染症の患者さんも運ばれて来ます。意識のない患者さんが多く、どう対応すればよいのか戸惑うこともあるかと思います。私も以前NCUにいた頃、それが大きな悩みになっていました。そんな私に「脈拍の一つ一つが患者さんの訴えだから」と話してくれた先輩看護師がいました。目で見えるものすべてが患者さんのサイン、言葉だけじゃないと。患者さんを目の前に「今、この人に必要なことは何だろう」と考えた時、医療機器の管理や薬剤チェックに重きを置いている自分に気がついたのです。
どうすれば患者さんのサインがくみ取れるのだろう? その思いが専門的に勉強をするキッカケになり、集中ケア認定看護師になったことで意識が大きく変わりました。それは、必要な時に必要なことを必要なだけ行うことの大切さです。以前なら患者さんが睡眠中でも痰の音がゴロゴロと聞えたらすぐに取らなければと思っていたことが、身体を休ませることが優先されるので起きてからでいいと判断できるようになりました。“今、本当に必要なことを考える”その繰り返しが患者さんの予後につながっていく。それがICUの看護の姿だと感じています。
集中治療室の看護を目指す人は、病気ではなく患者さんを看ることを忘れないで欲しいですね。さらに言えば、病気を持っている“生活者”を看ること。「患者さんの生活を整えるために何ができるだろう」と考えていけば大きく成長できると思います。