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本年4月から、卒後臨床研修制度が新しくなり※、当院もマッチング※※により25人のジュニアレジデントを採用しました。新制度導入にあたっては、病院全体でレジデントを育てたいという考えのもと、指導医の養成、カリキュラムの作成等の準備を進め、制度開始に先だって、平成13年度から一般公募でレジデントを採用しています。そこで公募レジデントの各年度の皆さんに、研修生活を中心にお話ししていただきました。
座談会出席者

- 左より
- 浅井友香里 教育研修部(ジュニアレジデント1年目・内科系)
- 三好健太郎 呼吸器外科(シニアレジデント1年目)
- 長久 吉雄 教育研修部(ジュニアレジデント2年目・外科系)

- 左より
- 馬場 清 教育研修センター 担当
- 中辻 正人 消化器内科(シニアレジデント2年目)
- 佐野 薫 医師教育研修部 委員
馬場 まず始めに、なぜこの病院を選んだのか教えていただけますか?
長久 僕がこの倉敷中央病院を選んだ大きな理由は、研修システムが若い、日が浅いということです。それが逆に魅力的で、言葉は悪いですが、自由になるといいますか、自分が本当にやりたい研修ができる気がしました。病院見学に来たときに小笠原先生にお話を聞かせていただいて、病院の深いところは分かりませんが、雰囲気のよさは分かりました。この病院で研修できたらいい2年間が送れるだろうなと肌で感じました。
馬場 システムとしては未熟だからね(笑い)。それが逆に魅力的だったということですね。
中辻 僕たちは公募第1期生で、長久先生が言われたようにシステムは定まっていませんでしたが、馬場先生、横田先生、進藤先生などにこちらの希望をいろいろ言って、無理もずいぶん聞いていただきました。今年からスーパーローテイトの方が入られて、制度はまだまだ変わっていくと思いますので、2年目の方、1年目の方なども希望を言えば、柔軟に対応してもらえるのではないかと思います。
馬場 十分対応できているかどうかは分かりませんが、柔軟にやりたいと思っています。
中辻くんたち公募1期生を迎えるには、カリキュラムの作成など、いろいろ苦労がありました。実際に研修が始まると、公募なのでやる気のある人が来てくださったようで、ちょっと教えるといろいろ応用して考えて行動してくれる。しかも、どんどん伸びていく可能性を感じましたね。
院内でも、存在感が認められ始めた
三好 院内でのレジデントに対する認識もだんだんよくなってきて、人数が増えたということもありますが、存在感も大きくなってきていると思います。以前は看護師さんに頼むのも遠慮がありましたが、頼みやすくなりました。また、ちょっとした仕事を頼まれるようになり、それで存在感を出していけるのではと思います。
馬場 頼りにされ始めたということですかね。
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三好 今までこの病院に来る先生は、大学かどこかで経験して来られていたので、全く卒後すぐの人がどのようなものか皆さん分からなかったのでしょうね。僕が最初に来たとき、「こんなこともできないんですか!」という感じで言われました。
馬場 特に外科系はそうでしょうね、技術に差があるから。だけどモチベーションが違うということにすぐ気づかれて、これは教えたら成長するだろうなと分かったみたいです。それも結局は、研修医自身がやる気をもっているということが大きかったのではないですかね。
生き生き働くレジデントが印象的
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浅井 私もマッチングが開始ということで、結構いろいろな病院を見ましたが、ここのレジデントの方はみんな生き生きと働いていらっしゃって、すごく印象に残っています。
馬場 どんな病院を見られましたか?
浅井 沖縄中部、聖マリア、舞鶴市民とか…
馬場 いいところばっかりだから(笑い)こちらが見劣りしたのでは……
浅井 いえいえ、皆さんが自由で生き生きとして、私たち学生に対しても、うちの病院は、強制ではなくて心の底からいいと思うから来たら、と言って歓迎してくださる雰囲気で、うれしかったです。
中辻 僕が常々感じているのは、この病院はすごく自由なのですが、自由度が高すぎて、やる気がなかったら何もしないままで2年間が終わってしまうような病院だなということです。
逆に専門的な技術などは、技師さんなどのレベルは高いですから、自分から求めていけば何でも手に入る病院です。盗めるものはすべて盗む、というような意気込みがあれば、とんでもなくいい研修ができると感じています。
馬場 逆にそれが問題になることもありますか?
中辻 そうですね。モチベーションが高くないと、ここの病院で研修しても意味がない気がします。僕自身もいい研修ができていたのかと振り返ると、人のことは言えないですが。頑張っていらっしゃる方はとことんいろんなところから吸収して、すばらしいレジデントといいますか、医者になられているという例をたくさん見ています。
馬場 自分が目標を持っていればね。
中辻 同期や先輩の中に目標となる人を見つけて、その人に近づけるように頑張れたらいいですね。
長久 内科の研修では、どのレベルまで到達するかというような目標は設定するのですか?
中辻 分厚い研修プログラムがありまして、研修前に見せてもらいましたが、300〜400個くらいのチェック項目があって、しっかりしているなと感じました。終わった後でそれが達成されたかどうかを自分で評価して、上の先生からも評価を受けるという機会もありました。
僕らは第1期生ですから、病院側の熱意がすごく伝わってきたのを記憶しています。
馬場 公募を始めるにあたっていろいろと準備をしましたが、積極的に考えて協力してくれたのは、現場で臨床をしっかりやっている中堅クラスの先生でした。そういう層が、だんだん皆さん世代に移っていくのかなと期待しています。
三好 自分と同じような研修を受ける後輩たちの不安な気持ちなどは分かりますので、指導とまではいえませんが、協力してあげられるのではないかという気がします。
馬場 プログラム自体について、何か気がつくことはありませんか?
研修プログラムは柔軟に
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長久 どんどん変わっていますね。実際、下の学年とも違っています。正直言って、自分のローテイションはすごく得したなと思います。
三好 いきなり完全なものはできないので、5年10年かけて、この病院なりのものを作っていけばいいのではないでしょうか?
中辻 スーパーローテイトの枠組みの中でやっていくのは大変なことだと思います。今年度のカリキュラムを作成する会議にも何回か出席させていただきましたが、三好先生が言われていたように、いろいろと考えていきながら、一番よいと思われるプログラムが完成されるのだろうなと思います。
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三好 ある程度の自由度をもたせておくのも必要ですね(笑い)。主体性のない人がいい医者になれるようにがちがちに固めるのではなくて、やる気のある人が、自分のしたいことがあればある程度自由にできるプログラムを…
長久 浅井先生は2つ目の科を回っているのですか?
浅井 はい。
長久 1つの科は2か月ですか。
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浅井 2か月はちょっと短いなと思います。今、循環器内科にいますが、循環器内科にいても神経内科にコンサルトすることもあるし、糖尿病を合併している患者さんを診ることも多いです。2年間で内科疾患を全体的に勉強できればいいのかなと思います。
馬場 内科は専門化しているため、細切れになると困るので、各グループには、基本的な研修目標が到達できるということだけは最低限守ってほしいとお願いしています。そうでないと、教える方は専門的なことまで教えたいでしょうから、レジデントにとっては相当負担になると思います。そのあたりは、適当に取捨選択すればいいのではないですか?
浅井 その点は、かなり研修医の自主性に任せられていると感じます。今は循環器内科ですが、好きな時間にエコーを見に行って聴診させていただいたり、往診につかせていただいたり、そういう時間が持てるのがすごくうれしいです。
馬場 そうはいっても、指導は受けているのですよね。
浅井 はい、もちろんです。
馬場 勝手にやっていると、どうしても自己流になってしまうからね。
長久 話は全く変わるのですが、名札の「レジデント」というのには何か意図があるのですか?
馬場 これもいろいろ検討しました。科を書くわけにはいかないし、研修医と書くと一般の患者さんの印象が悪いということで、レジデントとしました。患者さんも皆さんの存在に気付いて、「最近は若い医師が多い」などという投書もあるようです。
そこで、レジデントの皆さんにお願いしたいのは、患者さんと接する時は自己紹介をしてくださいということです。きちんと指導を受けながら研修をしていますということをはっきりアピールし、患者さんとの信頼関係を築くため、必ず自己紹介をしてください。
後輩の指導で自己のステップアップ
馬場 さて、2年目、3年目の方は次の世代の人を教えるということで、自分がステップアップできるという面がありますね。自分が成長する上でも、教えるということは重要です。そのあたりで何か感じたことがあれば…
中辻 分からないことを後輩の1年目や2年目の研修医の先生に聞かれたときに、知ったかぶりをしたりとか、知らないから調べといて、と言うのではなく、分からないから一緒に調べようと言って一緒に本を調べにいったり、上の先生に聞いたりとか、そういうことができる先輩であり続けないといけないと常々考えています。
馬場 今まで教えていて、気になるようなことはありませんでしたか? 若い人に聞かれて、ちょっとあぁいう聞き方されたら腹が立つよな、とか…
中辻 質問をするタイミングも大切ですね。ものすごく忙しいときに聞かれると辛いですので、なるべく空いてる時間に質問をするというような配慮が大切だと思います。
三好 ずっと下だったので、教えてあげるなんていうのはおこがましいような感じです。聞かれたことに対して分かれば答えますが、こちらからさしでがましく、これはこうだよ、というのはなかなかちょっと気が引けてしまいます。聞いてもらえれば答えますし、できるだけ下の人から聞きやすそうな雰囲気を作っておきたいな、という気持ちです。
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長久 研修では三好先生と一緒に回ることが多かったので、その三好先生の作られている雰囲気に乗っかっていろいろ教えてもらいました。勤務中に聞くのはもちろんですが、意外と病院外での付き合いで、たとえば二人で食事に行ったりしたときに話した内容とかは、実はすごくしっかり覚えていることが多いですね。レジデントに限って言えることなのかもしれませんが、同世代がこれだけいるわけですから、病院外でも人と人との距離を近くすることが実はすごく大事で、そこから得られるものがすごく大きいのじゃないのかなと思います。
僕が外科の研修をしたときは一人だけでしたが、今は6人一組で研修しています。僕が経験したことと同じことを経験している人が他に5人いて、その5人とお互いの情報を共有できたら、それはすごく効率がいいというか、勉強になるんじゃないかなと思いますね。
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佐野 レジデント同士仲良くすることはいいことですね。
三好 発言するということが大事だと思います。それに対する上の先生の反応、「何言ってんだ」と言われることも多いですが、そういうやり取りをするなかで、各科の先生のコモンセンス、どういう感覚で判断されているのかがだんだん分かってくると思います。
浅井 私はもっぱら聞き役なのですが、聞くときには自分なりに調べたあとに聞かないと失礼なんじゃないかと思っていましたが、今、先生方のお話を聞いたら、これからは遠慮なく伺おうと思いました(笑い)。
地域に信頼されている病院で働く責任感
馬場 当院は、地域の中核病院として近隣の医療機関との連携を大切にして、また、患者さんもそういう意味で信頼して来られていますが、倉敷はやはり田舎です。皆さんだいたいは都会志望ですよね。ここを選んでいただいて、ありがたいなと思っています。
中辻 人が温かいというのがいいのではないでしょうか。見学したときの雰囲気で分かります。最近、医療訴訟などのしがらみに縛られて、自分でああしよう、こうしようと思ってもだんだん受身になったりします。都会の病院はそういうのが強くあって、研修に集中できないというところもあるようです。
長久 どこに病院があるかで研修先を考える先生って、いらっしゃるのですか?
馬場 全体的な動きを見ると、やはり都会志向ですね。ひとつは生活圏ということもあるでしょう。例えば関西の人だったら関西近辺がいいとか。
三好 都会出身の人が人口的にも多いから…
長久 倉敷は僕には縁もゆかりもない土地なんですけど(笑い)。
馬場 やはり飛び出すには勇気がいったと思いますね。
三好 田舎から都会に行くのと、都会に住んでた人が田舎に行くのとは意味が違うでしょう。
浅井 私も知人が一人もいない状態です(笑い)。マッチングのときに同級生の意見を聞いてみると、都会で就職したいという意味の憧れを持っている人たちも周りにはいました。都会で一回生活してみたい、2年間だけ都会で生活してまた戻ってくる。そういう考え方は結構耳にしました。
三好 この病院は、地域に住まれている方や近くの開業医の先生に信頼されているというか、最後の頼みの綱みたいな病院と思われているのはすごく感じます。そのような病院で働くことに責任感を感じますし、よくして返してあげると喜んでもらえます。
馬場 地域医療を担っているという満足感がありますね。
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浅井 私がこの病院を選んだ理由は、自分が患者としてくるならこの病院がいいな、という理想に一番近かったからです。今まで診た患者さんは、こんな病院はなかったとおっしゃる方が結構いらっしゃいました。アメニティの面でもそうですし、お医者さんの対応も、もちろん治療面もそうです。それを聞いていると、職員全員が理想を目指しているというのがよく分かるので、ここの一員として研修することは、新人の私にはいい影響があるのではと思います。
長久 この病院はすばらしい、すばらしいとよく言われますけれど、病院がすばらしいのではなくて、僕は多分、この病院に来る患者さんがすばらしいのだと思います。すばらしい患者さんが多いので、評価がいいと思います。
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馬場 皆さんの同級生がいろんな所に行っていると思いますが、その人たちと話していて何か気づくところはありませんか?
浅井 大学で研修している友達がいますが、大学では注射一本打つのでも自分でしないといけない。もちろん点滴のルートをとるのも自分で全部やらないといけないので、患者さんと本当に密接であるという感じがするということは聞いています。大学病院と一般病院との違いで、どっちがいいとはいえませんが…。
また一方、ここでは多くの患者さん、さまざまな病気を診られるというメリットがあります。
長久 最初は外科の看護師さんに頼んで採血をさせていただくようにして、いろいろ教えてもらいました。ある程度できるようになると重宝がられて、それがうれしかったり、ということがありました。
馬場 コメディカルの人も、意欲のある人に対しては結構サポートしてくださる。
三好 点滴や注射などを含めてコメディカルの仕事の幅が広いというか、能力・技術力が高いというのはやはりこの病院の特徴かなと思います。
また、忙しくても医者としての仕事、病気について勉強する時間も割合あります。他の病院に就職した人たちと話をすると、雑用に追われて本を開く時間もないという話を聞きますから。
後輩の育成を病院の文化として根付かせたい
佐野 医者は経験を重ねて初めて自信ができてくるものだから、症例の多い都会の病院を希望するようになるのでしょう。しかし、医者が成長していくのに何が大事かというと、病気と闘っている患者さんと、いかに真剣に付き合っていくかということだと思います。医者一人ひとりの人格かなと思います。一生懸命やろう、やろうとしている人はどこで研修しても立派になっていってくれると思います。僕らの立場で何ができるかというと、そうした意欲のある、真剣な若い人たちを、いかにしてさらにいい方向に持っていってあげられるか、お手伝いできるかということだと思います。
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馬場 皆さんは、今はまだ学ぶという気持ちの方が強いでしょうが、今後は、下の人の指導をお願いしたいと思っています。次々に下の人を指導する、沖縄でいう屋根瓦方式で、病院も活性化すると思います。実際に、皆さんが来られて病院も少しずつ変わってきています。倉敷中央病院のひとつの文化として育てていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いします。
佐野 公募の研修制度で来られている人たちは、この病院で学びたい、この病院で何かしたいと思っているわけだから、この病院をどうよくしたいか、そういう気持ちで研修すると、さらにいい病院になるのではないかなと思います。がんばってください。

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