倉敷中央病院の教育研修に関するアンケート調査報告
倉敷中央病院は、地域の基幹病院としてだけではなく、教育・研修病院として重要な役割を担ってゆきたいと思っています。平成13年度から公募によるジュニアレジデントプログラムを開始しました。平成16年度の臨床研修制度必修化以降も、毎年マッチングに参加してきました。この間、研修環境の整備や研修指導医の養成などに努めてきました。
しかしながら、平成19年度採用については産婦人科コースで、平成20年度採用については内科総合コースでマッチングの段階で定員割れを起こしました。この臨床研修マッチングでの欠員発生という事態を踏まえて、当院のプログラムの更なる見直しと改善が必要であると認識いたしました。
見直しと改善を具体的なものにするために、忌憚(きたん)のない意見を得ようと、平成19年10月に、当院にジュニアレジデントあるいはシニアレジデントへの応募・採用を前提に見学・受験などをした医学生、研修医など全員にアンケートを送付しました。また、院内のジュニア・シニアレジデントにもイントラネット上でアンケート調査を行いました。いずれも無記名としました。対象者は院外、院内ともそれぞれ150名でした。その結果の一部をここに紹介します。
回答者 院外42名(一部空欄あり) 回答率28% 院内46名(一部空欄あり) 回答率31%
主な質問内容は以下のとおりでした。
全員に尋ねた質問 当院の医療機関としての評価 当院の教育研修機関としての評価 当院の研修の強みと弱み さらにそれぞれの対策
院外者に尋ねた質問 実習見学で歓迎されたか 当院の研修は良さそうに思えたか
院内者に尋ねた質問 研修中に自分の成長を促進されたと感じることはあるか 研修中に自分の成長を阻害されたと感じることはあるか
この結果、当院は医療機関としては高い評価を受けていましたが、教育・研修機関としてはそれほど高い評価ではありませんでした。 また、教育研修の内容、システムなどについて具体的な問題点や改善点の指摘もありました。 ただ、その一部にはすでに改善に向けて具体的に取り組んでおり、ほぼ解決・対応していると思われるものもあり、当院の取り組みの宣伝・広報活動の不足も感じました。 ここに、その結果の一部を公表いたします。
当院の評価
医療機関として優れていると思うか
| そう思う | まあそう思う | あまりそうは 思わない | そう思わない |
| 人数(87名) | 61名 | 26名 | 0名 | 0名 |
| 割合 | 70% | 30% | 0% | 0% |
医療機関としての評価は高く、全員が肯定的な評価でした。

教育機関として優れていると思うか
| そう思う | まあそう思う | あまりそうは 思わない | そう思わない |
| 人数(87名) | 21名 | 47名 | 12名 | 6名 |
| 割合 | 24% | 55% | 14% | 7% |
教育機関としての評価については、ほぼ80%で肯定的な評価でしたが、約7%で「優れているとは思わない」とする評価でした。

具体的な提案など
そのほかの質問にもたくさんの意見をいただきました。その多くは、当院への期待を示すものでした。また、当院への複雑な思いを率直に表明したものもありました。すべてをここに示すことはできませんが、その要点を以下に示します。
教育研修機関としての当院の強みとして、
- 症例数が豊富であること
- 指導医が多く、指導内容が充実している
- 設備・スタッフ・診療内容・研究活動、すべてレベルが高い
- 対象患者が多様で数も多い 手術件数が多く若手にまかされている
- 専門性が高い カンファレンスが充実している 教育的な態度が感じられる
- 後期レジデントのシステムが充実しており、全国から熱心なシニアが集まっている
- 病院スタッフ全体の士気が高い
などが挙げられていました。
当院の弱み・問題点としては、
- 研修医や若手のやる気は感じたが、それを育てるシステムが感じられない
- 初期臨床研修医が手技的なことをやらせてもらえない
「シニアに比べてジュニアの研修は充実していない」という風評がある
- 指導医が多忙で指導が不十分になることがある
などが挙げられていました。
以上を踏まえて、院内での講義やカンファレンスの充実や、指導医からのフィードバックの機会の提供、手技などに関する指導・実践の機会の充実、さらにこれらの取り組みのアピールや宣伝を積極的に行うこと、などが提案されました。
この点について、以下のようなことが実際に行われています。
- 毎週水曜日の1時間の講義やカンファレンスの実施
その一部はシニアレジデントやジュニアレジデントによるもの
- 平成19年11月には外国人講師の招聘(Tierney Jr. LM)症例検討会とレクチャーの実施
来年度はさらに拡充する予定です
- 内科救急外来でのマンツーマンでの救急外来実習のシステム化:
段階的な判断の委譲とチェック体制の保障
- 小児科救急外来での外来実習
- 横断的な災害医療などの教育機会の提供
さらに、以下のような対策を準備しています。
- 内科総合コースでは、自由選択の期間を長くし、希望者には
選択期間でよりアドバンスの研修を可能にする
- 全病院的な講習会・講演会・学習機会をさらに充実する
- ジュニアによる教育担当医の評価システムを導入する
- 病院ホームページから講義内容などを一部紹介する
- 救急研修の更なる充実
このほかにもたくさんの具体的な意見をいただいております。今後、院内の教育研修委員会や、ワーキンググループなどにより、すべての意見に目を通し、改善に向けた具体的な取り組みを行ってゆく予定です。
|