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Last Update 2010.9.10
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  TOT(ティーオーティー)手術とメッシュ修復術を開始しました

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腹圧性尿失禁と骨盤内臓器脱(子宮脱、膀胱脱、直腸脱)に対する新しい手術(TOT手術とメッシュ修復術)を開始しました。

咳、くしゃみ、立ち上がった拍子などに尿がもれてしまう腹圧性尿失禁は女性に多い病気です。尿失禁の程度が軽い場合には骨盤底筋体操と薬物療法を行いますが、もれる量が多い場合には手術を行います。現在、わが国では「TVT(ティーブイティー)手術」といわれる方法が中心になっています。TVT手術では、下腹部2ヶ所と膣1ヶ所を切開し、尿道の裏側に幅1cmの人工テープをU字形に通して尿道を最適の位置に支えて固定します(図1)。長期成績も良く世界的にも高い評価を受けている手術方法ですが、テープが膀胱のすぐそばを通過するため膀胱を誤って傷つけてしまう危険性が数%あることと、ごくまれに骨盤内の血管や腸管を傷つけて重大な合併症を起こす可能性があることが欠点です。特に子宮摘出などの骨盤内手術を受けたことのある方では危険性が高くなるといわれています。

 
 
図1

最近、欧米ではTVT手術にかわって「TOT(ティーオーティー)手術」が主流になってきています。TOT手術は、尿道の裏側に人工テープを通して尿道を支える点ではTVT手術と同じですが、テープを通す場所がまったく異なっています。TOT手術では、両内股の付け根を切開して、骨盤の骨のすき間(閉鎖孔)から坐骨の裏にテープを通します(図2)。この場所には合併症を起こす重要な臓器がありませんので、TOT手術はTVT手術よりも安全性が非常に高くなっています。まだ新しい手術方法なので長期成績は出ていませんが、現時点での治療成績はTVT手術と同等です。最近、当院でもTOT手術を開始しました。健康保険が適用され、費用はTVT手術と同じで、2泊3日の入院で行っています。尿失禁でお悩みの方はぜひ泌尿器科を受診して下さい。

 
図2

また、女性特有の病気として、骨盤内臓器(子宮、膀胱、直腸)を支えている靭帯などの支持組織が弱くなって膣内に下垂してくることがあります。ひどくなると膣から体外に脱出してきます。骨盤内臓器脱と総称されますが、下垂・脱出してくる臓器によって子宮脱、膀胱脱(膀胱瘤)、直腸脱(直腸瘤)などと呼ばれます。子宮摘出を受けた方では膣が裏返しになってしまう膣脱が起こることもあります。これらの病気に対する根治療法としては手術しかありません。従来は、膀胱や子宮の周りの組織を強く縫い合わせて補強する手術方法がとられていましたが、もともと傷んでいる組織を使うため約3割の再発率がありました。数年前から欧米では、人工素材の繊維をガーゼ状に編み合わせたメッシュを膣壁と脱出臓器の間に入れて丈夫な壁を作る「メッシュ修復術」が普及し始めました。そけいヘルニア(いわゆる脱腸)の手術では以前からメッシュを使った手術が当たり前のように行われていますが、ヘルニア修復用のメッシュは骨盤内臓器脱用にはやや硬すぎるという欠点がありました。最近、十分な強度をもちつつも薄くて柔らかい骨盤内臓器脱専用のメッシュが発売され、今後、メッシュ修復術は、術後の痛みや体への負担が少なく再発率も低い(約5%)手術方法として主流になっていくと期待されています。メッシュは図3のように左右2本ずつ長い足が出る形に切り抜きます。膣を切開して膀胱の裏側にメッシュを当て、足の部分をTOT手術の要領で閉鎖孔から内股の付け根に引き出すことによりメッシュを最適の位置に固定します。したがってこの手術もまた非常に安全な手術です。最近、当院でもメッシュ修復術を開始しました。健康保険が適用され、1週間以内の入院です。これらの病気でお悩みの方はぜひ泌尿器科を受診して下さい。

   
図3
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