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呼吸器外科のご紹介

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01概要

基本診療方針


主任部長   奥村 典仁

当呼吸器外科は、1982年、玉田二郎科主任により開設され、当初は「呼吸器科」として内科的疾患も含む呼吸器疾患全般に対しての診療を行っていましたが、現在は下記のような基本原則の下に呼吸器外科疾患に対して積極的に取り組んでいます。今後もこの原則に則り、他科との連携のもとに、高いレベルの医療を実践していきたいと考えています。

基本原則
  1. 本院の理念および基本方針に基づいて診療を実践し、医療の質を高く保ちます。
  2. 患者の健康と安全を守ることをすべてに優先させ、その際、患者の人格を尊重し、個人の秘密を守ります。
  3. 医師、看護師、薬剤師など医療にかかわるスタッフ全員が、患者の権利を尊重し、安全かつ良質な医療を提供するために、協力して患者の診療にあたります。
  4. 患者の臨床的問題が複数の診療科にまたがる場合、必要に応じて他科紹介し、問題解決にあたります。
  5. 全てのスタッフは呼吸器外科のプロとして資質向上に研鑽し、習得した能力を社会に還元します。
診療留意点
  • 患者さんの便宜を図り、外来予約検査は通院日数を最小限にするよう計画します。
  • 悪性腫瘍の疑われる患者さんの診療にあたっては、治療(特に手術)が早期に開始できるように、検査・診断・入院がスムーズに運ぶべく最大限の配慮を行います。
  • 病状説明は可能な限り時間をかけ、わかりやすい言葉で説明し、十分理解され納得していただいた上で、最終的に患者さんの意思で治療方針を選択していただきます。
  • ご紹介していただいた患者さんに関しては紹介元へ迅速かつ詳細にご報告いたします。

対象疾患

肺や胸膜、横隔膜、縦隔、胸壁の疾患が疑われる場合を対象としています。乳腺・食道、心臓大血管、胸椎脊髄などの疾患が確定している場合は、他の科(それぞれ外科、心臓血管外科、整形外科)で診療しています。横隔膜の疾患は外科で、胸壁の疾患は形成外科や整形外科で診る場合もあります。

具体的には、肺癌、気胸、縦隔腫瘍、胸部外傷などが主たる疾患であり、他に手掌多汗症に対する手術や小児気道内異物摘出術、肺気腫に対する肺容量減少術なども行っています。手術適応のみられない肺癌や肺炎、肺結核、肺気腫、気管支喘息、肺線維症、塵肺、アレルギー性肺炎、気管支拡張症、慢性呼吸不全など、主として内科的治療の対象となる疾患は「呼吸器内科」で診療しています。当院には現在「呼吸器科」はありませんので、ご留意ください。

診療圏

主に岡山県西部、すなわち倉敷市を中心に北は新見市、西は笠岡市、井原市など、さらに広島県東部、香川県・愛媛県の一部にも及んでいます。


02診療内容

代表的治療法

  1. 開胸術
  2. 当科では胸筋の温存を考慮し、前方腋窩切開(腋窩より前下方へ切開します)による開胸を基本としています。皮膚切開は目的により異なりますが、最も多い肺癌に対する手術で平均15cm程度です。これ以外に膿胸や胸壁の手術等では後側方切開、縦隔腫瘍や重症筋無力症に対する手術では胸骨正中切開でアプローチすることもあります。

    術後の疼痛を制御する目的で、ほぼ全例に肋間神経ブロックと硬膜外麻酔を併用しています。

  3. 胸腔鏡手術(Video-Assisted Thoracic Surgery:VATS)
  4. 低侵襲性(術後疼痛の軽減、胸壁機能の温存)と美容上の利点の面から、近年、当科では胸腔鏡による手術が主流となってきています。従来の自然気胸等の良性疾患に加えて、最近では肺癌に対しても積極的に本術式を実施しています。ただし、安全性と確実性を十分考慮して適応を選択しています。手術の内容により2~4か所の操作孔(ポート)のみでのアプローチの場合と、小開胸を併用する場合とがあります。現在当科では直径3mm、5mm、5.5mm、10mmおよびflexible typeの胸腔鏡をラインナップしており、それぞれ用途に応じて使い分けています。

  5. 気管支鏡による治療
  6. 喀痰や気道内異物を除去、摘出する以外に、気管支ポリープや気管支内腫瘍を高周波スネアで除去したり、YAGレーザーでの焼灼を行っています。気管支表面の早期癌はYAGレーザー焼灼で消失することもあります。治療方針を決定するために気管支鏡下超音波検査を行っています。喀血に対しては気管支内に止血剤や外科的止血用製剤を詰めたりします。必要に応じて通常のファイバースコープではなく、硬性気管支鏡も使用します。また気管、気管支の悪性狭窄に対しては気道ステント留置も行っています。

各種検査

  1. 気管支鏡検査
  2. 外来検査または検査入院で行っており、リドカインの噴霧や滴下注入での局所麻酔下に行います。検査時間は正味30分以内ですが、来院から帰宅までは約3時間です。

  3. 胸腔鏡検査
  4. 通常全身麻酔下に行い、直径3mm~5mmの胸腔鏡を肋間の操作孔(ポート)から挿入し、胸腔内を観察し、胸水の採取や胸膜、肺病変の生検を行います。胸腔鏡以外に1~2か所のポートが必要になります。30分から1時間かかる検査です。原則として入院していただきます。

  5. 縦隔鏡検査
  6. 全身麻酔下に行います。胸骨の直上に約3cmの横切開を加え、そこから気管の前面に縦隔鏡を挿入していきます。主に縦隔リンパ節の生検のために行います。正味30分から1時間程度かかる検査です。入院していただきます。

  7. 経皮針生検
  8. 局所麻酔下に行います。胸壁、胸膜、縦隔、肺内病変に対し通常、CTまたはエコーガイド下に行います。当科では肺癌を強く疑っている場合には、これ以外に診断の手立てがない場合に限って、患者さんにお勧めしています。その理由は頻度は非常に少ないのですが、胸膜や筋肉皮下への人工的な播種が報告されているからです。原則として入院していただきます。

手術内容(2013年)

呼吸器外科全手術件数:420件(うち胸腔鏡下337例)

主な疾患別手術症例数

原発性肺癌:214件(VATS 178件)、転移性肺腫瘍:26件(VATS 26件)、縦隔腫瘍(重症筋無力症に対する拡大胸腺摘出手術を含む):22件(VATS 12件)、自然気胸・肺嚢胞症:60件(VATS 60件)

主な疾患の手術内容

  1. 肺癌
  2. 原則として病巣を含む肺葉切除とリンパ節郭清を行います。完全切除に必要な場合は2葉切除や1側肺全摘を施行しますが、気管支形成術、肺動脈形成術を行って肺全摘を極力回避するようにしています。進展例では胸壁、横隔膜、上大静脈、心嚢、左房等の合併切除も行います。また縮小手術として区域切除、部分切除を、病巣の大きさ、リンパ節転移の有無、肺機能などを考慮して行っています。

    肺癌に対する胸腔鏡手術

    近年、その低侵襲性から、世界的に肺癌に対する胸腔鏡手術(VATS)が普及しつつあり、前述の如く当科でも積極的に取り入れています。但し、癌の手術である以上、根治性が損なわれるようでは本末転倒です。VATSでは現在のところ縦隔リンパ節郭清において、標準開胸よりやや不利である点を考慮して、当科では現在のところ、VATSの適応を基本的に、画像的にリンパ節転移なしと想定される臨床病期Ⅰ期に限定して実施しています。さらに郭清リンパ節はほぼ全てのstationを術中迅速病理診断に提出し、リンパ節転移が1か所でも認められた場合には、標準開胸と同様の郭清ができるように皮切をやや延長して(7~8cmほど)徹底郭清を行うこともあります。これにより、従来の標準開胸で行った場合と同様の根治度が達成されていると考えます。

    最近は全国的に肺癌に対してVATSを取り入れている施設が増えてきていますが、中には毎回10cmに及ぶ皮膚切開を入れ、肋間をかなり広げて手術を行っている施設も少なくありません。これではVATSの最大の利点である低侵襲性が十分に生かされているとはいえないと考えます。

    胸腔鏡手術(VATS)
    図1

    当科では通常、腋窩付近に小開胸用の3~4cmの皮切を置き、これ以外に操作孔(ポート)用の約1.5cm~2.0cmの皮切を2か所置いてほぼ内視鏡視野のみで手術を行っており(完全鏡視下手術)、肋間の開胸幅を可及的に狭くするようにしています。但し胸膜癒着や分葉不全が高度の場合、および術中迅速病理診断でリンパ節転移が確認された場合などでは皮切を延長することもあります。(図1)

    また近年、胸腔鏡を含めた内視鏡手術での事故例が数例報道され、内視鏡手術の安全性が問題となってきております。当科でもこの問題を厳粛に捉え、VATSの適応を慎重に検討するとともに、術者を経験豊富な専門医に限定するなど、安全性を第一に考えて手術を行っています。

    術後創部痛は標準開胸に比べ軽微で、術後の肺機能低下も少なく、したがって術後QOLは良好であり、通常は術後5~7日という短期間で退院されています。


    肺癌に対する縮小手術:

    肺癌に対する縮小手術
    図2

    肺がんの手術には切除範囲の広い順から、図2のように
    ①片側の肺全体を切除する肺全摘除
    ②1つの肺葉を切除する肺葉切除
    ③1つまたは2つの肺区域を切除する区域切除
    ④肺の外側の小範囲を部分的に切除する楔状(けつじょう)切除(せつじょ)(部分切除)
    の4種類があります。小型非小細胞肺がんの場合には、通常、②の肺葉切除が行われます。



    以下に当科での肺癌切除例術後生存率を提示します。

    肺癌切除症例術後生存率(2003~2007年)725例
    ステージ 1年 2年 3年 4年 5年
    ⅠA(n=382)
    97.6
    96.3
    94.6
    91.3
    89.6
    ⅠB(n=133)
    94.7
    87.0
    79.9
    77.5
    72.6
    ⅡA(n=23)
    91.3
    82.6
    82.6
    78.0
    ⅡB(n=58)
    81.0
    60.3
    53.2
    47.7
    45.7
    ⅢA(n=76)
    78.3
    68.7
    63.1
    54.4
    50.0
    ⅢB(n=41)
    87.2
    82.1
    79.5
    76.8
    68.6
    Ⅳ(n=12)
    83.3
    75.0
    66.7
    58.3
    50.0
    全体(n=725)
    92.7
    87.2
    83.6
    79.8
    76.6
    (他病死例も含む)

    呼吸器外科全手術件数及び肺癌手術件数の推移

    肺癌術後平均在院日数の推移

  3. 気胸
  4. 自然気胸、続発性気胸とも原則として胸腔鏡下手術で行います。その多くが若年者である点を考慮して、当科では最近、直径3mmの胸腔鏡(Needle Scope)を使用しています。この方法で行えば、ドレーン留置孔以外はほとんど傷として残らず、従来の胸腔鏡手術よりもさらに美容上優れており、患者さんに好評です。通常、退院は術後3~4日後です。

  5. 気管腫瘍、気道狭窄
  6. 気管の狭窄や気管腫瘍、甲状腺癌、食道癌の気管浸潤などにおいては、気管の切除と吻合を行います。管状切除、端々吻合が基本ですが、時に側壁切除、有茎筋弁閉鎖なども行います。根治術の適応がない場合は、YAGレーザー焼灼や気道ステント留置などを行います。

  7. 胸腺関連疾患
  8. 胸腺腫が最も多いですが、胸腺癌、胚細胞腫、嚢腫などもあります。悪性胚細胞腫については術前化学療法を行います。嚢腫に関しては原則的にVATSで行いますが、それ以外は通常、胸骨正中切開にて胸腺ごと切除します。周辺臓器浸潤例では合併切除を行って完全切除を目指します。

    重症筋無力症については胸骨正中切開にて拡大胸腺摘出術を行っています。

  9. 手掌(腋窩)多汗症
  10. 多汗症でお悩みの方は意外に多く、ご本人でないと分からないような深刻な問題となっていることも多いようです。症状の程度と本人の訴え、希望により手術適応を決めます。手術術式は胸腔鏡下胸部交感神経幹切断術であり、当科では直径3mm胸腔鏡を使用しますので術後手術創は極めて軽微です。効果は術直後より現れますが、術後、他部位の代償性発汗は生じます。通常、入院期間は2泊3日です(ただし、退院後しばらく自宅安静は必要です)。

  11. 乳幼児、小児の気道内異物
  12. 成人、小児に限らず気管・気管支異物の放置による危険性は高く、疑いがあれば積極的に検査が必要です。成人の場合は通常のファイバースコープで異物摘出が可能なことが多いですが、小児に対しては細径のファイバースコープを使用し、これで摘出困難の際は、乳幼児、小児専用の硬性気管支鏡を用いて全身麻酔下に異物摘出を行っています。小児科入院扱いで行っていますので、小児科宛にご紹介してくださいますようお願いします。


03その他

施設認定

  • 呼吸器外科専門医合同委員会認定修練施設(基幹施設)
  • 日本呼吸器学会専門医制度認定施設(外科系)

カンファレンスのご案内

日常の業務としては毎週火曜日16:00~17:00まで気管支鏡カンファレンスを行っています(呼吸器外科、呼吸器内科合同)。

勉強会としては毎月第3木曜日17:00~18:00まで呼吸器センター放射線病理カンファレンスを、病理検査科の指導の下に呼吸器外科、呼吸器内科合同で行っています。

ご希望がありましたら地域医療連携室までご連絡ください。

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