蛋白選択性試験,セレクト

臨床的意義
糸球体基底膜自体は“ふるい”としての機能をもち、分子量の小さな物質は通過できるが、分子量の大きな物質は通過できない仕組みになっている。これを、サイズ選択的障壁という。一方、正常な糸球体基底膜と上皮細胞は陰性に荷電し、血清蛋白の大部分も陰性に荷電しているため、両者は反発し合い、尿中への排泄を防いでいる。これを、荷電選択的障壁という。2つの障壁のうちどちらか、あるいは両方が障害されると、糸球体性蛋白尿が生ずる。
荷電障壁が障害されるとアルブミン尿がみられ、サイズ障壁が障害されるとアルブミンに加えて免疫グロブリンも尿中に認められる。このような蛋白尿の性質を示す一つとして、尿蛋白の選択指数(selectivity index:SI)が用いられている。これは比較的高分子のIgGと比較的低分子のトランスフェリン(Tf)のクリアランスの比をとったもので、SI=CIgG/CTfと表現される。
しかし、血中、尿中のIgG濃度とTf濃度を、それぞれsIgG、uIgG、sTf、uTfとすると、次式から簡単に計算できる。
       SI=(sTf × uIgG)/(sIgG × uTf)


異常値所見
SIが0.2以下の場合は、尿蛋白の選択性が高い高選択性といい、これはアルブミンなどの比較的分子量の小さな蛋白を主体とした蛋白尿であることを示している。微小変化型ネフローゼ症候群の多くは、SI 0.2以下を示し、選択性は高く、ステロイドや免疫抑制薬に対する効果は良好である。慢性腎症や巣状糸球体硬化症による蛋白尿では、半数以上の患者で、SIが0.2以上と、選択性は低い(低選択性)。前者は荷電障壁主体の障害、後者は荷電障壁障害とサイズ障壁の障害を伴ったものと考えられる。
SIが0.7以上の場合は無選択性といい、重症のネフローゼ症候群、糖尿病性腎症、アミロイドーシスや慢性糸球体腎炎の末期などでみられ、治療に反応しにくい。


検査法(最新) 血液Tf・IgG、尿IgG:免疫比濁法、尿Tf:ラテックス凝集比濁法 2017/05/01 ~ 9999/12/31
臨床参考値(最新) 血液
 IgG;861~1747mg/dL
 Tf:190.0~320.0mg/dL
尿:2017/05/01よりLABOSPECT006で測定
 IgG:0.5mg/dL未満
 Tf:1mg/dL未満
検査法(前回) 免疫比濁法. 2017/03/01 ~ 2017/04/30
臨床参考値(前回) 血液
 IgG;861~1747mg/dL
 Tf:2017/03/01よりLABOSPECT006で測定
    190.0~320.0mg/dL
尿
 IgG:0.5mg/dL未満
 Tf:1mg/dL未満
 (H7170)
検査法(前々回) 免疫比濁法 2016/10/01 ~ 9999/12/31
臨床参考値(前々回) 血液
 IgG;2016/10/01より共用基準範囲に変更
    861~1747mg/dL
 Tf:190.0~320.0mg/dL
尿
 IgG:0.5mg/dL未満
 Tf:1mg/dL未満
 (H7170)