蛋白分画 略 称 EP
担当検査室 生化学( TEL:2494,2495 ) 至急指定 不可
時間外 なし
結果報告時間(普通) 1~2週 結果報告時間(至急) -
検査目的 ・血清中の蛋白分画の測定。
・血漿蛋白異常のスクリーニングに用いられる。
臨床的意義 ヒト血清中の蛋白成分は100種類以上から構成されており,その機能や性状はそれぞれの成分によって異なる。
一般的に血清総蛋白の変動には,量的に多いアルブミンや免疫グロブリンの増減が大きく影響し,他の各成分が
影響を及ぼすことは少ない。
したがって,各種の疾患や病態の把握には,それぞれの蛋白成分の特徴的な変動(量的,質的)を知るために
血清蛋白分画測定が必要である。
異常値所見 ①急性炎症型:急性炎症により、急性相反応物質(糖蛋白)が増加する。分画像の特徴は、主としてα1-アンチトリプシン、α1-酸性蛋白によるα1分画の増加、ハプトグロビン、セルロプラスミンによるα2分画の増加が認められる。また、β分画のC3も増加するが、トランスフェリンの減少傾向が若干有意となるため、多くの場合β分画は減少傾向を示す。血清総蛋白、アルブミン分画は減少傾向を示す。
②慢性炎症型:急性相反応物質のみならず、慢性の刺激による反応の結果として、多クローン性免疫グロブリンの増加が観察される。消耗性疾患としての病態をもち蛋白不足型となり、アルブミン分画、β分画は減少する。
③慢性肝障害型:高度の肝障害により、肝臓で生成される蛋白が著しく低下し、免疫グロブリンは多クローン性に増加する。またトランスフェリンの減少とIgA、IgGの増加により、β分画とγ分画の分離が不明瞭となる(β-γbridging)。これは慢性肝障害型、特にアルコール性肝硬変で多く観察される。
④ネフローゼ型:アルブミンなど比較的低分子量の蛋白が尿中へ排泄されるために著しい低蛋白血症があり、アルブミンの著明な減少、α1分画の減少、α2分画の著明な増加(α2マクログロブリン、リポ蛋白など)、γ分画の低下が認められる。β分画は症例により異なる(トランスフェリンは減少、β-リポ蛋白は増加のため)。
⑤蛋白不足型:アミノ酸が不足する栄養不良の場合と血清蛋白が血管外、体外に失われる蛋白漏出性胃腸症などで認められる。アルブミン分画の著しい減少、β分画の減少が認められる。α1、α2分画は正常もしくは軽度の減少傾向をとるが蛋白不足の進行とともにその減少はより著明となる。
⑥γ分画欠乏型:原発性および続発性免疫不全症候群でみられ、前者は産生の先天的欠如、後者は基礎疾患の影響による産生の低下である。生体内の免疫機構が低下しているため、急性炎症型の変化を伴う。
異常蛋白帯の出現と蛋白欠損
①2峰性アルブミン:遺伝性のアルブミン異常症であり、アルブミン分画が2峰性を示す。その原因として1個ないし数個のアミノ酸の変異が報告されている。また、黄疸血清やペニシリンなどの薬剤投与によりアルブミンの移動度が陽極側に延びたり、幅広い分画像を呈することがある。
②αフェトプロテイン:α-フェトプロテインが多量(300ng/mL以上)に存在する場合、アルブミン分画とα1分画の間に明瞭な蛋白帯として認められることがある。
③M蛋白:多発性骨髄腫、原発性マクログロブリン血症などにおいて出現する。M蛋白が検出された場合、腫瘍性増殖によるものか反応性増殖によるものか鑑別しなければならない。後者はM蛋白血症の約3/4を占め、MGUS(monoclonal gammopathy ofundetermined significance)と呼ばれる。検査上、腫瘍性の参考所見としては(a)M蛋白の著増 (b)M蛋白以外のほかの免疫グロブリン著増(c)ベンスジョーンズ蛋白(BJP)の存在(d)比較的短期間のM蛋白の急激な増加などがある。
保険情報 適用あり
オーター情報 入力可
採取容器名 茶栓分離剤入り採血管
サンプルの種類 血清
必要量:200μL
測定日情報 月~金曜日
患者準備,採取・提出上の注意 ・溶血していた場合、必要に応じて再採血の依頼をする
測定に及ぼす諸因子 ・検体の凍結融解を繰り返すと変性を起こし分画が不明瞭となる。
・溶血検体では溶出したHbがβ分画に流れ,α2とβ分画の分離が不明瞭となる。
その他情報 1986/03/01~1995/10/11
ザルトリウス膜電気泳動法(AES600)
1995/10/12~2003/08/03
セパラックスSP膜電気泳動法(AES620)
血清・尿蛋白電気泳動パターン

検査法(最新) セレカ-VSP膜電気泳動法(CTE880) 2015/07/21 ~ 現 在
臨床参考値(最新) Alb 57.4-69.5%
   r=0.991
   y=1.022x-0.986
α1-G 1.9-3.0%
   r=0.984
   y=0.987x-0.014
α2-G 6..3-10.2%
   r=0.995
   y=1.064x-0.605
β-G 7.7-12.2%
   r=0.966
   y=0.965x+0.608
γ-G  11.2-22.2%
   r=0.991
   y=1.027x-1.047
                    x;従来機器(AES630) y;CTE880
検査法(前回) セレカ-VSP膜電気泳動法(AES630) 2008/01/04 ~ 2015/07/20
臨床参考値(前回) Alb  60.0-71.0%
α1-G  1.9-3.3%
α2-G  5.7-9.7%
β-G   6.8-11.0%
γ-G  11.0-21.0%
検査法(前々回) セパラックスSP膜電気泳動法(AES630) 2004/09/01 ~ 2008/01/03
臨床参考値(前々回) Alb  60.0-71.0%
α1-G  1.9-3.3%
α2-G  5.7-9.7%
β-G   6.8-11.0%
γ-G  11.0-21.0%