臨床的意義 |
免疫グロブリンIgGには4つのサブクラスが存在する。IgG4はそのひとつで、血清半減期は23日、胎盤透過性を有するが、補体結合性は通常認められない。Fc部で肥満細胞に結合する性質があり、Ⅰ型アレルギーへの関与が考えられている。IgG4の反応は、ケミカルメディエーターの放出には結びつかず、むしろIgEと抗原を競合することによりメディエーターの放出を抑える遮断抗体として作用する可能性が示唆されている。血清IgG4濃度が感度以下の場合、感染症を反復するなどの易感染性があれば、IgG4欠損症やataxia telangiectasiaなどの免疫不全症を疑う。一方、IgG4高値を呈する場合には、IgG4関連疾患の可能性を念頭におく。IgG4関連疾患は、単一または複数の臓器にびまん性あるいは限局性腫大、腫瘤、結節、肥厚性病変を呈し、高IgG4血症、罹患組織中に著明なIgG4陽性形質細胞浸潤と線維化を特徴とする新しい疾患概念である。自己免疫性膵炎(Type Ⅰ、LPSP型)、Mikulicz病、IgG4関連腎臓病などが包括される。しかし、基準範囲上限から軽度の高IgG4血症をとる疾患には、アレルギー疾患、悪性腫瘍、自己免疫疾患も存在するため、診断は慎重に行わなければならない。 |