臨床的意義 |
NGAL は分子量約 25 kDaのタンパク質で、通常、腎臓・肺・胃・腸などさまざまなヒト組織で非
常に弱く発現しているが、虚血再還流障害、腎毒性物質、敗血症、慢性腎臓病(Chronic Kidney
Disease;CKD)の急性増悪による腎障害によって速やかに腎の上皮細胞に発現し、尿中へ大量に
排出される。組織中のNGALの発現上昇は mRNAおよび蛋白量レベルで確認できる。腎臓でNGALは、
遠位尿細管から尿中または血中へ分泌され糸球体で濾過された後、近位尿細管で再吸収または尿
中に排出される。これらの特徴から、尿中 NGAL は腎機能低下の前に腎障害そのものを示唆するマ
ーカーとなりうると考えられている。腎機能低下が認められるまたは腎障害のリスクが高い手術後、敗血症、多臓器不全、腎炎、腎毒性薬物等を投与されている患者における急性腎障
害診断の補助的指標に用いられる。 |