血液ガス分析 略 称 血液ガス
担当検査室 生化学( TEL:2494,2495 ) 至急指定
時間外 あり
結果報告時間(普通) 60分 結果報告時間(至急) 60分
検査目的 動脈血中又は静脈血中のガス分析
臨床的意義 血液ガスの異常によって評価される病気のなかには、酸素を外界から取り入れる器官である肺をはじめとして、酸素を運ぶ血液を押し出す心臓、CO2濃度と平衡状態にある重炭酸イオンを産生する腎臓などがある。
血液ガス測定項目としては、①ガス交換の指標、②酸塩基平衡の指標の2つに分けることができ、ガス交換の指標としてはpO2、sO2、pCO2があり、呼吸機能や心機能で影響を受ける。酸塩基平衡の指標としてはpH、HCO3-、BE、pCO2があり、呼吸機能とともに腎機能や糖尿病などの代謝異常で影響を受ける。
異常値所見 血液ガス異常の4基本型
1)代謝性アシドーシス
HCO3-が減少する病態であり、慢性腎不全や糖尿病性ケトアシドーシスなどがある。これらの病態では酸産生が増加し、血中のHCO3-が中和のために使われてしまうため、あるいは腎臓からのH+排泄減少によってHCO3-の減少が起こる。
2)代謝性アルカローシス
HCO3-が増加する病態であり、H+の喪失(嘔吐や下痢など)、アルカリ過剰投与などで起こる。H+が喪失するとH2CO3m⇔ H++ HCO3- の平衡が右に傾きHCO3-が増加する。
3)呼吸性アシドーシス
pCO2が上昇する病態であり、呼吸不全による肺からのCO2排泄障害などで起こる。呼吸に障害が起こると血中のCO2を十分に肺から排泄できず、血中CO2蓄積が起こる(pCO2↑)。HCO3-/ pCO2比は減少し、pHは低下する(酸性に傾く)。
4)呼吸性アルカローシス
pCO2が低下する病態であり、過換気症候群がこれにあたる。過換気、つまり呼吸が早くなったり、深くなったりすると肺からのCO2排泄が増加し血中のCO2が減少する。pCO2の低下によりHCO3-/ pCO2比が増加し、pHは上昇する(アルカリ性に傾く)
保険情報 適用あり
採取容器名 動脈血サンプラー
サンプルの種類 動脈血、静脈血、胸水、腹水、透析液、尿、その他
血液以外の穿刺液等の測定値は参考値とする

サンプリング量;55~95μL
測定日情報 毎日測定
患者準備,採取・提出上の注意
  • 採血時に患者が精神的緊張、興奮にて過呼吸になるとPCO2値は低下する。
     また、痛みによる息こらえなどにて意識的な低換気になるとPCO2値は上昇する。
     リラックスしてもらい、速やかに採血することが大切である。
  • 依頼用紙に記載事項を記入する.体温が記入されない場合は, 体温37℃として測定する.
  • ヘパリン採血後,ただちに注射針の先端をゴム栓で密封し,  持参する.空気に触れると,CO2が飛散し,  血液pHが変化するため,気泡は必ず抜く.
  • 採血後放置により,デ-タは影響を受けるため、直ちに検体受付に提出すること(20分以内).
  • 凝固していた場合、必要に応じて再採血の依頼をする
  • その他情報 検査履歴
    1992.11.25~2003.8.3
    電極法(ABL500)

    検査法(最新) 電位差測定法:pH,pCO2(ABL815)
    アンペロメトリック法:pO2(ABL815)
    吸光分光法:sO2(ABL815)
    2020/06/01 ~ 現 在
    臨床参考値(最新) pH    7.35~7.45
    pCO2  35~45mmHg
    pO2   80~100mmHg
    HCO3  M:22.5~26.9mmol/L F:21.8~26.2mmol/L
    ABE  -2.0~2.0mmol/L
    SBE  -2.0~2.0mmol/L
    SBC  22~26mmol/L
    sO2  94~99%
    出典:臨床検査法提要
    従来法との相関
    pH  r=0.997   y=0.998x+0.011
    pCO2 r=0.997   y=0.982x-0.358
    pO2 r=0.9996  y=1.035x-2.542
    sO2 r=0.9995   y=0.957x+5.046
    tHb r=0.994   y=1.035x-0.848
    (x:ABL710)
    ・時間外検査
    2018/9/3~;電位差測定法,アンペロメトリック法,吸光分光法(ABL810)
    従来機との相関
    pH  r=0.9802   y=0.983x+0.123
    pCO2 r=0.9965   y=1.018x-1.884
    pO2 r=0.9997  y=0.985x+0.797
    sO2 r=0.9991   y=1.048x-4.993
    tHb r=0.9947   y=0.975x+0.257
    (x:ABL815)
    検査法(前回) 電位差測定法:pH,pCO2(ABL815)
    アンペロメトリック法:pO2(ABL815)
    吸光分光法:sO2(ABL815)
    2016/05/02 ~ 2020/05/31
    臨床参考値(前回) pH    7.34~7.45
    pCO2  32~45mmHg
    pO2   69~116mmHg
    HCO3  20~26mmol/L
    tCO2  21~27mmol/L
    ABE  M;-2.4~+2.3mmol/L
         F;-3.3~+1.2mmol/L
    SBE  M;-2.4~+2.3mmol/L
         F;-3.3~+1.2mmol/L
    SBC  22~26mmol/L
    sO2  95~99%
    tO2  M;18.8~22.3Vol%
         F;15.8~19.9Vol%
    検査法(前々回) 電位差測定法:pH,pCO2(ABL710)
    アンペロメトリック法:pO2(ABL710)
    吸光分光法:sO2(ABL710)
    2003/08/04 ~ 2016/05/01
    臨床参考値(前々回) pH    7.34~7.45
    pCO2  32~45mmHg
    pO2   69~116mmHg
    HCO3  20~26mmol/L
    tCO2  21~27mmol/L
    ABE  M;-2.4~+2.3mmol/L
         F;-3.3~+1.2mmol/L
    SBE  M;-2.4~+2.3mmol/L
         F;-3.3~+1.2mmol/L
    SBC  22~26mmol/L
    sO2  95~99%
    tO2  M;18.8~22.3Vol%
         F;15.8~19.9Vol%
    以前はその他を参照