臨床的意義 |
凝固因子インヒビターは凝固因子に対する獲得性阻止物質で、ほとんどが単一の凝固因子に対する同種抗体(免疫グロブリン)である。
これらの抗体は、試験管内で凝固因子活性を失活させる中和抗体の場合と、凝固因子蛋白の非機能部位に結合し、血漿中のクリアランスを亢進させる場合がある。
各凝固因子の先天性欠損症患者に凝固因子製剤の補充療法や輸血を行った際には、同種抗体として当該凝固因子に対するインヒビターを発生することがある。
またまれに、凝固系に異常のない健常人や、種々の基礎疾患を有する患者において、自己抗体として凝固因子インヒビターが産生されることがある。
あらゆる凝固因子に対する自己抗体の症例が報告されているが、なかでも第Ⅷ因子に対する抗体獲得症例が最も頻度が高く、後天性血友病ともいわれている。 |