腫瘍関連染色体分染法 略 称 腫瘍関連染色体分染法
担当検査室 染色体( TEL:2421 ) 至急指定 不可
時間外 なし
結果報告時間(普通) 1~3週間 結果報告時間(至急) -
検査目的 骨髄血、リンパ節、腫瘍組織などに含まれる造血細胞を培養し、標本作製後G分染法にて処理する。
国際規約(ISCN)に準じバンドパターンを分析し、異常の有無を解析する。
染色体の数的異常、構造異常を検出することにより、造血器腫瘍の病型分類、治療薬選択および予後判定に有用である。
臨床的意義 後天性すなわち腫瘍細胞などに認められる体細胞変異を確認する目的で行う。腫瘍細胞の染色体検査にのみ特徴的な染色体異常については、ほとんが白血病を中心とした造血器腫瘍を対象としたものである。
共通した染色体異常を認める場合、単クローン性の核型異常と判断する。
これらの異常には数的異常と構造異常があり、数的異常では、癌抑制遺伝子の欠失により残った他方のアリルが不活化されることにより、またトリソミーでは、遺伝子の量的な恒常状態が保たれず癌化に関わると考えられている。構造異常では、異常部位の構造変化が引き起こされ、新しい融合遺伝子で産生された融合蛋白質により細胞の増殖が促進されたり、転座した抗原受容体遺伝子のエンハンサーによって切断点近傍の癌遺伝子が活性化され異常発現する。
代表的な染色体異常と関連遺伝子
1.急性骨髄性白血病
  • t(8;21)(q22;q22)     RUNX1(AML1)/RUNX1T1(MTG8)
  • t(15;17)(q24;q21)     PML/RARA
  • t(1;11)((p32;q23)     KMT2A(MLL)/EPS15
  • t(6;11)(q27;q23)     KAMT2A(MLL)/MLLT4(AF6)
  • t(9;11)(p22;q23)     KAMT2A(MLL)/MLLT3(AF9)
  • inv(16)(p13q22)     MYH11/CBFB
  • t(6;9)(p23;q34)     DEK/NUP214(CAN)
  • t(7;11)(p15;p15)     NUP98/HOXA9

  • 2.慢性骨髄性白血病
  • t(9;22)(q34;q11.2)     BCR/ABL1

  • 3.B細胞性白血病
  • t(1;19)(q23;p13)     TCF3(E2A)/PBX1
  • t(4;11)(q21;q23)     KMT2A(MLL)/AFF1(AF4)
  • t(11;19)(q23;p13)     KMT2A(MLL)/MLLT1(ENL)
  • t(12;21)(p13;q22)     ETV6(TEL)/RUNX1(AML1)
  • t(9;22)(q34;q11.2)     BCR/ABL 1

  • 4.T細胞性白血病
  • t(8;14)(q24;q32)     TCRa/MYC
  • t(1;14)(p32;q11)     TCRa/TAL1
  • t(11;14)(q13;q32)     TCRa/LMO1(RBTN1)
  • t(11;14)(p13;q11)     TCRa/LMO2(RBTN2)

  • 5.B細胞性悪性リンパ腫
  • t(8;14)(q24;q32)     IGH/MYC
  • t(11;14)(q13;q32)     IGH/CCND1
  • t(2;8)(p12;q24)     IGK/MYC
  • t(8;22)(q24;q11)     IGL/MYC
  • t(14;18)(q32;q21)     IGH/BCL2
  • t(3;14)(q27;q32)     IGH/BCL6
  • t(14;19)(q32;q13)     IGH/BCL3
  • t(3;22)(q27;q11)     IGL/BCL6

  • 6.T細胞性悪性リンパ腫
  • t(2;5)(p23;q35)     NPM1/ALK
  • t(14;14)(q11;32.1)     TCRa/TCL1A
  • inv(14)(q11q32.1)    


  • 〈影響〉
    染色体の正常変異または染色体の異型性:優性の性質として遺伝し、保因者の表現型・リプロダクションに影響しない。
    加齢による性染色体の欠失:女性はおよそ50歳を超えるとX染色体を失った45,X細胞が増え、男性はおおよそ65歳を超えるとY染色体を失った45,X細胞が増える傾向がある。
    保険情報 適用あり
    オーター情報 入力可
    採取容器名 注射器
    サンプルの種類 骨髄血、末梢血、リンパ節、組織、体腔液

    採取量
  • 骨髄血:0.3mL以上
  • 末梢血:1mL以上
  • リンパ節・組織:1個以上
  • 体腔液:1mL以上
  • 測定日情報 ・月~土曜日
    ・検体提出が時間外になる場合には、電話連絡が必要。
    ・緊急の場合は,数日中に顕微鏡下で分析した結果を報告可能。但し、検体提出時にその旨を依頼の事。
    患者準備,採取・提出上の注意 骨髄血
    1)注射器
    ヘパリン液であらかじめ内壁をぬらし、余分なヘパリンを捨てたディスポ注射器で採取する。
    (過剰なヘパリンは細胞分裂を阻害するため採血量および採取方法に注意する。)
    末梢血
    1)緑栓ヘパリン採血管
    2)シリンジ
    ヘパリン液であらかじめ内壁をぬらし、余分なヘパリンを捨てたディスポ注射器で採取する。
    (過剰なヘパリンは細胞分裂を阻害するため採血量および採取方法に注意する。)
    リンパ節・組織
    1)緑栓滅菌スピッツ
     (滅菌生理食塩水を入れて材料が乾燥しないようにする。)
    2)2) コニカルチューブ
     (10%FBS添加・RPMI-1640を入れて組織が乾燥しないようにする。)
    3)滅菌シャーレ
     (滅菌生理食塩水に浸した滅菌ガーゼで材料が乾燥しないようにする。)
    体腔液
    1)緑栓滅菌スピッツ
    測定に及ぼす諸因子 1) 細菌感染により染色体分裂が阻害される。
    2) 過剰なヘパリンにより染色体分裂が阻害される。

    検査法(最新) G分染法(必要に応じFISH法) 1983/08/01 ~ 現 在
    臨床参考値(最新) 正常男性核型 46,XY
    正常女性核型 46,XX