細胞診検査(婦人科) 略 称
担当検査室 病理( TEL:2426,2478 ) 至急指定 不可
時間外 なし
結果報告時間(普通) 5~7日 結果報告時間(至急) 2~4日
検査目的 子宮頚部、頚管、子宮体部の細胞を採取し、異型細胞のスクリーニング、細胞形態学的評価を行う。
臨床的意義 ・子宮頚部、頚管、子宮体部の擦過細胞診は子宮頚がんのスクリーニング検査として集団健診とともに 日常の婦人科診療においても幅広く実施されている。
子宮頚部擦過細胞診は外子宮口周囲を擦過し、頚癌の発生のもっとも多い、 扁平円柱上皮境界部squamo-columnar cell junction(SCJ)付近の細胞が採取されるので子宮頚がんのスクリーニングに適している。
頚管内擦過細胞診はとくにSCJが上方に移動する高齢者において重要である。
当院においては一枚のスライドガラスに頚部、頚管擦過を塗抹し、スクリーニング検査を実施している。
スクリーニング結果は、判定としてのクラス分類、ベセスダシステムの基準に基づいた推定組織型、細胞所見を併記して報告を行っている。
・体内膜腺癌、子宮内膜増殖症(単純型・複雑型)、その他の組織型の内膜腫瘍など子宮内膜の増殖性疾患において、その組織像を反映した細胞所見が得られる。増殖性疾患でなくとも、年齢・ホルモンによる影響により、細胞所見が変化する。また、乳癌の治療薬(タモキシフェン、他)など子宮にホルモン拮抗作用を及ぼす可能性のある薬剤内服によっても、細胞所見に影響を与えることがある。機能性出血における不全増殖内膜(endometrial glandular and stromal breakdown :EGBD)では、 特徴的な細胞像がみられるが、時として真の増殖性疾患と鑑別を要する場合もある。
保険情報 適用あり
オーター情報 入力可
細胞診依頼箋が必要
サンプルの種類 子宮頚部、頚管あるいは膣断端、膣壁の擦過材料
・帯下より採取した分泌物中の細胞
・子宮体部擦過材料
測定日情報 毎日
患者準備,採取・提出上の注意 検体量
検体が適正とみなされるには、保存状態がよく鮮明に見える扁平上皮細胞が8000~12000個含まれていると推定されなければならない。細胞はスライドガラス上に重なりなく塗抹されているのが望ましい。この細胞数の最低範囲は推定量とし、検体中の個々の細胞を検査室においてカウントはしない。推定細胞数については、ベセスダシステム2001アトラス「検体の適否]の項に参照用画像が掲載されている。推定細胞数より細胞数が少ない場合にも検査は実施する。
BDシュアパスコレクションバイアルの規定量は10mLであるが、8mL以上あれば検査可能である
検体の安定性
①直接塗抹法
 固定後は室温保存する。
②LBC法
                                     ・検体は、BDシュアパスコレクションバイアル(バイアル容器)中に浮遊させ、30分以上を固定時間とする。
・バイアル容器中に浮遊させた状態では、室温で6週間保存可能である。
・バイアル容器から前処理を始めた検体は、細胞収集、標本作製まで続けて処理を行う必要があり、途中段階での保存はできない。 ・スライドガラスに塗抹され固定したガラス標本は、室温保存する。
・検体処理後のバイアル容器は1週間冷蔵保管後、レオペールに廃棄する。
検査上の注意 測定できない検体
 塗抹
 ・標本中に細胞判定できる細胞が存在しない検体
 ・細胞があっても塗抹後、湿固定されていない検体
 検体採取場所にて固定していないことに気付いた場合、直ちにもう1枚検体採取する。
 塗抹後直ちに湿固定を行えなかったために細胞が乾燥した場合、検査は行われるが、鏡検の際そのことが判明したら、  鏡検者は細胞が乾燥、変性している旨を細胞所見の欄に付記する。
 LBC
・必要量を満たしていない検体(8mLに満たない場合)
・検体の貯法および安定性の条件を満たしていない検体。
これらの条件を満たしていない場合は、依頼した臨床医または診療科・病棟に連絡をする。不確かな結果が得られることが了解された場合には、検査を実施することができる。この場合、診断コメントとして「検体少量」など特記事項を入力する。
・子宮体部の検体処理後のバイアル容器は1週間冷蔵保管後、メディカルペールに廃棄する。
・鏡検検査後のスライドガラスは陰性標本については10年以上保管を行い、疑陽性、陽性標本は永久保管する。
その他情報 ・子宮頚部LBC開始 健診:2016年 6月  婦人科:2018年 11月(子宮頚部LBCはOMLに標本作製のみ外部委託)
・子宮体部LBC開始 2011年 6月