一般細菌塗抹鏡検検査(呼吸器) 略 称 呼吸器
担当検査室 細菌( TEL:2424 ) 至急指定
時間外 なし
結果報告時間(普通) 1日 結果報告時間(至急) 30分
検査目的 呼吸器感染症は、病巣部位別に上気道、下気道、肺実質および胸膜の感染症に分類することができる。喀痰の検査は、主に下気道(気管、気管支)と肺実質(肺胞組織)の起炎菌検索のために用いられる。喀痰(喀出痰)は患者に苦痛を与えることなく、採取が可能なことから検査に頻用できる。咽頭粘液と鼻咽腔粘膜は主に上気道感染症の検査のために用いられる。
臨床的意義 ・呼吸器感染症診療において、喀痰の塗抹鏡検検査は、感染症を発症している患者に最適な抗菌薬を選択・投与するために、起炎菌を迅速に推定する検査としてきわめて有用である。また、抗菌薬の効果判定にも用いることができる。例えば肺炎に対して有効な抗菌薬が投与された場合、初回の投与から数時間後には起炎菌が目に見えて減っていることが確認できる。ただし、良質な喀痰が採取されることが重要な条件となり、喀痰の肉眼的性状の観察(外観)およびグラム染色による痰性状の評価は起炎菌の推定時に照合することによって、さらに正確なものとなる。喀痰の肉眼的性状の観察にはMiller & Jones 、グラム染色による品質評価にはGeckler分類、ABC分類がある。
・咽頭粘液と鼻咽腔粘膜による上気道感染症には鼻炎、咽頭炎、喉頭炎、扁桃炎などがあり、それぞれ原因菌が異なる。
保険情報 適用あり
オーター情報 入力可
採取容器名 痰容器(緑色)
サンプルの種類 ・喀痰、鼻汁、咽頭擦過物、気管内分泌物、気管内チューブ、気管支洗浄液、気管支洗浄液Mix、ブラシ洗浄液、肺胞洗浄液、鉗子洗浄液、口腔、その他(呼吸器系)。
測定日情報 ルーチン時間帯のみ(時間外は翌ルーチン稼働日)
患者準備,採取・提出上の注意 1) 患者に採取方法を十分説明する。
2) 喀出痰:唾液、食物残渣などの混入を避ける。
   早朝起床時に採取するのが最もよく、歯磨きまたは水道水でうがいをする。
   深呼吸して咳とともに採痰容器の中に痰を直接入れる。
   ティッシュに喀痰を採取しない。
   ティッシュに採取されていた場合や乾燥していた場合は採り直しを依頼することがある。
3) 気管支鏡下採痰:気管支鏡観察下に痰を直接吸引する。
4) 吸引痰:気管カニューレや気管内挿管チューブから痰を直接吸引する。
5) 気管支洗浄液:気管支鏡を用い、生理食塩水を注入して気管支を洗浄・回収したものである。
6) 気管支肺胞洗浄液:区域支より末梢の肺胞を洗浄したものである。
7) 咽頭粘液:患者の頭部をやや反り加減に固定し、咽頭後壁や口扁桃の炎症部分を擦過する。
8) 上咽頭(後鼻咽腔): 患者の頭部をやや反り加減に固定し、鼻から水平方向に耳鼻科用の細い綿棒を静かに鼻から挿入する。後鼻咽腔の壁に突き当たるまで挿入し、綿棒を数回、回転させてから静かに引き抜く。
9) 鼻腔:鼻甲介に綿棒をかるく押しつけて、数回、回転させてから引き抜く。MRSA保菌チェックに有効。
10)採取容器:喀痰容器(プラ壺)緑、緑栓スピッツ(滅菌スピッツ)、滅菌綿棒プレインシステム・P 、白栓スピッツ、 アトム羊水吸引カテーテルは痰・鼻汁吸引に使用する。
11) 病棟、外来で採取された呼吸器材料は、速やかに細菌・ウイルス検査室に提出する。
12) 休日、夜間に採取された場合には時間外検査室に提出するか、直ぐに提出できない場合は、乾燥を防ぎ、直ちに4℃で保存し、24時間以内に細菌・ウイルス検査室に提出する。
13)検体量は喀痰(喀出痰)、鼻汁は最低量1mL。膿性痰が検査に適する。真菌検査時3~5mL。気管支洗浄液、気管支洗浄液Mix,ブラシ洗浄液、肺胞洗浄液は、2~5mL。咽頭、口腔は滅菌綿棒プレインシステム・P(1本)で採取する。
測定に及ぼす諸因子 1)抗菌薬投与中の患者からの採取
2)常在菌の混入
3)スライドグラスの汚染
検体保存情報 乾燥を防ぎ冷蔵庫4℃で指定容器の保存
その他情報 ・喀痰のグラム染色による品質評価について
 2019.6.30まではABC分類で報告
 2019.7.1よりGeckler分類で報告開始

検査法(最新) グラム染色 :Bartholomew & Mittwer法の変法(グラム染色用試薬「バーミーM 染色キット」) 2014/07/29 ~ 現 在
臨床参考値(最新)  
検査法(前回) グラム染色:Bartholomew and mittwer法  ~ 2014/07/28
臨床参考値(前回)