一般細菌培養同定検査(血液) |
略 称 |
血液 |
担当検査室 |
細菌( TEL:2424 ) |
至急指定 |
不可 |
時間外 |
なし |
結果報告時間(普通) |
2~6日 |
結果報告時間(至急) |
- |
検査目的 |
・血液培養検査は髄液培養に次いで緊急性の高い重要な検査で細菌・真菌感染症における最も確実な起炎菌の検査法として高く評価されている。
・最近では1回の実施に対し、人体の2ヶ所(右手と左手など)から採血し、2セットの血液ボトルに接種する方法が行われている。この理由は採血部位を変えることにより雑菌混入を判定しやすくすることと、検査の血液量を増やすことにより菌の検出率を約2倍以上に上昇させることができるからである。
血液培養は次のような場合に行われる。
・敗血症、菌血症、感染性心内膜炎、不明熱が疑われる場合
・38℃以上の発熱時
・白血球増多、顆粒球減少など感染症の兆候がある場合
・低体温(36℃以下)で特徴のない症状
(新生児の発育不良、乳幼児の哺乳不良)
(高齢者では筋痛、関節痛、倦怠感、脳卒中を伴う微熱(感染性心内膜炎が疑われる))
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臨床的意義 |
細菌が血液中に入った状態を菌血症という。菌血症の成因によって検出される菌種も異なる。髄膜炎・肺炎・腎盂腎炎など体内に感染巣がある場合、その原因菌が血液中に侵入することがある。血液中への細菌の侵入とともに患者は高熱・悪寒・戦慄を伴い時には内毒素によるショックに陥る。症状が重篤で感染が全身に及ぶ場合を敗血症と呼ぶ。腸チフスやパラチフスは全身性の疾患で経過中のある時期に菌血症を生ずる。感染性心内膜炎では心内膜に感染巣が生じ、持続的に細菌が血液中に放出される。体内への器具挿入などの行為に伴いその部分の常在菌などが一時的に血液中に入り込むことがあるが、多くの場合菌は食細胞に貪食され除去される。これを一時的菌血症という。一方中心静脈栄養の目的で持続して血管内にカテーテルが留置されている場合には、持続的な菌血症(血管内カテーテル留置感染)を生ずることがある。 |
保険情報 |
適用あり |
オーター情報 |
入力可 |
採取容器名 |
血液培養ボトル 好気性菌用,嫌気性菌用,小児用 |
サンプルの種類 |
静脈血、動脈血、骨髄血、骨頭保存液、その他(血液) |
測定日情報 |
ルーチン時間帯のみ(時間外は翌ルーチン稼働日) |
患者準備,採取・提出上の注意 |
・採血は抗生剤治療を開始する前に実施する。それが不可能な場合は、次に抗生剤を投与する直前など血中薬剤濃度が低い時に採血する。
・FA Plus培養ボトル(好気用) (4~8mL)最大10mL
・FN Plus培養ボトル(嫌気用) (4~8mL)最大10mL
(推奨は10mL、ただし10mLは超えないこと)ずつ注入する。
十分量採取出来た場合のみ・・・嫌気ボトル→好気ボトルの順に注入。
採取量が少ない場合・・・好気ボトル(10mL)→嫌気ボトルへ残りを注入。
・PF Plus培養ボトル(小児用) (0.5~4mL)最大4mL
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検査上の注意 |
初回陽性の菌検出時には、アラート報告を行っています。(ただし、1週間以内での同一菌検出時にはアラート報告を行っていません) |
測定に及ぼす諸因子 |
血液中に多量の白血球が存在している場合、白血球の産生する二酸化炭素によって稀に陽性と判定されることがある。その場合、塗抹検査およびサブカルチャーでは陰性と判定される可能性がある。 |
検体保存情報 |
室温で保存(24時間以内) |
その他情報 |
<血液培養装置履歴>
①全自動血液培養装置バクテアラート:1994年12月~現在
成分変更:1997年8月~BHI(ブレインハートインヒュージョン)の濃度1.5%W/Vが2.8%W/Vになった。エコソルブの成分も変更。
成分変更:2001年5月~BHIがウシ由来からブタ由来に変更,カゼイン・大豆タンパクを追加し、通気の必要を無くした。
小児用ボトルも活性炭入りとなる。
・2003年12月より,ボトルがガラス製よりプラスチック製となった。
・2004年9月より,ラベルに採取量を表示。
・2005年3月24日より、全自動血液培養装置をバージョンアップした。(Bact/ALERT 3Dに変更)
・2013年6月より活性炭入りから吸着ポリマービーズに変更となった。
・2022年4月15日より、全自動血液培養装置をバージョンアップした。(Bact/ALERT VIRTUOに変更)
②バクテック(BBL):1991年4月~1994年12月 レズン入り(抗菌剤吸着)
③SIGNAL(OXOID):1989年7月~1991年4月
④バキュティナカルチャーチューブ(BBL):1974年~1989年7月
・血液量が多いほど菌の検出感度は上昇する。24時間以内に20mL採血を2~3回(2~3セット)行う。
・血液中には菌数が少ないので,検体の直接塗抹(グラム染色)は行わない。
・菌の発育を認めた場合に,ボトル内の検体を採取し,グラム染色と分離培養を行う。
(好気ボトルで発育した場合は好気性で分離培養,嫌気ボトルで発育した場合は嫌気性で分離培養)
・1回の検査には採血部位を替えて2ヶ所から採血し、2セットのボトル(4本のボトル)に接種することが推奨されている。
理由:①コンタミネーションか起炎菌かの判断の参考にする。②血液量が増えるので菌の検出感度が上昇する。
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