抗酸菌塗抹鏡検検査 |
略 称 |
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担当検査室 |
細菌( TEL:2424 ) |
至急指定 |
不可 |
時間外 |
なし |
結果報告時間(普通) |
1日 |
結果報告時間(至急) |
1時間 |
検査目的 |
抗酸菌染色には①Ziehl-Neelsen法、②蛍光染色法(オーラミン染色)、③蛍光染色法(アクリジンオレンジ染色)、④弱抗酸染色法がある。当院では①Ziehl-Neelsen法、④弱抗酸染色の方法を用いており、検査手順書にはZiehl-Neelsen法と弱抗酸染色を記載した。Ziehl-Neelsen法の目的は、抗酸菌(結核診断の重要な検査の1つ)の迅速法として、また感染の危険性の度合いを評価するために用いる。抗酸菌は赤く染まる。
弱抗酸染色は、弱抗酸性を証明する場合に用いる。Nocardia sp、Cryptosporidium、Isosporaは菌体が赤く染まる。Actinomyces sp、Corynebacterium spは脱色されて菌体が青く染まる。 |
臨床的意義 |
1) Ziehl-Neelsen法
Ziehl-Neelsen法が陽性になると、結核菌か非結核性抗酸菌であるかを判別するために、TB-LAMP法、MAC-PCR法を迅速に行う場合がある。さらに感染の危険度評価を行う指標にする。塗抹が陽性となるには、喀痰1mL中約10^4~10^5 CFU以上の抗酸菌数の存在が必要となり、塗抹 陽性ということ自体が一定の危険度スクリーニング評価対象となる。標本中の菌の多少は感染の危険度を表現している。結核患者の届出時、感染危険度指数(3回連続検痰中の最大Gaffky号数×咳をしていた月数)を基に接触感染対策を行うため、Gaffky号数が必要となる。
初発患者の感染危険度と重要度ランク、このランクづけの原理の一つである「感染源としての喀痰塗抹陽性肺結核患者」の重要性は世界各地の疫学調査で示されているところである。塗抹陽性、塗抹陰性で培養のみ陽性、菌陰性の患者の感染力の比較は10:2:1くらいといわれる。ただし、塗抹検査は患者の協力によるところが大きい。検査技術によって結果はかなりばらつくので、1回だけの「塗抹陰性」の結果で安心するのは危険である。3回連続検査を求めているのはこのためである。
2)弱抗酸染色
この弱抗酸染色において、赤く染まる菌種は幾つかあり、さらにZiehl-Neelsen法との併用によって菌名を推定することが可能である。
①Nocardia spでは菌体が赤く抗酸性に染まり、Actinomyces sp、Corynebacterium spは、脱色されて菌体が青く染まる。Ziehl-Neelsen法では Nocardia sp は塩酸アルコールで脱色されて菌体が青く染まる。抗酸菌は赤色に染まる。
② 特に、グラム染色においてNocardia spによく似たActinomyces spには抗酸性がないためにNocardia spとの鑑別に有用である。
③ Cryptosporidium のオーシストは直径4~5μmで赤く染まる。赤く染まったものはすべてCryptosporidium とは限らないので注意が必要である。
④ IsosporaのオーシストはCryptosporidium のオーシストよりも大きく20~30μmで、赤く染まるが、内部が顆粒状にみえる未成熟のもの、白くぬけた楕円形のものもみられる。赤く染まったものはすべてIsosporaとは限らないので注意が必要である。
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保険情報 |
適用あり |
オーター情報 |
入力可 |
サンプルの種類 |
細菌検査室に提出され、抗酸菌の分離培養を行う一次サンプル(血液、尿、喀痰、糞便等)全てが対象。 |
測定日情報 |
ルーチン時間帯のみ(時間外は翌ルーチン稼働日) |
患者準備,採取・提出上の注意 |
1) 患者に採取方法を十分説明する。
2) 喀出痰:唾液、食物残渣などの混入を避ける。採痰ブースで採取することが望ましい。
・早朝起床時に採取するのが最もよく、歯磨きまたは水道水でうがいをする。
・深呼吸して十分に空気を気管支の奥に送り込み、この状態から腹筋を一気に収縮させ、咳とともに採痰容器の中に痰を直接入れる。
・ティッシュに喀痰を採取しない。
・ティッシュに採取されていた場合や乾燥していた場合は採り直しを依頼することがある。
・良質な喀痰の採集は必須である。
3) 誘発痰:超音波ネブライザーなどで3~5%高張食塩水を吸入させた後、強い咳をさせ3mL採取する。
4) 肺胞洗浄液:区域支より末梢の肺胞を洗浄する。
5) 胃液:幼児、学童、高齢者などで喀痰の採取が困難な場合に採取する。
6) 尿:尿路結核が疑われる場合、早朝起床時、尿道口をアルコールで清拭後採取する。
7) 糞便:採便シートを敷き、その上に便を採取する。
8)採取容器は検体に見合った容器に採取するため、問合せ下さい。
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測定に及ぼす諸因子 |
<干渉物質>
環境中の抗酸菌混入
スライドグラスの汚染 |
検体保存情報 |
1) 病棟、外来で採取された呼吸器材料は、速やかに細菌ウイルス検査室に提出する。
2) 休日、夜間に採取された場合には時間外検査室に提出するか、直ぐに提出できない場合は、乾燥を防ぎ、直ちに4℃で保存し、時間外検査室および細菌ウイルス検査室に提出する。 |