抗酸菌同定検査 略 称
担当検査室 細菌( TEL:2424 ) 至急指定 不可
時間外 なし
結果報告時間(普通) 培養分離菌で1~7日 結果報告時間(至急) -
検査目的 培養可能な抗酸菌は結核菌群と非結核性抗酸菌に二大別される。結核菌群のうち主要なものは結核菌でヒトからヒトへの強い感染性を有するのに対して、非結核性抗酸菌の主要なものはM.avium、M.intracellulare、およびM.kansasii 3種類であるが、結核菌に比べるとはるかに弱毒で、ヒトからヒトへの感染性はないとされている。また、結核菌は諸種抗結核薬に感受性で、結核の治療方式は確立されており、予後は一般に良好であるが、非結核性抗酸菌は菌種あるいは菌株によって薬剤感受性を異にし、若干の例外を除きそれによる感染症に対する確立された治療方式はなく、感染症原因菌によって治療の比較的容易なものから困難で難治性なものまである。以上の見地から、抗酸菌を迅速に同定することは欠くべからずものとなってきており、患者の治療方針決定のためのみならず、疫学面からも極めて重要である。
臨床的意義 抗酸菌には、培養可能な結核菌群と非結核性抗酸菌及び、らい菌がある。結核菌群にはM.tuberclosis、M.bovis、M.africanum、M.microti、M.canettiが含まれるが、その主要菌種はM.tuberclosisでヒトからヒトへのの感染性を有する。1980年代以降、結核患者数の減少が鈍化し、現在もなお重篤な感染症の一つとされている。従来から抗酸菌の同定は主として分離培養・生化学的性状によりなされてきたが、検査が煩雑で3~4週間と長い時間を要する。このような現状から結核菌を迅速に簡便かつ高感度に検出できる検出法が望まれた。近年、MALDI-TOF MS (マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計)は測定の簡便さ、迅速性、コスト面の削減などから、新たな微生物同定検査法として大きな注目を集めている。一般細菌における MALDI-TOF MSの測定の同定精度は、16S rRNA遺伝子解析とほぼ同等との報告が多くなされている。免疫クロマトグラフィー法は抗酸菌培養用培地で発育した培養物の懸濁液又は培養液中のマイコバクテリウム抗原の検出をし、結核の診断の補助とする。
保険情報 適用あり
オーター情報 入力可
サンプルの種類 1.免疫クロマトグラフィー法(結核菌群)
1) 細菌検査室に提出され、分離培養を行う一次サンプル(血液、尿、喀痰、糞便等)全てが対照となる。
2) 37℃で1~3週間、菌の生育による培養液の濁りが確認できるまで培養を行う。MGITを用いた場合は陽性と判断できるまで培養を行う。いずれの場合も抗酸性染色で抗酸菌を確認する。培養容器内の培養液を撹拌し、そのままの培養液を試料とする。
2.マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(非結核性抗酸菌)
1) 細菌検査室に提出され、分離培養を行う一次サンプル(血液、尿、喀痰、糞便等)全てが対照となる。
2) MGITは陽性と判断できるまで培養を行い、沈渣を抗酸性染色し抗酸菌である事を確認する。その沈渣を固形培地にまき直し、菌を十分発育させたものか、MGITの沈渣そのものを試料とする。
測定日情報 ルーチン時間帯のみ(時間外は翌ルーチン稼働日)
患者準備,採取・提出上の注意 ・ティッシュに喀痰を採取しない。
・ティッシュに採取されていた場合や乾燥していた場合は採り直しを依頼することがある。
測定に及ぼす諸因子 1.免疫クロマトグラフィー法(結核菌群)
1)干渉物質
本品の臨床試験において、喀痰、気管支洗浄液、胸水、胃液、膿汁由来の培養物を試料として測定した結果、これまでのところ臨床材料による測定結果への影響は認められていない。又、抗酸菌の分離培養に使用される培地の種類については、以下に示した培地の使用実績があり、いずれも本品の測定結果に及ぼす影響は認められていない。 ・卵培地:3%小川培地、2%小川培地、1%小川培地、レーベンシュタイン・イエンセン(LJ)培地
・寒天培地:ミドルブルック7H10寒天培地、ミドルブルック7H11寒天培地
・液体培地:ミドルブルック7H9液体培地、デュボス培地、キルヒナー培地、ソートン培地
2)交差反応
以下の非結核性抗酸菌との反応性を確認し、全て交差性がないことが確認された。
 M. kansasii, M. simiae, M. asiaticum, M. scrofulaceum,M. gordonae, M. avium, M. intracellulare, M. nonchromogenicum,M. szulgai, M. terrae, M. xenopi, M. ulcerans, M. fortuitum,M. chelonae, M. abscessus, M. smegmatis, M. vaccae, M. flavescens,M. marinum JATA22-01, M. marinum 351-2,M. marinum 329, M. marinum 60
検体保存情報 ・ 血液培養ボトルは採取後速やかに提出し、培養装置にセットできない場合は室温保存。
・ 血液培養ボトル以外の検体は、冷蔵保存。
・ 培養後の試料は速やかに測定に使用する。

検査法(最新) 1.免疫クロマトグラフィー法(キャピリアTB:結核菌群) 2.マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析(非結核性抗酸菌) 2014/04/02 ~ 現 在
臨床参考値(最新)  
検査法(前回) 1.免疫クロマトグラフィー法(キャピリアTB:結核菌群) 2.PCR(Polymerase Chain Reaction)法(MAC) 3.DNA-DNAハイブリダイゼーション法(DDHマイコバクテリア:非結核性抗酸菌) 2012/02/01 ~ 2014/04/01
臨床参考値(前回)  
検査法(前々回) 1.生化学的性状の分析 2..DNA-DNAハイブリダイゼーション法(DDHマイコバクテリア)  ~ 2012/01/31
臨床参考値(前々回)