視覚誘発電位検査(VEP-P) 略 称 VEP-P
担当検査室 神経生理検査室( TEL:2669 ) 至急指定
時間外 なし
結果報告時間(普通) 約60分 結果報告時間(至急) 約60分
検査目的 パターン変転刺激を用いた視覚誘発電位(pattern reversal visual evoked potential:VEP)は網膜から大脳皮質視覚野に至る電位変化をとらえることによって視機能を非侵襲的に評価する
臨床的意義 視交叉前病変に対する応用
1. 視神経と網膜の異常
 ・VEPの潜時の延長やVEPの消失は、中心性漿液性網脈絡膜症、黄斑変性症、黄斑浮腫といった一次性の黄斑部疾患や
  錐体ジストロフィー、糖尿病性網膜症、網膜血管の梗塞といった黄斑部に障害がある網膜症でも認められる。
 ・球後視神経炎、乳頭炎、虚血性視神経症、緑内障、中毒性疾患、感染性・代謝性視神経症、圧迫性視神経症など視神経を侵すさまざまな疾患で
  VEPの異常はみられる。
2. 多発性硬化症と視神経炎
 ・多発性硬化症患者においてVEPを施行すると視力低下が発症した側でのVEP異常とともに反対側にも異常をみることがしばしばある。
  眼底検査で網膜に病変がなくP100が延長もしくはVEPの誘発が不良であったり消失していれば視神経に病変が存在していることが考えられる。
 ・一般に急性期の視神経炎でVEPが消失することがあり、その後視力が回復してくると低振幅のVEPが記録されるようになる。
  視力の改善とともに振幅は回復してくるが、潜時の延長は完全には回復せず持続することが多いとされている。
3. 視神経炎と鑑別が必要な疾患
 ・視神経炎は片側性に発症することが多いが、両側同時に視力障害をきたすような症例ではLeber遺伝性視神経症の鑑別が必要になる。
視交叉後病変に対する応用
1. 全視野刺激
 ・健常者の全視野刺激における左右の後頭部での振幅は63%が対称性であるとされているため、VEPの振幅の頭皮上の非対称性は診断的な指標としては
  必ずしも有用でないが、左眼刺激、右眼刺激のいずれを行っても同一の頭皮上からのVEPの振幅が低振幅を示す場合は同名半盲の存在が示唆される。
  左右の後頭部電極でVEPの分布に明らかな差が見られたときは振幅低下と同側に後頭葉などの視交叉後病変の存在を疑ってみる必要がある。
2. 半側視野刺激
 ・視覚路の異常や同名半盲がある場合に半側視野刺激を用いると、75~85%に異常が検出される。
  視野欠損のある側の半側視野を刺激すると、視野異常のある同側の外側後頭部電極から記録されるVEPの反応が低振幅または誘発が不良となる。
  また、刺激と反対側で記録される反応が大きくなるパターンもみられることがある。
皮質盲
  ・皮質盲は両側の高度の視機能障害をきたし、さまざま原因で引き起こされる。
  原因として血管障害、外傷、低酸素(CO中毒、心停止、子癇)、腫瘍、感染、心臓手術、脳血管撮影、高血圧などがあり、その臨床経過もさまざまである。
異常値所見 ・P100潜時の基準範囲
  15~59歳:正常上限106msec
  60~69歳:正常上限112msec
  70歳以上:正常上限119msec
・左右のP100潜時が正常範囲内であっても潜時差が10msecあれば異常と判定。
・P100振幅は個人差があり異常の判定には用いないが、左右の振幅の比が50%以上あれば異常の可能性が高い。
・半側視野刺激でP100の頭皮上分布に左右差が認められると異常と判断できる。
・一側後頭部にP100が出現しない場合は、同側に半盲があることが多い。
保険情報 適用あり
オーター情報 入力可
サンプルの種類 患者(頭部)
測定日情報 検査室の業務時間は月曜日から金曜日8時30分から17時15分(病院営業日に準ずる)
患者準備,採取・提出上の注意 ・複数項目を同一日に検査すると長時間になる可能性があります。
・当日至急検査依頼の場合は検査開始時間を含め電話連絡で対応。
検査上の注意 ・眼鏡やコンタクトレンズを使用している場合は検査時必要である。
・頭皮に電極を装着する際、クリームを使用するため頭髪が汚れる。
検査受け入れ不可基準
・患者自身で着脱不可能なかつらを装着されている方。
・脳深部刺激療法(DBS)装置を使用されている方。
検査受付時刻が16時15分以降になる場合
・17時15分以降は患者急変時対応が困難になるため、16時15分以降の受付に関しては検査中の医師の随伴を条件に検査依頼を受ける。
測定に及ぼす諸因子 ・瞳孔径:瞳孔径が大きくなるにつれてP100潜時が短縮する傾向にある。
・性差:女性のほうが男性よりもP100振幅が大きく、潜時が短縮する傾向にある。
・年齢:潜時は、二次回帰の相関関係をとるとされている。一般的にP100潜時は、加齢とともに延長し、その傾向が60歳以降顕著になる。
・その他:筋電図、体動、呼吸、発汗など