呼吸器病原体マルチ2.1 略 称 呼マルチ2.1
担当検査室 ウイルス( TEL:2496 ) 至急指定 不可
時間外 なし
結果報告時間(普通) 75分 結果報告時間(至急) -
検査目的 鼻咽頭ぬぐい液中のインフルエンザウイルス、コロナウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、RS ウイルス、ヒトライノウイルス/ エンテロウイルス、マイコプラズマ・ニューモニエ、クラミジア・ニューモニエ、百日咳菌、パラ百日咳菌及びSARS-CoV-2の核酸検出(病原性微生物感染の診断補助 (病原性微生物感染の診断補助)
臨床的意義 呼吸器病原体は、さまざまな重篤度で急性の局所的および全身性の疾患を引き起こし、最も重度な症例は小児、高齢者、免疫が低下している人で生じる。呼吸器症状には、咳、鼻水、鼻詰まり、発熱、喘鳴、頭痛、筋肉痛が含まれる。多くのウイルスおよび細菌によって生じる疾患は類似していることから、臨床症状のみに基づく診断は困難である。原因となっている病原体を同定すると、医師が適切な治療を決め、公衆衛生当局が疾患の封じ込めを行う際に役立つデータが得られる。FilmArray RPパウチは、次の上気道ウイルスおよび細菌を同時に検出し同定する設計となっている。アデノウイルス、コロナウイルス229E、コロナウイルスHKU1、コロナウイルスNL63、コロナウイルスOC43、インフルエンザA型(赤血球凝集素遺伝子H1、H1-2009およびH3に関する亜型分類を含む)、インフルエンザB型、ヒトメタニューモウイルス、パラインフルエンザウイルス1、パラインフルエンザウイルス2、パラインフルエンザウイルス3、パラインフルエンザウイルス4、呼吸器多核体ウイルス、ライノウイルス/エンテロウイルス、Bordetella pertussis、Bordetella parapertussis、Chlamydophila pneumoniaeおよびMycoplasma pneumoniae、およびSARS-CoV-2。
保険情報 適応あり
オーター情報 入力可
採取容器名 専用綿棒(インフルエンザ)
サンプルの種類 ・鼻咽頭ぬぐい液
・鼻腔ぬぐい液
・喀痰および肺胞洗浄液(保険対象外検体のため結果は参考値)
測定日情報 ルーチン時間帯のみ(時間外は翌ルーチン稼働日)
検体受け入れ時間:ルーチン時間帯の16時まで
16時以降に検体が到着した場合、検査の実施は翌ルーチン稼働日となります。
患者準備,採取・提出上の注意 ①鼻咽頭ぬぐい液
鼻咽頭を拭った滅菌綿棒1本分を提出すること。
滅菌ぬぐい棒を鼻腔孔から耳孔を結ぶ線にほぼ平行に鼻腔底に沿ってゆっくり挿入し、抵抗を感じたところで 止め(成人10 cm 程度、小児5 cm 前後が目安)、10 秒程度そのままの位置で保ち鼻汁を浸透させ、ゆっくり回転させながら引 き抜き、ぬぐい液を採取する。
②鼻腔ぬぐい液
鼻腔を拭った滅菌綿棒1本分を提出すること。
鼻孔から2 cm程度スワブを挿入し、挿入後スワブを5回程度回転させ、十分湿らせる。
(検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と比較するとやや低いとの報告があり引き続き検討が必要であるものの、実用性と医療者の感染予防の面から有用な検体である。ただし、無症状者には推奨されない。)
③喀痰
陰圧採痰室等の個室で被検者自身が採痰容器に喀出する。
ティッシュに喀痰を採取しない。ティッシュに採取されていた場合や乾燥していた場合は採り直しを依頼することがある。
測定に及ぼす諸因子 1.干渉物質
漂白剤のみ妨害が確認された。試験の前に検体を漂白剤にばく露すると、漂白剤が検体中の微生物や核酸を損傷し、偽陰性結果を引き起こす可能性がある。漂白剤の影響は、漂白剤の濃度やばく露時間に依存することが確認されている。
2.交差反応
①以下の微生物は、交差反応により、測定結果に影響を及ぼす可能性がある。
・B. pertussis以外のBordetella種(B. parapertussis やB. bronchisepticaなど)は、B. pertussis(ptxP)として検出される可能性がある。B. bronchisepticaとB. parapertussis の有する百日咳毒素偽遺伝子配列が高濃度(>1.2E+09 CFU/mL)で存在する場合にそれらを主に増幅する可能性があるためである。B. parapertussisとの間の交差反応性は同時検出として報告されるが、大半のB. bronchiseptica(IS1001 を有していない)株との交差反応性はB. pertussis 検出とのみ報告される。B.bronchiseptica 感染症はヒトではまれであり、イヌ伝染性気管支炎で検出される。
・B. pertussis、B. parapertussis 及びB. bronchisepticaが高濃度で存在する場合、Human Rhinovirus/Enterovirusとして検出される可能性がある。B. pertussisとの交差反応性は、4.5E+07 CFU/mL以上の濃度で認められた。B. parapertussis 及びB. bronchiseptica との交差反応性はin silico 解析に基づき予測されたが、濃度1.2E+09 CFU/mL の試験では認められていない。Human Rhinovirus/Enterovirus とB. pertussisまたはB. parapertussisの間の交差反応性は同時検出として報告されるが、大半のB. bronchiseptica(IS1001 を有していない)株との交差反応性はHuman Rhinovirus/Enterovirus 検出とのみ報告される。
・一部の(ヒトからまれに分離される)B. bronchiseptica株が有するIS1001 挿入配列は、大半のB. parapertussis 株が有する挿入配列と同じである。これらの配列はIS1001 アッセイで増幅され、本品でBordetella parapertussis(IS1001)として報告される。
・ブタ由来のInfluenza A H1N1は、Influenza A H1-2009として検出される可能性がある。
・in silico 解析で、SARS-CoV-2 Assaysとbat coronavirus sequence (accession number MN996532)、bat SARS-like coronaviruses (accession number MG772933 及びMG772934) 及びa pangolin coronavirus (accession number MT084078) との交差性が示されている。これらのコウモリ及びセンザンコウから分離されたコロナウイルスがヒトの鼻咽頭スワブ検体で見つかる可能性は低いといえるが、これらのウイルスが存在する場合には交差反応性により「SARS-CoV-2」として検出される可能性がある。
②本品の検出対象の病原体固有ではない増幅や気道内に認められる(常在)微生物との交差反応により偽陽性となるリスクがある。また現時点で未確認の遺伝子変異により誤った結果が得られる可能性がある。
検体保存情報 採取した検体は、直ちに生理食塩液(最大量3mL)に入れ、測定検体とし速やかに測定すること。ただし、直ちに測定できない場合、検体は15 ~25℃で最大4 時間、2 ~8℃ で最大3日間、凍結状態(-15℃以下又は-70℃ 以下)で最大30日間、保存することが可能である。

検査法(最新) FilmArray 呼吸器パネル 2.1 (Multiplex-Nested PCR 法) 2020/12/01 ~ 現 在
臨床参考値(最新) 陽性、(-)、および判定保留