院長の部屋 前編

院長の部屋 前編

お部屋訪問シリーズ始動

倉敷中央病院の医療従事者のいろいろな想いを皆さんにお伝えしたい!という思いから生まれたトークルームです。医療従事者のお部屋にお邪魔して、仕事からプライベートまでいろいろなお話を伺っていきます。

倉敷中央病院院長 山形 専 先生
日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
日本脳卒中学会 脳卒中専門医
出身地: 茨城県
好きな食べ物: 柿
趣味: 植木/クラシック音楽/ゴルフ

子供時代の経験が
医師を目指すきっかけに

それでは先生、早速ですが最初の質問です。
先生はどうして医師になろうと思ったのですか?

山形院長:
きっかけは、やっぱり母の死だね。
僕が中学3年生のときに
病気で亡くなったんだ。
2年間くらい放射線治療してたかな。
父が一生懸命看病していたんだよ。
それがちょうど、東京オリンピックの年だった。

「頑張って勉強しなさい」って
私立の中学校をすすめてくれたのが母だった。
母の病気をきっかけに
家族に一人は医者がいてもいいんじゃないか、
と思って医師を目指したんだよ。

子供時代の経験がきっかけだったのですね。
山形院長は小学生のころから
熱心に勉強をされていたんですか?

山形院長:
いやいや、小学生のときは遊んでたよ(笑)
子供のころ僕は歌が上手だったんだ。
友達はみんな
「専ちゃん」て呼んでたんだけどね、
「専ちゃんは歌がうまい」って言われてた。

昔、NHKのラジオ番組で
「声くらべ腕くらべこども音楽会」
というのがあったんだけど、合唱で出場して
優勝したことがあるんだ。

ちなみに歌ったのは童謡の「もみじ」だよ。
♪「秋の夕日に~」の歌詞のね


今でいう、
のど自慢大会みたいなものでしょうか。
先生、すごいですね!
脳神経外科の先生になろうと思った
きっかけはなんですか?

山形院長:
僕が大学生のとき、
マイクロサージャリーという
顕微鏡を見ながら行う手術方法が
新しくできたんだ。
それまでは肉眼で行っていたんだよ。

顕微鏡って、医療ドラマとかで
先生が頭につけてるものですか?

山形院長:
それはルーペや(笑)
顕微鏡はもっと大きくて・・・

理科室にあるようなものですか?

山形院長:
違う違う(笑)
手術室に行ったら何台もあるから
見てほしいな。
そのマイクロサージャリーという手術を
一番やっていたのが京都大学だったから、
そこで勉強したんだよ。
僕が大学入試を受けた年が、ちょうど東大の
安田講堂事件があった年だったなぁ。

インタビュアーが想像できなかった実際の手術室の顕微鏡がこちら。
思ってたよりずっと大きい!

医師として、院長として

先生が医師として院長として、
仕事で大事にしてることはなんですか?

山形院長:
やっぱり医師であるからには患者さんに
対して誠意を尽くすようにしているよ。
そうすることで、患者さんとの信頼関係を
つくることができるからね。
それが一番大事じゃないかなと思ってる。

また患者さんだけでなく、院長として、
職員が安心して楽しく成長できるような
環境もつくっていきたいと思ってるよ。
今は働き方改革といろんなところで
言われているけど、昔はみんな仕事が
忙しくてね・・・。
僕も家族と時間を共有することがあまり
できなかったから、職員には家族との時間を
大切にして、安心して仕事に臨んでもらいたい。

コロナワクチンを職員だけでなく
家族も打てるようにしたのは、
そういった思いがあったからだよ。

   
4年前には倉敷中央病院付属予防医療プラザ
が完成しました。
市民の皆さんの健康を考えてのことですね。

山形院長:
これからは、予防医療や先制医療が大事に
なると思って予防医療プラザを建てたんだ。

先制医療という言葉はあまり
聞き慣れないのですが・・・。
どういったものか教えてください。
予防医療とは違うのでしょうか?

山形院長:
例えばがんを例に説明すると、予防医療は
検診でがんを早く見つけるのに対して、
先制医療はがんになる可能性があるかを
個人の遺伝子レベルで調べるんだ。
がんになりやすい遺伝子を持っていると
分かっていたら、予防に必要な検査を
人間ドッグで受けたらいいからね。

今は医療がどんどん発展していっているから
病気を早く見つけて、予防や治療をすることができる。
今後の医療を見越して、倉敷中央病院でも
予防医療プラザで予防医療や先制医療を
進めていこうと思ったんだよ。

「待ちの医療」よりも「攻めの医療」ね。
やっぱり病気になってから
医療を受けるんじゃなくて、
病気になる前から医療に関わるというのが
大事なんじゃないかと思います。

病気になってから医療を受けるのではなく、
病気になる前から予防や治療をする

というのが大切ですね。

山形院長:
そうだね。
そうしたら突然の脳卒中や心筋梗塞で救急を
受診する人が減るかもしれないしね。
予防医療で済むなら病院はいらないかもしれないね。

予防医療で済むなら病院はいらない・・・。
病院の先生が言うと読者の方々はびっくり
されるかもしれませんが、病気で辛い思いを
する人が減ってほしいという切実な願いですね。
ちなみに、山形院長ご自身が病気の予防や
健康維持で気を付けていることはありますか?

山形院長:
夕飯後のストレッチを20分くらいと、あとは
週末に時間があればウォーキングをしているよ。

日々の運動も病気の予防につながりますね。

マスカット球場の周りを歩いているよ!

今回はここまで。
次回も引き続き山形院長先生にお話を伺っていきます。

→後編はこちら