
倉敷中央病院院長 山形 専 先生
日本脳神経外科学会 脳神経外科専門医
日本脳卒中学会 脳卒中専門医
出身地: 茨城県
好きな食べ物: 柿
趣味: 植木/クラシック音楽/ゴルフ

病院同士の情報共有に向け、
「プラットフォーム」づくり
前回に引き続き、
山形院長にお話を伺っていきます。
院長、この書は何と書かれてるんでしょう?

荒木 寅三郎(鳳岳)
山形院長:
これは「研精而無倦」。
※研精して倦(う)むこと無し
一生懸命に研究すればするほど、
飽きたり嫌になったりはしない。
「生涯にわたって、研究に精を出しなさい」
という意味だよ。
なるほど。
では、山形院長が今一生懸命
取り組んでいることは何ですか?
山形院長:
今、力を入れてるのは
「地域医療エコシステム」だね。
エコシステムというと難しそうに聞こえる
けど、要は「病院のそれぞれの役割を明確に
して、その役割を発揮していこう」という
ことなんだ。
具体的に教えてもらえますか?
山形院長:
例えば、倉敷中央病院は、よく脳卒中の
患者さんが緊急で運ばれてくるんだけど、
倉中で手術をした後のリハビリは、
リハビリが得意な病院にお願いしてるんだ。
そのまま倉中でリハビリをしたらいいと
思われるかもしれないけど、
次の重症患者さんを受け入れるための
ベッドを空けておかないといけないからね。
重症な患者さんを診る病院、
落ち着いてからリハビリをする病院、
それぞれの役割を果たすということですね。
山形院長:
そうだよ。
患者さんの取り合いとか競争というのは
なくして、
病院の役割や機能をはっきりさせた上で、
みんなで協力して地域の医療を支えよう
というのが地域医療エコシステムなんだ。
病院を移ると言われると、不安になる
患者さんもいるけれど、周りの病院同士が
連携して、情報共有できる体制もきちんと
整えているんだ。
情報共有がきちんとされていたら、
病院を移るときだけでなく、
災害が起きたときも役立つでしょう。
病院同士で情報共有するための
「プラットフォーム」をつくっているよ。
駅のプラットフォームをイメージして
もらうと分かりやすいと思うけど、電車は
必ずプラットフォームを通るでしょう?
それと同じで、プラットフォームを介して
患者さんの情報を各病院で見る(通る)
ことができる仕組みをつくっているんだ。
病院によって情報がバラバラだと、
分かりにくいでしょう。

周りの病院と協力して
地域の医療を支えているんですね。
この地域医療エコシステムのために、
患者さんにもできることってあるんでしょうか?
山形院長:
もちろん。
病院の役割を明確にするために、
緊急を要する患者さんや
専門的治療が必要な患者さんは
大きい病院へ、
風邪や定期処方の患者さんは
近所のクリニックへ、
というように、患者さんの医療機関への
かかり方も重要になってくるよ。
みんな大きい病院の方が安心だと思って
気軽に受診に行くと、その病院が
逼迫(ひっぱく)してしまうよね。
本当に必要な人へ、
しっかり医療が行きわたるように、
自分がどの医療機関にかかるべきか
考えることが大事だね。

患者さんも医療従事者も、みんなでつくる
「地域医療エコシステム」ですね!
山形院長:
そうだね。
みんなで協力してつくっていきたいね!
思い入れのある庭木たち
山形院長:
あと、僕の趣味の話になるけど、
もうひとつ一生懸命してることは、
自宅の植木の手入れだよ。
一本一本全部自分で選んで植えたんだ。
これはカイノキ。
閑谷学校で種を売ってたんだよ。
大原孫三郎もいった閑谷学校ね。
紅葉の時期はすごくきれいに色付くんだよ。

種からここまで何と20年ほどかかったそう!
山形院長:
あ、これはレモンの木。
木って、
切ると伸びる木と伸びない木があるんだ。
レモンの木は切ると伸びる木でね、
こんなにたくさん実がなってるでしょ?
切れば切るほど、もっと素敵になって
大きな実をつける。
人間もそうでしょ?
植木も人も、叱って伸びる人と、
そうでない人といるからね。
その人には何が必要かを見ているよ。
だから植木を育てるのは勉強になるよ。
植木と人って一緒だなって思う。



何と深いお話を・・・
ありがとうございます。
人も木も、育て方が大切ですね!
山形院長、
面白いお話をありがとうございました。
次は門田副院長のお部屋にお邪魔します。
皆さんお楽しみに!