寄り添う医療
1. その人らしい生活を送るための入退院支援
当院では、入院初日に、患者さんやご家族と退院後の生活についての目標や希望を確認し、今後の生活についての相談をしています。医師・看護師・社会福祉士・リハビリ療法士・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士など様々な職種が協力しながら支援計画を考え、日常生活指導や訓練を行っています。また、在宅復帰に向けた環境調整や家族指導を目的とし、院内外泊(病室で行う24時間を通した家族の介護練習)や退院前の自宅訪問を行っています。
住み慣れた環境で、地域で、もしくは、新たな環境で…患者さんがどのように生活していきたいのかを尊重し、共に考え、その人らしく生活するための工夫をお手伝いしていきます。
2. 安心・安全な手術のために
わたしたちは「意思決定から退院後の生活サポートまで!」をモットーに、手術に向けて、全身状態だけでなく、内服中のお薬やご家庭の状況、退院後の生活など様々なことを確認しながら、それぞれの背景に合わせた個別的対応を心がけ、皆さんに寄り添っていきます。
先日もこんなことがありました。
Aさんは人工関節手術を受けられる女性。術前面談に来られたAさんは浮かない顔。
それに気づいた看護師は問いかけます。
看護師
Aさんどうかしましたか?
何か心配事がありますか?
Aさん
実は、先日の外来受診で手術を決めたんだけど、
今の予定では家の法事に出られん。
家族にもなんでこんな時に手術するんなぁと言われてしもうたんです。
看護師
それはお困りですねぇ。
手術は必ずその日に行わなければいけないわけではありません。
もう一度先生と相談して手術日を調整しましょうか?
私からも先生に日程変更のご希望があることは伝えておきますよ。
Aさん
そんなことしても大丈夫ですか?
じゃあそうしてもらいましょうか!
結果、Aさんは一月ほど手術を延期することになりました。
無事に法事をすませて、安心して手術を受けていただくことができました。また、早くに日程調整ができ、検査や術前の処置を無駄に行わずにすみました。
執刀医、麻酔科医だけでなく、看護師や社会福祉士、会計事務など様々な専門スタッフとの面談、検査や術前リハビリも併せて行い、職員全体でサポートしています。
3.「食べること」を楽しみに
食事は入院中の大きな楽しみのひとつです。四季折々のメニューを考え、おいしく、栄養のある食事を提供しています。主食をパンや麺類など嗜好に応じて変更し、食事療法の不要な方には選択食を提供しています。
入院時には看護師が食物アレルギーについてお尋ねします。アレルギーのある方には管理栄養士が訪問し、より詳しくお話を聞きます。
食物そのものだけでなく加工品、調味料などは大丈夫か確認し、献立の変更、代替品の提供など個別対応をしています。
咀嚼困難、嚥下障害のある患者さんに対し、嚥下評価を行っています。医師・看護師・管理栄養士・言語聴覚士・歯科衛生士などによるミールラウンドで、食事の摂取状況から咀嚼能力・口腔機能・嚥下機能・姿勢などを確認しています。食べやすさ、飲み込みやすさを考慮した食事の提供を行っています。
「食べる」ことの楽しみを一緒に考え、患者さんに優しい食事を大切にしています。
栄養評価検討会の風景 多職種によるミールラウンド