『在宅緩和ケア・看取り』講演会開催

  訪問診療を開始し、1年が経過しました。住み慣れた自宅で最期を迎えられる患者さんが増えています。そこで、在宅緩和ケアや在宅看取りについて深く知りたいという看護師たちのニーズに応え、倉敷中央訪問看護ステーションの訪問看護認定看護師 樋口妙子氏を講師に迎え、727日に講演会を開催しました。

  事例を交えて看護を語る場であり、ナラティブな世界に引き込まれ、看護観や対人感受性を研ぎ澄まされる貴重な時間でした。患者に麻薬を使用するか否かで悩む家族のそばに居続け、家族同士で感情をぶつけ合いながら、納得できるまで寄り添っていた事例。患者の死を家族が受け入れられず、入室を拒絶されながら、外で待ち続けた事例。その後入室を許可され、家族の傍で否認、怒り、取引、抑うつと気持ちの変化を見守りながら、死亡宣告のために医師を呼ぶことを了解した事例。医師が自宅に来た際にはそのような出来事が起こっていたことを知らずに、麻薬を処方したり、死亡宣告をしたりしていたが、訪問看護師はそこに至るまで様々な調整を行っていることが看護の語りで伝わる内容でした。そしてそこに居続けることはよかったのかどうか、意味づけ概念化されていました。経験した事例からの学び・気づき、多職種連携の重要性やアドバンス・ケア・プランニングと合意形成、自身の家族を自宅で看取るという患者家族体験からのメッセージなど様々視点での話は、受講した看護師たちの心を動かすものでした。

 講演後に患者家族との関わりやデスカンファレンスに関する質問がありました。家族が頑張っていることを承認することに加えて、家族の反応で何か気にかかる様子があれば「気にしています。いつでも何でも言ってくださいね」と関心を向けていることを相手に伝えることが大切と言われました。デスカンファレンスでは、気がかりな出来事を表現できることが重要であり、次につなげるきっかけになるとアドバイスをいただきました。