ご家族の方へ-いきいきライフ


●ご入居はいつごろですか?
平成25年(2013年)6月に夫婦で入居しました。子どもたちは東京で生活圏も違いますし、静かに老後を過ごしたいという思いで入居しました。

●古文書研究はいつ頃からされているのですか?
定年退職後、地域でのボランティア活動や、色々な方との交流を通じて、地方史の研究に関心を持ちました。幸いに豊富な江戸時代古文書と優れた指導者に恵まれ、近世古文書の解読・研究を続けてきました。私は現在86歳ですので、25年以上この学習を続けてきたことになります。
江戸時代、真備町のほかに玉島の一部、総社の一部は岡田藩(1万石)が治めておりました。明治維新の折も、岡田藩家臣が文書(もんじょ)の離散を防ぐ努力があって、多くの武家文書が残りました。岡田文庫といって、県内では知られた古文書です。その保存運動をされている方たちに私も加わり、平成6年に真備ふるさと歴史館が開館しました。現在、真備ふるさと歴史館に行かれますと、岡田藩所蔵の古文書が数多く展示されています。

●もともと、そういった分野を専攻されていたのですか?
ケアハウスつるがたに入居するまでは、同好会真備古文書読書会の一員として研究していました。こちらへ入居してからも、会から送られてくる古文書を読み解き、お返しするというかたちで参加させていただいています。また、NHK学園生涯通信教育講座生として学習を続けています。加齢とともに体力の衰えはやむをえないことですが、視力・思考・能力の保てる限り、私は一学徒として生涯学習を続けて行きたいと思っています。
幸いなことに、この施設のなかでN様という長く古文書研究を続けておられる同好の方と出会い、いま共に学習しています。互いに研鑽ができて励みになり、ありがたいことです。

●素敵な出会いですね!
月に2回、一緒に読書会をしています。地元の古文書やNHKの講座の本を一緒に読んだり、楽しく取り組んでいます。真備の古文書の会からも講本を送ってもらい、取り組める範囲で解読を楽しんでいます。

●古文書を読み解くことで、得られるものはなんでしょうか?

古文書研究の醍醐味は、解読を通じて江戸時代数百年以前の人たちとのコミュニケーションができることです。当時の人々の考え方、風習、ことの決まりが、現在のそれに通ずることに気がつくこともあります。

●遠い時代の方ですが、親近感がわきますね
例えば、岡田藩の参勤交代の実状ですと、道中をお供した家臣がどのような状況であったか。お勤めされている方は、出張しますと日当が出ますでしょう。当時も「昼旅籠代」という日当があったんです。そういうものでうどんやそばを食べたり、お饅頭を買ったり…そういった、道中の細かいことも文字として残されているのです。読み解くと、面白いです。


徳川吉宗(在位:1684~1751年)の時代に、中国の商人がゾウを献上した際、ベトナムから船で輸送中、つがいのうちメスが死んだことや、長崎港から陸路を歩いて江戸まで向かったという史実があります。このとき、山陽道を通っていったことも記録に残っています。どういう食べ物を食べるのか、どういった準備をしたのかも事細かくわかってきて面白いです。そういう楽しさがあるから、続いているんでしょうね(笑)

多くの古文書を研究され、読み解かれた内容を解説書としてまとめる活動もされています。山陽道をゾウが通ったエピソードの解説資料には、道中の人々の安全に気を配ったことや、将軍 徳川吉宗への献上物に対する多大な配慮、気遣いなどが細やかに紹介されていました。
M氏の、江戸の人々との対話は、今日もケアハウスつるがたで続いています。



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