2023年度ベストレジデント
日本では感じることのない刺激を得た
海外学会での経験
-2023年度ベストレジデント海外学術出張-
当院では、1年目の初期研修医から優秀者2名をベストレジデントとして選出し、
その特典として、病院の支援の下、海外学術出張の機会を与えています。
2023年度のベストレジデントに選出された入職2年目の初期研修医が、2024年8月30日~9月2日に
ロンドンで開催された海外学会「European Society of Cardiology 2024(以下、ESC2024)」に参加しました。
初めての海外学会へ
この度、僭越ながらベストレジデントに選出にいただき、8/30-9/2にロンドンで開催されましたESC2024に参加してまいりました。
実は私自身は消化器内科志望なのですが、諸般の事情のため、また教育研修部および循環器内科の部長である山本先生にお勧めいただきまして、循環器内科の世界最大の学会であるESC2024 Londonに参加する運びとなりました。
まず、会場の規模と人の数に圧倒されました。
施設内のいくつかの部屋がさらにメイン会場、発表のエリア、企業エリア、各国の学会エリアなどいくつかのエリアに分かれていたのですが、人、場所ともに日本とは全く違う規模でした。部屋の端から端まで移動するだけでも一仕事で、迷いこんだ鳩が会場の上を颯爽と羽ばたいていくのを目撃してしまったほどです。
メイン会場ではガイドラインやホットラインに関しての発表がありました。数百以上の座席が用意されていたのですが、セッション開始前に満席となり、立ち見が続出するほどの盛況ぶりです。ガイドラインの改訂、数千人単位のトライアルの結果発表、海外の有名雑誌に同日掲載されるものばかりなど、発表された内容の規模がとにかく大きく、世界中の人が集まる場に来た実感が湧きました。

ハートの画面にパネリストの顔のアップ!
バックのライトアップがとても華やかでした。


また、あちこちの企業ブースで無料のコーヒー配布があり、参加者たちはコーヒー片手に交流を深めておりました。
「メニューはないの。なんでも作るから言ってみて!」と陽気なお姉さん。カフェラテを注文すると、ハートのラテアートをサービスしてくれました。
海外大規模学会で見た先輩医師の雄姿

今回は循環器内科より佐々木先生、澤山先生、住吉先生、田中先生、多田先生、茶谷先生、松下先生、臨床検査技師の岸本さんが発表されました。
今回はポスターも全て口頭での発表でしたので、皆さま堂々と観衆の前で発表、質疑応答されており、司会者や参加者からの難しい質問にも英語でスッと返していらっしゃる姿を見て感銘を受けました。
また、他院の先生方ともお会いしましたが、一つの病院からこの数の演題が国際学会で採択されているのは海外の方々も含めて非常に珍しく、改めて当院の規模および循環器内科の先生方の凄さを思い知らされました。

大英帝国の歴史を垣間見る
学会に参加した後はロンドン観光をしました。記録的な物価高および円安で、両替所でポンドに交換する際、街中で値札を見る度にものすごく寂しい思いをしたものですが、ロンドンではキャッシュレス決済がすごく普及しており、滞在中は快適に過ごすことができました。
宿が大英博物館およびナショナルギャラリーの近くでしたので両者に足を運びました。大英博物館のロゼッタ・ストーンは目玉なだけあり、ガラスケースの周りの人だかりがすごく、間近に接近できるまでに時間がかかりました。また、「こんな大きな像をどうやって…」と輸送方法がついつい気になるほどの世界中のお宝があちこちにあり、展示の説明にも「返還が求められている」と堂々と書いているなど、大英帝国の繁栄と略奪の歴史を垣間見た気がいたしました。ナショナルギャラリーでは大原美術館にも所蔵されているエル・グレコ、アンリ・マティス、モネなどの画家の作品もあり、不思議な親しみを覚えました。


このあと、お目当てだったゴッホの「ひまわり」は
展示なしで見れずじまいでした
「いつかこのような場に自身も」あらたな目標が
行く前は「消化器内科志望の私が循環器内科の学会に行ってついていけるのか?」と非常に不安でしたが、行った後では意見が変わりました。日本で過ごしているだけでは味わえない現地の臨場感や規模感を肌で感じることができ、刺激的で素晴らしい体験となりました。帰った後も、医局や診療科で学会で発表されていた内容が話題に上がることもあり、貴重な経験であったことを改めて実感いたしました。
最近はコロナ禍でオンライン配信が発達したこともあり、今回も会場のあちらこちらで配信用のカメラが回っていましたが、カメラ越しでは分からない現地の熱量を体感し、「こういう場にいつか立てるようになりたい」という思いを抱きました。
この度は海外学会に参加させていただく貴重な機会をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。また道中お世話になりました循環器内科の先生方、出張の手配にご尽力いただきました医師教育研修部、厚生課の皆様にこの場を借りまして御礼申し上げます。
「知ることは感じることの半分も重要ではない」レイチェル・カーソン
パンデミック中、国際学会はオンライン開催がメインであり日本にいながら世界の潮流に触れることができると喜んでいました。しかし改めて実際に海外の学会会場に足を運んでみると、画面越しでは感じることができなかった雰囲気を肌で感じることができます。
医師として早い時期に感じてきたものを大切にして欲しいと思います。
