2024年度ベストレジデント1

日本では感じることのない刺激を得た
海外学会での経験

-2024年度ベストレジデント海外学術出張-

当院では、1年目の初期研修医から優秀者2名をベストレジデントとして選出し、
その特典として、病院の支援の下、海外学術出張の機会を与えています。

2024年度のベストレジデントに選出された入職2年目の初期研修医が、2025年5月18日~5月21日に
サンフランシスコで開催された海外学会「米国胸部学会(以下、ATS2025)」に参加しました。

はじめに

この度は、2024年度ベストレジデントとして表彰いただくとともに、海外学術出張の貴重な機会を賜り、心より感謝申し上げます。
私は呼吸器内科を志望しており、2025年5月にアメリカ・サンフランシスコで開催された「American Thoracic Society International Conference 2025(ATS 2025)」に参加いたしました。当院呼吸器内科の髙橋寛先生、丹羽崇先生に同行させていただき、初めての海外学会・出張ながら非常に充実した経験となりました。

ATS2025での学び

学会のモニュメント前で丹羽先生、髙橋先生と一緒に

今回の学会では、ポスターセッションやシンポジウムを中心に多くの発表・議論が行われており、非常に密度の濃い学びの機会となりました。特に印象に残ったのは、シンポジウムの「ATS GUIDELINES: CONTROVERSIES IN THE MANAGEMENT OF CAP AND ARDS」でした。市中肺炎やARDSの治療について、ステロイド使用の是非や非侵襲的換気の導入タイミングなど、ガイドラインでも意見が分かれるテーマを取り上げ、賛成・反対の立場から議論が行われました。エビデンスの解釈によって見解が分かれること、そしてガイドライン自体も常に見直されていることが伝わってきて、臨床が「完成された答え」に従うのではなく、日々アップデートされ続けるものであることを実感しました。

こうした議論を通じて、ガイドラインに従うだけではなく、最新のエビデンスを自ら読み解き、日々の診療にどう活かすかを考える姿勢の重要性を再認識いたしました。

海外の先生とディスカッションをされる髙橋先生

学会期間中には、当院指導医である髙橋先生のポスター発表を見学する機会がありました。国際学会という大舞台で、落ち着いた口調で発表される姿に強く感銘を受け、自分もいつかこのような場で堂々と発表できるようになりたいと強く思いました。そのためには、日々の診療や勉強を積み重ね、継続的に学術的な発信を行う習慣を持つことの重要性を実感しました。

また、日本国内から参加されている多くの医師とも交流する機会がありました。特に同世代の若手医師の方々が、日々の診療や研究活動に真剣に取り組まれている様子に触れ、忙しい臨床の合間を縫って学会発表や留学準備を進めている方もおり、自分も努力を続けていきたいという気持ちを強く持ちました。

また、追加で参加した「Meet the Expert Seminar」では、喘息における「寛解(remission)」という新たな治療目標に関するディスカッションや、米国で使用されている6種類の抗体製剤(抗IL-5、抗IL-4/13、抗TSLPなど)の使い分けについての講義があり、実践的な知見を深めることができました。米国で使用されている抗体製剤について、それぞれの特徴や適応、バイオマーカーを用いた選択基準などが丁寧に解説されており、各製剤の特徴や適応、バイオマーカーを使った選び方について、基礎から説明していただき、初期研修の立場でも理解しやすい内容でした。日々の勉強や、指導医との治療方針の相談の際にも、参考になると感じました。

ATS2025 会場風景
会場はとても広く、最先端の医療機器が至る所に展示されており、アメリカの規模の大きさを改めて感じました。
会場を盛り上げる演奏隊がいたり、休憩スペースではゴルフができたりと、日本との文化の違いも感じました。

現地の文化と最新技術に触れる

学会の合間には、サンフランシスコの主要観光地であるフィッシャーマンズワーフやアルカトラズ島、国立公園観光などを通じて、アメリカ西海岸の文化に触れることができました。また、オラクルパークにてメジャーリーグの試合を観戦するなど、現地の生活や文化を体験する貴重な時間もありました。

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ケーブルカーやゴールデン・ゲート・ブリッジなど
サンフランシスコの名物や名所を満喫しました。

さらに、ロボット支援下気管支鏡(Ion system)を開発するINTUITIVE社のハンズオンセッションにも参加し、最新の医療技術を実際に体感しました。ナビゲーション精度や操作性の高さを実感し、将来の呼吸器診療の変革を強く予感させる内容でした。

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Da Vinciで有名なIntuitive Surgical, Inc. の本社で、ロボット気管支鏡を実際に操作し、
モデル肺に対して生検を実施するという貴重な経験をさせていただきました。

終わりに

今回の出張を通じて、国際的な学術交流や最先端技術への理解を深めることができただけでなく、多くの先生方との出会いを通じて、今後の自分の在り方についても考えるきっかけを得ることができました。今回得た刺激や学びを、今後の診療・研究・教育活動に活かしていけるよう、地道な努力を重ねてまいります。このような貴重な機会を与えてくださったすべての皆様に、改めて心より御礼申し上げます。

言われたことは忘れる

教わったことは覚える、参画したことは学ぶ、と続きます。Tell me and I forget. Teach me and I remember. Involve me and I learn.(ベンジャミン・フランクリン)
教えられるだけではなく、自ら参加して初めて学びになります。海外での学会に参加することは世界標準を実際に目で見て耳で聞いて学ぶことができ、自国での適応について考える良い機会になります。自ら学ぶ姿勢を持ち続けることは、医師として働いていく上で非常に重要で、そのような姿勢を作るきっかけとなる体験となったのではないでしょうか。学びの大切さを再認識して、さらには後輩にも伝えて欲しいと思います。(医師教育研修部長 越後谷 良介)

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