寸評
第16回倉敷ゆかりの循環器研究会
小雨の降る中開催された「倉敷ゆかりの循環器研究会」には、今年も全国から多数の先生方にお集まりいただきました。
研究会前の世話人会での協議の結果、来年から研究会の名称が変更されることとなりました。正式名称は『光藤先生ゆかりの循環器研究会』に生まれ変わります。光藤先生の教えを色褪せることなく継承し、さらに発展させていくという思いが込められています。皆様、ぜひご周知ください。
開会では、当番世話人である芦田和博先生のご挨拶に続き、一般演題として8演題が発表されました。いずれも非常にバラエティーに富んだ内容で、発表者の先生方が光藤先生の教えを、それぞれの異なる分野で発展させていることを実感する発表でした。
特別講演では、佐賀大学循環器内科の山口尊則先生から、『心房心筋症の機序解明に臨む―心房生検への挑戦とこれからの研究戦略―』というタイトルでご講演いただきました。
山口先生は、座長を務められた芦田和博先生の防衛医大時代の後輩に当たります。ゼロからすべてをやり抜ける「逞しさ」に光藤先生を重ねてしまったのは、私だけではないはずです。心房細動を発症する心房筋は実際にどうなっているのか。MRIによる評価の不正確さを自分の目で確かめ、さらに心房生検で確認するしかないと思い立った経緯をお話しいただきました。そして、心房生検を行うためにさまざまな戦略を練り上げ、結果を出し続けるその姿勢に、深く感銘を受けました。
例年通り、予定時間を1時間30分延長するほどの、実りある研究会となりました。当番世話人としてご尽力いただいた芦田和博先生、ならびに会の運営にご協力いただいた皆様に、心より御礼申し上げます。
次回は、2027年10月16日(土)、倉敷国際ホテルにて開催予定です。当番世話人は、立命館大学の芦田昇先生にお願いしております。多くの皆様のご参加とご発表を、心よりお待ちしております。
■ 光藤賞
①桑山 明宗先生(柏厚生総合病院)
演題名:「LAD in-stent occlusionに対するDCAが診断の一助となったIgG4関連冠動脈疾患の1例」
LAD、LCXの有意狭窄による労作性狭心症の症例報告です。術前の冠動脈CTから血管炎が疑われ、最終診断のため、LAD in-stent occlusion(ISO)へのPCI時にDCAを用いてステント内組織を採取。組織診断によりIgG4関連疾患と診断したという発表です。ISO病変に対してはDCB、冠動脈炎に対してはステロイド内服治療を行い、LADは再狭窄なく経過し、LCX病変についても薬物治療による改善が得られています。桑山先生の臨床的な診断能力の高さを示す発表で、非常に興味深い内容でした。PCI strategyやステロイド導入のタイミングについて多くの質問が寄せられ、最も活発な議論が交わされた発表となりました。 懇親会での光藤賞受賞式では、目頭が熱くなる姿を見せられ、私も思わずもらい泣きしそうになりました
➁岡部 浩哉先生(榊原記念病院)
演題名:「Undeflatable balloonのbailoutに難渋した1例」
LAD #7へのDES留置後、新品のバルーンによる後拡張を行ったところ、バルーン内に造影剤が入ったままデフレートできなくなったという合併症です。CVITのClinical expert consensus documentに沿ってbailout法を試みても回収できませんでしたが、最終的に驚くべき方法で回収に成功します。心外科による開胸下に、透視を見ながらバルーンに向かって心膜外から複数回、細い針で穿刺。さらに鑷子(せっし)で外側からバルーンを圧迫して萎ませ、ガイディングカテーテル内へバルーンを回収することに成功しました。その後、ステント内を新しいバルーンで後拡張し、手技を完遂されました。針を穿刺する場面や鑷子でバルーンを圧迫する場面の透視画像も提示され、衝撃を受けました。現在も患者さんはお元気に通院されているとのことです。PCIでは、本当にいろいろなことが起こるものですね。
(文責 代表世話人 細木信吾)

