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小宮先生外来[get_image]
心臓血管外科のご案内

主任部長から患者さんへ 〜当科受診から手術まで〜

外来を受診するということ

 心臓血管外科を受診するということは、患者さんにとっては大変な思いでこられていると思います。『心臓の手術を受けることはこの世とのお別れだ』と思っている人もいますし、『手術なんて絶対受けたくない』と思っている患者さんも少なくありません。他科と違って、心臓血管外科受診=手術 となることが多いので、心臓外科の受診すら拒否される患者さんもいらっしゃるかもしれません。私の外来ではまず患者さんを診察し、ゆっくり患者さんのお話を聞くことから始めます。その後、病気の状況を理解していただくために、血管造影検査やCTの結果を見せながら、現在の状況、今後予想されることを説明いたします。次に、どのような治療法があるかを説明し、私が考えるもっとも適切な治療方法を示します。患者さんの状況によっては、手術をしないという場合もあるでしょう。さらに手術を行った場合の成功率(危険性)、どのような合併症が起こりうるかを説明します。このような説明だけで少なくとも30分以上かかりますが、患者さんにとっては人生で非常に大切な決断をしなくてはならないので、時間をかけて説明する必要があると考えています。もちろん説明を聞いて、すぐに手術の決断をするのは難しいでしょう。ご家族ともう一度相談したり、セカンドオピニオンを求めることもいいことだと思います。患者さんおよびご家族の方に十分理解と納得を得られた上で、心臓血管の手術を受けていただきたいと考えています。外来での説明は非常に重要ですので、是非ご家族の方も一緒に説明を聞いていただきたいと思います。

入院後の術前説明

 手術の細かい術式、方法は手術前のカンファレンス(心臓外科医師や循環器内科医師が集まって検討する会)で決定します。これにより術式が多少変更したり、手術日が変更になったりすることがありますが、これらの点も含めて、主治医から手術前の説明を再度行います。手術前日に行うことが多いです。

手術リスクについて

 手術が安全に行われるかどうかは、患者さんにとって手術を受けるかどうかの判断をするための重要な情報だと思います。手術の危険率については当ホームページや、外来で皆さんにお渡しする説明用紙にも記載していますが、この数字は当院での手術成績の平均の数字にすぎません。患者さんによって、病気の内容も違えば、手術の内容も違いますので、患者さん個々の危険性を正確に算出することは困難です。しかし、この数字は平均的な患者さんであればこれぐらいの危険性という目安になります。そこで個々の患者さんに対しては、『あなたはこれより危険性は低いです』とか『あなたは腎臓の病気があるので、この数字より少し危険性は高くなります』のような説明を行っています。死亡率1%でも危険だと感じる人もいるかもしれませんが、日本胸部外科学会調査によると2005年の日本全国での冠動脈バイパス術の成績は初回・待機手術で1.3%。弁膜症では2.7%。胸部大動脈瘤の待機手術では4.7%の手術死亡率です。安全に手術ができるように心がけていますが、合併症が発生して生命の危険を生ずる可能性が多少はあるということを理解していただけるよう説明しています。

手術適応について

 ときどきセカンドオピニオンで来院される患者さんがいらっしゃいます。『よその病院で手術を受けなさいといわれたが、症状もないのに本当に手術が必要なのか?』『医療サイトのホームページを調べても、手術をしたほうがいいかどうかよくわからなかった』手術適応の決定は高度の医療知識を要することもあり、どうしても医師の判断に依拠することが多くなります。このような場合に、本当に手術が必要な状況であれば時間をかけて説明することによって納得していただけると思います。この項目では疾患ごとにおおまかな基準をご説明します。

【冠動脈バイパス術】カテーテル治療を行なうか、冠動脈バイパス術を行うかは、非常に高度の医学的判断を要する問題です。冠動脈の病気の部分が少なければ、カテーテル治療になる可能性が高く、たくさんあれば冠動脈バイパス術になる可能性が高くなります。また左主幹部狭窄の場合は、手術になる可能性が高くなります。カテーテル治療を多数手がけている医師であれば、適切な判断を行っているはずです。病院によっては基準が多少異なる場合がありますので、納得がいかない場合はセカンドオピニオンを求めるのもよいでしょう。

【弁膜症】この病気のために、心不全の症状(運動時の息切れ、呼吸困難、足の腫れ、胸水など)がある場合は、原則的に手術が必要と考えてください。最近では、無症状の場合でも手術を勧める場合があります。弁の異常の度合いが大きく、心臓が大きくなったり、肥大が強くなったり、不整脈が出現する場合ですが、専門的な判断が必要ですので、納得がいかない場合はセカンドオピニオンを求めるのもよいでしょう。

【胸部大動脈瘤】この病気では自覚症状はほとんどありませんが、弓部大動脈瘤の一部では声がかれる(嗄声)ことがあります。手術の適応を決めるのは動脈瘤の形と大きさです。破裂の前に手術を行わなくてはなりません。紡錐型の場合は、最大径50mm〜55mm以上を手術適応と考えています。年齢の若い患者さんや、大動脈弁近くの大動脈が拡大しておる場合は50mm、高齢者など手術のリスクがやや高い場合は55mmを基準にしています。嚢状瘤ではより破裂の危険性が高くなりますので、拡大傾向が明らかな場合は、大きさにかかわらず手術適応と考えています。手術の成績は施設によってかなり異なる病気ですので、症例数の多い経験豊富な施設での手術を勧めます。

胸部大動脈瘤[get_image]

【腹部大動脈瘤】この病気も自覚症状は原則としてありません。破裂した場合の死亡率が高いため、破裂の前に手術を受けることが大切です。大きさが50mm以上が手術適応になり、50mm以下でも大きくなるスピードが速い場合や、嚢状の場合は適応になります。また手術は比較的容易ですので、40mm以上でも患者さんが希望すれば手術を行います。

【年齢】『もう年だから手術はいいです』とおっしゃられる御高齢の患者さんがいらっしゃいますが、当ホームページにも書いてありますように、80歳以上の患者さんの手術が増えており、その成績は決して悪くはありません。患者さんの全身状態にもよりますが、普段元気にされている方であれば、もう少し長生きができるように御手伝いできればと考えています。

重要なお知らせ

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主任部長から患者のみなさまへ

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循環器内科ウェブサイト