「ありがとう、の旅」Vol.2
倉敷市立箭田小学校

「ありがとう、の旅」Vol.2  倉敷市立箭田小学校

Vol.2 倉敷市立箭田小学校

当院 救急病棟 秋山 久美子看護師(撮影:2021年6月24日)

午前1時20分で止まった時計

今から3年前、西日本を中心とした記録的な大雨「平成30年7月豪雨」で倉敷市真備町箭田(やた)でも、甚大な被害が生じました。7月7日午前1時20分で止まった時計。この災害で箭田小学校の全校児童の約8割が被災、校舎も2階まで浸水しました。校舎の改修工事のため、児童は近隣にある玉島小学校・県立玉島高等学校の教室や、同じ真備町にある二万小学校に建てられたプレハブ校舎で授業を受けました。そして1年7か月後の2020年2月18日、改修を終えた校舎に児童の声が戻りました。

地域住民を招き「箭田小学校希望の会」を開催した2020年2月22日を「箭田本校舎復興記念の日」と定めています。記念日が近づいた今年2月、「コロナ禍で大変ななか、児童会活動の一環として何かできないか」と子どもたちを中心にある取り組みが行われました。

それは当院へ向けられた、温かい手書きのメッセージ作り。スケッチブックには「みんなをまもってくれてありがとう。手あらいをがんばるよ」や「日々、私たちの健康を守ってくださってありがとうございます」など、応援のことばが込められていました。

いのちの授業

お礼の気持ちを込めて、当院 救急病棟 秋山 久美子看護師が、子どもたちに「いのちの授業」を行いました。

 

1年生の皆さんは、覚えたばかりの字で「ぼくもコロナにまけずがんばります」、高学年になると「コロナと闘ってくれてありがとう。医療者の皆さまのおかげです」としっかりとしたメッセージ。心が温まる応援が本当に励みになりました。ありがとうございます。
当院は1日20~30台の救急車を受け入れており、1分1秒を争う場面もあります。痛みや苦しさを少しでも助けられるようお手伝いしていますが、回復された姿を見ると、看護師としての遣り甲斐を感じます。
救急病棟ではコロナ患者さんを看護するとき、防護服を着用しています。今日は事務の先生に、防護服を実際に着用していただきました。

30分程度着用していますが、大変暑いです。特殊なマスクとフェイスシールドは締め付けがあり息苦しさを感じます。これを着て戦っていると思うと医療者を尊敬します。

防護服を着用するのは大変ですが、見えないウイルスから周りのひとや自分の命を守るためには必要です。「感染しない、させない」ことを強く意識して、日々医療の現場で戦っています。皆さんも、しっかりマスクや手洗いをして、体調が悪いなと感じたらお家の人や先生に伝えてくださいね。  

 

「元気に過ごせる」は素晴らしいこと

これから夏休みに入り、少しずつ気温が上昇します。熱中症は身体がばてるだけではなく、命を脅かす危険な病気です。外で遊ぶときの帽子着用と水分補給はもちろんですが、室内でも気を付けてもらいたいです。
最後に命の大切さをお伝えします。私が働く救命救急センターには、昨日まで元気に生活していた人が、変わり果てた姿で運ばれてくることが、多々あります。自由に手足を動かせたり、見たり話をすることは当たりまえではないと実感しています。
コロナも喉が痛いという軽い症状から急激に悪化し、最後は機械に繋がないと息ができない状態になる患者さんを、たくさん診てきました。病気になることは、周りのひとも大変辛い思いをしますね。箭田小学校の皆さんは3年前の豪雨災害もあり、人一倍命の大切さを分かっていると思います。元気に生活できることは素晴らしいことだと感じながら、日々笑顔で過ごされることを願っています。

「ありがとう、の旅」を終えて

子どもたちは「命の大切さ」を改めて考えるとともに、自分たちの取組が他の方に勇気を与えることができたことで「人と人がつながることのすばらしさ」も実感できました。
私たちのささやかな取組について、温かいメッセージだけでなく「いのちの授業」までしていただき、本当にありがとうございました。

倉敷市立箭田小学校 横溝 敬司 校長


災害時の様子をお伺いし、いまだ心の傷を抱え苦しんでいる子どもたちがいることを、忘れてはいけないと痛感しました。院外に出て、子どもたちへ命の大切さを伝える責任感とともに、看護師という仕事への想いも、改めて考える時間となりました。
自分の成長につなげていける、貴重な経験をさせていただきありがとうございました。

3-4救急病棟 秋山 久美子さん

 

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