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病院薬剤師と薬局薬剤師による人事対談

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病院薬剤師と薬局薬剤師による人事対談

Intro

病院と調剤薬局の薬剤師の仕事やキャリア、働き方はどう違うのか。学生さんに知っていただきたいという思いとともに、私たち自身も改めて違いを知りたいと考えました。そこで、業界最大手のアインホールディングスさんにご協力いただきクロストークを開催しました。それぞれの職場における仕事とキャリア、働き方について、ぜひ知ってください。病院か調剤薬局かまだ悩んでいるという方に、少しでも役立てていただければ幸いです。

Member

  • 採用担当/薬剤師
    谷口聡子さん

    株式会社
    アインホールディングス
    人事本部 リクルート部
    リクルート課

  • 病棟薬剤師/採用担当
    栁原知夏

    倉敷中央病院 薬剤部

テーマ:二人のキャリアと
専門性

私は2017年に新卒で入社して、3年間、薬局薬剤師として調剤薬局で勤務していました。私が働いていた薬局は、関西地区屈指の大型店で日々多くの患者さまに寄り添いながら充実した日々を過ごしました。自身の希望というよりは、私が就職活動をしていた時の採用担当から打診をいただいたのがきっかけで採用担当になりました。

私は2015年に入職、1年間の研修期間を経て調剤室を希望しました。6年目で病棟薬剤室に異動希望を出し、今は循環器内科病棟と心臓血管外科病棟を担当しています。採用担当は1年目から携わっています。私は薬剤師としての仕事だけではなく、採用の仕事も大好きなんです。病院では薬剤師業務と兼務で行っているのですが、大手の調剤薬局さんには採用に特化した部署があるので、採用活動に専念できますよね。

専門の部署があるのは企業ならではだと思います。でも異動の声がかかった時は「いよいよ、かかりつけ薬剤師として役割を果たしていくぞ」というタイミングでしたし、患者さまとお話しするのが好きだったのでかなり悩みました。白衣を脱ぐというか、現場から離れるというのは勇気が必要でした。でも、せっかくの機会だからチャレンジしてみようと思ったんです。実際にやってみて、本部の業務に携わることで、視野が広がりましたし学生さんとお話しするのもすごく楽しいです。時々応援という形で現場に行くこともありますし、薬剤師としての全体研修を同期と一緒に受けています。同期のみんなと近況報告などをしあう中で、いつも薬剤師として刺激をもらっています。

働く環境によって、薬剤師の専門性はいろいろな方向に伸びていくと思います。当院は急性期病院なので、患者さまの入院期間は平均2週間です。症例数も多いですし、約100人の薬剤師が活躍しているので、様々なケースについて色々な人から学び、経験を積むことができます。一方で一人の患者さまと直接関わる時間は短いかもしれません。退院後の薬物治療と生活を支えているのがかかりつけ薬剤師である薬局薬剤師さんだと思っているので、患者さまが退院されるときには「あとはお願いします」と、バトンを渡すような気持ちです。病院と薬局の薬剤師の専門性を分けるとすれば、病院での薬物治療に関しての専門性は病院薬剤師が持っていて、日々の生活の中で行われる薬物治療に関しての専門性は調剤薬局の薬剤師さんがお持ちだと感じています。

テーマ:病院薬剤師の仕事、薬局薬剤師の仕事

病院薬剤師は医師や看護師、栄養士など、他の医療職の人とチームを組み、患者さまの治療にあたっています。「検査の数値がこうで、CT画像がこうだから、この患者さまにはこの薬物治療を行う」という、医師がなぜこの薬を選んだのかという処方の根拠がわかるのが特長です。そして、その数値や治療法に対して、薬剤師として処方提案を行うことが求められます。また、医師の業務のタスク・シフト推進により、医師が行ってきた処方の一部を薬剤師が代行するという場面も増えてきました。病院薬剤師は、今までよりもさらに、主体的に治療に関わることを求められているように感じます。また最近では仕事を通じて高めた専門性や経験をもとに、新規事業の開発や病院経営に関わる仕事も行っています。

薬局の薬剤師の仕事は「かかりつけ薬剤師」として患者さんに寄り添うことはもちろんですが、在宅医療、かかりつけ、健康サポート、高度薬学管理など患者さま一人ひとりの治療に合わせた対応が求められています。最近はTPNの提供も増えてきています。TPNとは栄養を経口摂取できない患者さまへ、高濃度の栄養輸液を中心静脈から投与する療法のことです。薬局は店舗数が多いので、患者さまの一番近くの店舗で毎日調剤し、在宅治療をされている方へお届けすることができるんです。すべての店舗ではありませんが、対応可能な店舗が増えています。ひと昔前までは「薬剤師は処方箋に沿ってお薬を調合し、渡すだけ」と思われていましたが、国の地域医療構想に伴い、薬局の役割そのものが大きく変わってきています。例えば、「健康サポート薬局」では、薬のことだけでなく、「介護について」や「血圧について」など、地域の方々の健康維持に役立つセミナーを開催しています。他にも、「地域連携薬局」・「専門医療機関連携薬局」の認定制度が始まり、地域全体で患者さまを支えていける体制を構築しています。専門医療機関連携薬局は、専門資格者が必ず配置されていて、病院との連携も密に行います。このように、今後はさらに専門性の高い役割を、調剤薬局の薬剤師が担っていくことになります。

地域医療構想が進むことによって、「薬薬連携」、つまり病院薬剤部と地域の薬局の連携はより重要になっていますね。例えばがん治療は、入院治療と在宅治療、通院治療と在宅治療を繰り返し、継続的に治療を行います。それは、病院薬剤師と薬局薬剤師が、交互に患者さんに関わっているような感じです。だから、入院や通院での治療の際に知り得た患者さまと薬の関係性について、些細な情報であったとしても、薬局の薬剤師さんにお手紙にしてお渡しています。さっき「バトンを渡すような気持ちで」と言いましたが、気持ちだけでなく、入院時の状況や、経過、お薬を変えたことや、副作用、服用時の注意点など、こういうところを見てくださいという情報を「退院時薬剤情報提供書」という形のお手紙にして薬局にお返ししています。

私たちは、その退院時薬剤情報提供書と処方箋を元に患者さまとお話をして、外来での治療をサポートしています。また、次の受診までの期間にお電話などで副作用や痛みの状況を聞き取ります。ここで話した内容を今度は「トレーシングレポート」という形のお手紙に書いて、病院の薬剤師さんにお渡しします。私たちは、直接、医師の診断や治療方針の決定に携わることはできませんが、日々の患者さんの状況や服用の様子は誰よりも知っています。それを伝えることで、病院での治療の役に立ててもらえるように心がけています。

テーマ:病院薬剤師と薬局薬剤師の働き方

病院薬剤師と調剤薬局薬剤師の違いでいうと、先ず勤務先が病院なのか、企業なのか、という点がありますよね。病院の薬剤師は、様々な病棟で勤務をすることで、様々な症例や疾患についての知識を蓄え、専門性を高めていくことができると思います。医師や看護師と意見を直接交わしながら患者さまと向き合うこともできますし、代行処方や臨床研究といった病院でしかできない仕事もあります。また、認定・専門薬剤師の資格取得も可能です。当院はがん専門薬剤師を養成する教育機関としての認定を受けていますので、専門性を高めていきたいという方には恵まれた環境だと思います。一方で一般的な病院では企業と違って、薬剤師の資格以外の能力を活かしながら働いている人は、それほど多くないように思います。

私たちは企業なので、薬剤師といえども薬局経営について考えなくてはなりません。薬局長になれば、数字の管理も行いますし、マネジメントも行います。一方で、企業だからこそ様々な働き方ができるということもあります。新しい店舗の開発を行う部署もありますし、全国の店舗から集まるデータを集約する部署もありますので、キャリアチェンジも可能です。

倉敷中央病院では薬剤師であっても私のように採用担当を行ったり、最近では新規事業の開発や病院経営に携わっている薬剤師が増えてきました。

当社でも専門資格の取得や学会発表をする薬剤師や病薬連携が進み、医師・看護師と直接意見を交わす機会が増えてきています。

勤務先に関しても、病院と企業では違いますよね。当院の場合、病棟が変わることがあっても、同じ病院で働くことになります。アインホールディングスさんのように全国規模で展開されている企業の場合は、全国様々な場所で働くことが可能だと思います。どんな働き方がしたいかによって、その良さは変わってくるのではないかと思います。

そうですね、当社の場合は、全国に1200以上の店舗があるので転勤を伴うこともあります。ただ、地域限定職といって、限られた地域の中での転勤に限った働き方もあります。また、家庭の事情で引っ越しをせざるを得ない場合などは、引っ越し先の近くの店舗に配属をしてくれるなどもあります。この点に関しては全国展開をしている企業だからこその働き方だと思います。

テーマ|病院と調剤薬局、それぞれ、どんな人が向いているのか

学生さんと話をしていると『大学卒業後も臨床を極めたい人は病院』『経営も含めより広く能力を活かしたい人は薬局』という考え方をお持ちの方が多いように感じています。もちろん、その考え方は間違っていないと思いますが、当院とアインホールディングスさんの場合は少し違うかもしれないと、本日、谷口さんとお話をさせていただいて感じました。アインホールディングスさんでは専門資格を取得されている薬剤師の方も大勢おられますし、当院では新規事業開発を行っている薬剤師もいます。
そうすると結論としては、業種を選択するよりも、どの会社を選択するのかが一番重要になる気がします。学生さんにはいつも「どんな経験も無駄にならないから、今のうちにバイトでも部活でも、いろんな経験をしてね!」と言っているのですが、広く興味をもって、目の前のことに夢中になれる人が、結局病院にも薬局にも向いているのかなと思います。

ほんとにそうですね。私も活躍できる人材は、どちらでも同じだと思います。急性期を担当される病院はプレッシャーも大きくて、常に変化に対応しなくてはならないと思うんですが、実は薬局も同じです。数年前とはガラっと変わっているようなことも多く、常に勉強が必要です。なにより薬局は「企業」なので、社会や経営の変化に敏感でなくてはなりません。病院も薬局も、どちらもプレッシャーや変化を楽しんでいける人が、きっと向いているし、活躍できると思いますね。

これからもお互い『患者さまのために』という思いを大切に、日々の仕事はもちろん、未来に向けての仕事にも取り組んでいきたいですね。『仕事をこなす』ではなく『仕事を楽しむ』ことが患者さんにとっても、薬剤師にとっても明るい明日につながっていくと感じました。谷口さんのお話は刺激になりましたし、何よりとっても楽しかったです。本日はありがとうございました。

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