西浦直紀(専門修練医2年目)

2024年1月

私は現在医師7年目、循環器内科医5年目で、虚血性心疾患、心エコー、弁膜症治療を主として勤務、研鑽を積んでいます。今回、国際学会としてヨーロッパでの構造的心疾患(SHD)に対するカテーテルインターベンションを扱う学会であるPCR London Valves 2023に参加させていただきました。

日本では現在SHDに対するインターベンションとして、経カテーテル的大動脈弁植え込み術(TAVI)、経カテーテル的僧帽弁形成術(MitraClip)が普及しており、その他デバイスや治療法も治験などが進んでいます。ヨーロッパでは日本ではまだ認証されていない新規の治療器具も使用されており、今後日本に入ってくるかもしれないデバイスを目にする機会は貴重です。また、私が主に取り組んでいる僧帽弁や三尖弁の治療に関しては欧米では様々なコンセプトのデバイスが使用されており、治療法の考え方(ライフタイムマネジメントなど)も違いがありました。これらは海外学会に行かないと実感としては得られない経験と感じました。また、日本から学会に参加している日本人、留学している日本人の先生方が堂々と発表している姿は非常に刺激になります。私自身は外国語に強く苦手意識を持っていますが、外国語の勉強に取り組むモチベーションになりました。

学会での勉強だけでなく、海外の文化に触れる機会としても貴重な経験でした。空き時間には同行した同僚との観光も楽しむことができました。海外文化とは違いますが、日本で食べるよりも何倍も高いラーメンは格別でした(上司にごちそういただきました笑)。

私の臨床研究ですが、医師3年目、循環器内科医1年目で前任地の指導医とともに始まりました。その頃から弁膜症に興味があり、当時の指導医のもと研究にも手取り足取りではありますが取り組むようになりましたが、COVID-19の流行で海外学会への参加は叶わず、がっかりしたものです。

医師6年目となり当院で研鑽を積むために移動してきました。シニアレジデントや若手医師全体に臨床研究に取り組む姿勢を強く感じ、他院から赴任した私も早速、症例報告、ケースレポート、原著論文と取り組ませていただいております。臨床研究を行う環境として有利であると思う点がいくつかあります。1つ目はデータベースの充実です。もちろん自分で追加のデータ収集を行う必要はありますが、普段の臨床データが蓄積されており、気になったテーマについて速やかに取り組むことができます。2つ目は、循環器領域の検査や治療が一通りそろっており、また新規の治療の導入も早く、それに基づいた豊富な症例があることです。3つ目は臨床研究のサポート体制が整っていることです。指導医の先生方は各分野のトップランナーですし、論文の執筆についても経験豊富です。データベースの整理や追跡調査は医局秘書さんがサポートしてくれます。また、院内に英文校正の経験が豊富なスタッフが勤務しており、非常に助かります。学会の参加に際しても秘書さんが交通や宿泊の手配など手厚くサポートしてくれます。

臨床と研究、両方とも頑張りたい若手医師にとって多くの利点がある環境と思います。興味がある方は一度見学に来てみませんか?