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診療案内

スーチャーレス人工弁を用いた右小開胸での大動脈弁置換術

心臓の弁を人工弁に取り換えるには、開胸して人工心肺を用い、心停止として自己弁を切除し、人工弁を糸で縫い付ける必要があります。10年前に導入したTAVI治療では、縫い付ける代わりにステントの力で人工弁を圧着させています。大動脈弁狭窄症では弁が硬くなっているので、この方法で人工弁が外れることはありません。このステントを利用した2種類の新しいスーチャーレス人工弁(Perceval弁、Intuity弁)が2019年から日本でも使用できるようになりました。この弁とTAVI弁が異なる点は、スーチャーレス人工弁では自己の大動脈弁をきちんと切除する必要がある点です。そこに適切なサイズの人工弁を挿入し、バルーンでステントを圧着させます。単純に人工弁を縫い付けるための手間が省けて手術時間が短くなることが期待できますが、手技の難易度が高い小切開手術でより有用なのではないかと考えました。


▲ Perceval弁


▲ Intuity弁

小切開手術では大動脈弁が深くなり、糸をかけるのが難しくなります。小切開法としては、胸骨を一部切る正中法と、肋骨の間からアプローチする右開胸法があります。正中法では骨を切開するのが欠点であり、右開胸法は大動脈弁がより遠くになり手技的に難しくなるのが欠点です。また人工心肺確立のための送血路として、正中法では通常手術と同様に上行大動脈を利用できるが、右開胸法では大腿動脈を使わざるを得ないのが欠点でした。


正中法

右小開胸法


 当院では、右開胸による小切開法で上行大動脈から送血する方法を標準手術としました。右第3肋間に7㎝の切開を加えて、第3肋間または第2肋間を切開します。送血管は上行大動脈から、脱血管は大腿静脈から留置して、人工心肺を確立します。心停止としたら上行大動脈を切開して、自己弁を丁寧に切除したのち人工弁を留置します。可能であればスーチャーレス人工弁を用いますが、従来の人工弁も使用できます。2019年6月より34例の単独大動脈弁置換術中、23例で右開胸での大動脈弁置換を行い、そのうち11例にスーチャーレス人工弁を用いました。

2019.6~2020.4 正中開胸法 右小開胸法 スーチャーレス人工弁
単独手術 11 23 11
複合手術 42 0 11


右小開胸での大動脈弁置換術

スーチャーレス人工弁での問題点と従来言われている、術後の房室ブロック(永久ペースメーカー植え込み)や人工弁周囲逆流の発生は1例もなく、全例留置に成功しました。

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主任部長から患者のみなさまへ

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