予防医療とは?健康寿命を延ばすための健診の活かし方を解説(前編)

予防医療とは?健康寿命を延ばすための健診の活かし方を解説(前編)
未来をつくる予防医療(前編)

「元気に長生きしたい」と多くの人が願っていますが、日本では平均寿命と健康寿命の間に約10年の差があります。この期間は、介護や支援が必要になる可能性のある時間を意味します。この差を縮めるために重要なのが、無症状のうちから体の変化を知り、備える「予防医療」です。
2026年5月21日に開催した倉敷中央病院の市民公開講座「倉中医療のつどい」では、当院付属予防医療プラザの和田憲和所長が「未来をつくる予防医療 ~予防の第一歩は今の自分を知ること」と題して講演を行いました。その講演内容から、前編では平均寿命と健康寿命の差、そして健診結果の活かし方についてご紹介します。

平均寿命と健康寿命の差は”約10年”

日本は世界有数の長寿国ですが、平均寿命と、自立して生活できる期間である「健康寿命」の間には大きな差があります。

男性:約9年
女性:約12年

この期間は、何らかの介護や支援を必要とする期間です。

要介護認定を受ける方は増え続けており、特に軽度の要介護者が増加傾向にあります。一方で、支える側の現役世代は減少しており、家族内でも「高齢者が高齢者を支える」ケースが増えています。健康寿命を延ばすことは、個人の生活の質を高めるだけでなく、社会全体にとっても重要な課題です。

介護の原因は主に4つに集約される

高齢者が介護を必要とする主な原因は、次の4つに分類されます。

■ 脳: 脳血管疾患(脳卒中など)
■ 認知: 認知症(認知機能の低下)
■ 骨: 骨折・転倒
■ 衰弱: フレイル(加齢による虚弱)

男性では脳血管疾患、女性では認知症や骨折が多く見られるのが特徴です。これらの多くは自覚症状がないまま進行し、ある日突然、生活の質を大きく低下させます。そのため、症状が出る前に体の変化を捉えることが重要です。

予防医療の3つのステップと健診の役割

予防医療には、段階に応じて3つに分けられます。

一次予防: 食事や運動、禁煙など生活習慣を改善して、病気そのものを防ぐ(先制医療)
二次予防: 健診や人間ドックで病気を早期発見、早期治療につなげる
三次予防: 病気になった後の再発防止や、リハビリテーションによる社会復帰支援の段階

健診や人間ドックは、この一次予防と二次予防の間に位置し、健康管理の「スタート地点」として重要な役割を担っています。

健診結果は「通知表」ではなく「地図」

多くの人は健診結果を、その時の良し悪しを判定する「通知表」のように捉えがちですが、“受けて終わり”にしないことが何より大切です。たとえ結果が「異常なし」でも、完璧な健康を意味するものではありません。「現時点では大きな問題が見えていない状態」に過ぎず、逆に、軽度の異常の段階であれば、生活習慣の見直しによって改善できる可能性があります。

健診結果は、これからの健康方針を考えるための「地図」です。定期的に受診して「経年変化」を追うことで、自分自身の現在地を客観的に把握し、未来の健康に向けた次の一歩を踏み出すための材料として活用することが大切です。

結果報告書は「コメント欄」まで必ず確認を

健診で最も大切なのは、結果を行動につなげることです。結果報告書が届いたら、判定のアルファベット(A〜E)を見るだけで終わらず、その先にある「医師からのコメント(総合指導コメント)」を必ず確認しましょう。

判定が「C(経過観察)」や「D(要精密検査)」の場合、コメント欄には「いつまでに受診すべきか」「どのような検査が必要か」といった具体的な方針が記されています。また、たとえ「B(軽度異常)」判定であっても、血圧や血糖値などの推移によっては、将来のリスクを防ぐための重要なアドバイスが書かれていることもあります。

コメント欄は、医師があなたのデータに基づいて作成した「未来の健康へのガイド」です。ここをしっかりと読み取ることが、健診を予防に役立てるための第一歩となります。

健診は「受けること」ではなく「活かすこと」が重要です。まずは手元の健診結果を見直し、自分の状態を知ることから始めてみましょう。それが将来の健康を守る第一歩になります。
後編では、見逃されやすいリスクや具体的な対策について解説します。

このページの内容は令和8年5月21日時点の情報に基づき、情報提供のみを目的として制作されています。原因や症状、治療法などは個人差がありますので、ご自身への適応については必ずお近くの医療機関、または、かかりつけ医にご相談ください。

予防医療プラザの詳細は下記のバナーよりご確認ください。

和田 憲和
倉敷中央病院附属予防医療プラザ所長
専門領域
人間ドック
専門医等の資格
●日本人間ドック・予防医療学会人間ドック健診専門医、指導医
●日本内科学会認定内科医、総合内科専門医
●日本腎臓学会腎臓専門医
●日本透析医学会透析専門医
●日本医師会認定産業医
●日本医師会認定スポーツ医

(2026年6月15日公開)

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