「理念のバトン」第1回

「理念のバトン」第1回

現状に満足するのは退歩の第一歩である

副院長 兼 総合診療科主任部長 兼 救命救急センター センター長
福岡 敏雄

仕事というものは三割の賛成者があれば着手すべきだ。五割も賛成者があればもう手遅れだ

救急科 瓜生 悠平

福岡)「現状に満足するのは退歩の第一歩である」という言葉は常に心にあります。私自身、もし現状に満足していたら、広島県の谷底で売り酒屋の店主になっていた。「ここで満足せず、前に進みなさい」と親に教えられたから今があります。

瓜生)私が選んだのは「仕事というものは三割の賛成者があれば着手すべきだ。五割も賛成者があればもう手遅れだ」という言葉です。周りには小さなニーズが案外あると感じていています。それを受けて何か新しく始めようと動く今の自分に丁度マッチしてると思いました。新型コロナウイルスに関する困りごとへの対策など、五割・八割が必要と言い出す頃には多分後手に回るでしょう。

福岡)孫三郎の「地方にあって世界を見た」スタイルにすごく共感します。倉敷に住みながら東京をも包括した日本全体、世界に視野を向け、時代の先を読んだ。当院建設時には医師をヨーロッパへ派遣して書籍や医療機器を買い付け、開院後は看護師をヨーロッパへ研修に送り出した。

瓜生)「新しい価値観」に重きを置いていた方だと、言葉を見て感じました。前例や経験より、現場の新しい考えを取り入れたり、ご自身で発案したり、後進に門戸を開いたり。良いものをしっかりかたちにすることを実践された方という印象を持ちました。

福岡)周囲の方々が退歩させられていると感じる状況はあってほしくない。救命救急センターではスタッフが自由に挑戦できることを意識しています。当院のミッション、つまり院是が芯にあることが前提です。7割反対しても進めるべき時は進める。それを許すのが大原イズムだと思います。

瓜生)初期研修医から「もっと勉強したい」「フィードバックが欲しい」などのニーズに応えると、彼らの診療が変わっていくのを実感しています。3割のニーズを満たせば、ニーズを発信していない他の人たちにも波及する。5割満たせばプロジェクトとなり、さらに発信できると考えると、あらためて孫三郎の言葉に共感します。返せば7割が反対しているという事実は、福岡先生のお話を聴いていて気づきました。僕はプラス思考だったんだなと(笑)そういえば、研修医リクルートの折り鶴企画 は新しかったですね。面白かったですよ、あの企画!

福岡)あのときも最初は反対が多かった。企画の提案を受けてから実現まで、何度も話し合いを重ねました。新しいPRはしたいけど、病院のブランドを傷つけたくはないから。

瓜生)今回この企画に参加して、新しい価値にアンテナを張り、後輩からの新しい意見を取り入れながら、多職種のお役に立てるようなアイデア出し、現場の改善などできればと思います。

福岡)当院は毎年約300人を採用し、組織の新陳代謝も進む。さまざまな局面で、初々しくてまっすぐな疑問を受け止められる組織、さまざまな危機に耐えられる、打たれ強い組織であってほしい。人材開発センター長としては、当院の職員が組織を超えてさまざまなプロジェクトに参加する機会を得られるよう進めています。それが、ひいては、組織としての退歩を防ぐことにつながるのではないか、と考えています。

(執筆時 2020年4月)

 

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