やる可し、大いにやる可し
臨床検査技術部 血液・染色体検査室 室長 田坂 文重
大原孫三郎氏は「新しき事、楽しき事」を求め 15 歳で上京、周りには「友達」の顔をした人間がたくさんいましたが、ほとんどが偽者。本当の友達を求め、倉敷に戻り、林源十郎氏、石井十次氏に出会います。石井氏は孫三郎氏に「多忙は幸福です。多忙な人間は多望な人間、つまり、希望の多い人間ということだから」などを説いて、孫三郎氏を引き付けていきました。
私は 3〇年前に臨床検査技師として入職。当時、血液検査は用手法から自動化へ向かう時期で、新機器、新試薬の検討、学会発表など忙しい毎日を過ごしました。良き先輩、良き指導者に恵まれ、倉敷中央病院だからできた多くの経験をさせていただき、大変有意義でした。多忙な時期でしたが、今の私の糧だと思います。 現在、血液染色体検査室で自動分析装置での検査に加え、顕微鏡での末梢血、骨髄の細胞分類、免疫反応を用いた細胞の分類を行い、主に血液疾患の分類の一助を行っています。自動分析装置から出てくるデータをそのまま臨床に返すのではなく、患者さんの役に立つ付加価値のついたデータ、情報を返すよう心掛け、後輩技師にも伝承していきたいと思います。
臨床検査技師の業務、特に検体検査は検査室に引きこもったバックヤード的な業務と思われがちですが、外来採血、病棟採血に出向くようになり、今年7月から2交替勤務となり、救命救急センター出向業務も加わり、孫三郎氏の「やる可し、大いにやる可し」をモットーに臨床検査技術部が色んな形でチーム医療に貢献していければと思います。
自分は主張のない仕事はひとつもしないように、主張のない⽣活は1日も送らないように
臨床検査技術部 血液・染色体検査室 西村 恭輔
私現在は血液・染色体検査室に所属しており、血球計数測定や白血球分類、凝固検査など主に血液疾患に関する検査を行っています。病気の発見から診断、治療に関して直結する検査を多く担っており、積極的に臨床にアプローチしていかなければいけないという使命のもと日々検査を行っています。
入職当初はひたすら仕事を覚え、検査をこなすだけという日々で正直あまり臨床検査技師として誇りを持って働いているような気はしませんでした。覚えることで精一杯だった部分もありましたが明確な目標がなかったからだったと思います。しかし、そんな自分を変えてくれたのは現在の室長でした。いつも多くの検体を測定、鏡顕する中で異常データや異常細胞にいち早く気づき、血液疾患が疑われる場合は臨床へ情報をフィードバックしたり、次の精査を一歩先に進んで行ったりと常に”主張”のある仕事をしています。臨床からの問い合わせも多くあり、症例ごとに必要な検査も異なったり、必要な検体の種類やオーダーに関しても非常に複雑なところが多いですが、検査が確実に行われるようにいつも的確なアドバイスをしたり、検査室で医師と顕微鏡を見ながらディスカッションしている姿を見て、いつか自分もこうなりたいと思うようになっていました。
今回、大原孫三郎さんの登場する書籍を拝読し、常に”主張”を追い続け、また常に絶えず進歩する姿勢に室長の姿が重なりました。私もこれから血液・染色体検査室はもちろんですが、病棟業務や救急業務など検査室以外の場所での仕事においても主張のある仕事をして後輩に目標とされるような存在になりたいと思います。
(執筆時 2020年8月)