「日本サウナ学会」をご存じでしょうか?
小児外科医として当院でも子どもたちの手術を執刀する花木祥二朗先生が昨年11月、東京都で開かれた「第4回日本サウナ学会総会」で研究奨励賞を受賞しました。
このページでは、サウナを愛する花木医師が考案した「時短サウナ」について紹介します。

花木先生は大分大学医学部を卒業後、福岡県や岡山県の病院を経て2021年に当院に赴任。国内だけではなく、東南アジアで十分な医療を受けられない小児固形癌の子どもたちに手術を提供するため、NPO法人中国四国小児外科医療支援機構に所属し、ミャンマーやカンボジア、ラオスなどで計5回にわたる集中的な手術活動を行ってきました。現在は岡山大学医歯薬学総合研究科の博士課程で研究を行いながら、非常勤として当院での小児外科手術の執刀も担っています。

サウナとの出会い
花木先生とサウナの出会いは2007年、温泉地として有名な大分県の大分大学医学部に進学してからです。以後18年間、仕事の合間を縫って週に1~2回程度通うサウナは、「仕事を頑張った自分自身へのご褒美であり、心身を整えることで次の仕事に向けてエネルギーを充電する場所」となっています。
そんな花木先生が研究奨励賞を受賞した今回の発表は、サウナでよく言われる”ととのう”効果を得るまでの時間の短縮化。従来、1時間以上は必要だとされていましたが、30分以内に”ととのう”ことができる「時短サウナ」を提唱したものです。花木先生もそうですが、仕事や家事、育児などといった多忙な日常生活の中で、長時間のサウナが難しい方もいらっしゃいます。時間を効率的に活用し、短時間で最大限の効果を得るために考案した方法を紹介します。

花木先生が解説する独自の時短サウナ方法
通常のサウナは、「サウナ→水風呂→外気浴」を1つのサイクルとします。個人差はありますが、サウナは平均10~12分、水風呂が1~2分、外気浴を長めにとることが基本と考えられています。
これを3サイクル、1~2時間かけて”ととのう”のが理想ですが、時間は限られています。そこで、考案したのが下図のサイクルです。
私の造語である”羽衣はがし”を取り入れた冷水浴を組み合わせ、最初と2回目のサイクルにおける外気浴を省略し、その代わりに帰宅する時間を外気浴として取り入れる方法です。このサイクルを、日常的にサウナを利用する20人に体験いただき、アンケート調査しました。その結果、短時間でも十分に”ととのう”効果が得られたことが示されました。結論として、時短サウナは時間的な制約がある多忙な層にとって有効な選択肢となり、生活の質を向上させる可能性があることが分かったと言えます。
※羽衣はがし;水風呂で体を冷やす際に、体表面の保温層である「羽衣」を手で取り除くことで、より冷たさを感じやすくする手法
※発表の詳細は、北海道テレビ放送のメディアサイト「SODANE」でも紹介されています。
https://sodane.hokkaido.jp/column/202502080500005045.html
花木先生は「私にとってサウナは『究極のセルフケア』です。ただ、サウナに入る際には注意点があります。飲酒後は絶対に控えるほか、体調や気分が悪いときなどは利用を控える、基礎疾患のある方はかかりつけ医の先生に相談するなど、注意点やルール、マナーを守りながらサウナを楽しみましょう」と話されています。