助産師と歯科技工士のコラボで
倉中オリジナル子宮・卵巣模型が誕生

助産師と歯科技工士のコラボで  倉中オリジナル子宮・卵巣模型が誕生

プロジェクトメンバー
(左から)松下 志朗 歯科技工士、西村 明恵 歯科技工士、高田 鼓 助産師、寶口 智士 歯科技工士、高橋 孝平 歯科技工士

 

「女の人の体って、どうなっとん?」

高田助産師は思春期保健相談士(思春期の子どもたちに対し専門的知識を基に教育や支援を行う資格)として院内外からのニーズに合わせた性教育に取り組んでいる。
子どもたちから「膣ってなに?」「赤ちゃんってどうやったらできるん?」と問われるたびにイラストを描いて説明してきたが、立体的で可動性のある教材があればもっと分かりやすいのに…と思う日々。
市販の模型は、見た目がリアルすぎたり病態モデルでグロテスクだったり、大きすぎたり高額だったりしてものすごく使いにくい。子どもたちも「怖い」「ふーん…」と関心を示さなかった。

「無いなら作ってしまおう!」
と思い立ち、高田助産師は樹脂粘土と絵の具、木材とワイヤーを手に取った。
こだわったポイントは、外陰部をデフォルメして付けたこと。
どこから経血が出るのか、精子が入ってくるかを知らない子もいる。「赤ちゃんが出てくるとても大切なところ、だから下着で隠している。あなたの許可なく触っていいところじゃないんだよ」という話をするためにも、このパーツは欠かせない。
生理や妊娠の仕組みを伝えるために、卵子や精子、子宮内膜は動かせるようにしよう。
胎内で過ごしている赤ちゃんも作ろう。
引き出しを付けてパーツをしまえるようにして、どこへでも持ち運べるサイズにしよう。
怖くないよう、リアルすぎない色味にしよう。
こだわりを詰め込んだ試作品は、1日で完成した。

子宮頚管や子宮内避妊具の説明にも使えそうだし、頻繁に説明をする場所には1つずつ置きたい。
あと4つほど欲しい。できればもうちょっとクオリティの高いものがいい。
製品化してもいいかもしれない。
院内で医療者側のニーズを製品化に結び付ける活動をしている田渕医療技術本部長に相談したところ、歯科技工室に白羽の矢が立った。

院内コラボが実現

2022年6月末、高田助産師と歯科技工室の顔合わせ。
試作品とともに高田助産師から提示されたテーマは「エグくない、可愛いモデル」。
製作にあたり、3つのリクエストがあった。

①リアルすぎない色味
②適度なデフォルメ
③持ち運びが苦にならないサイズ

歯科技工士として求められてきたのは「精巧に再現すること」。人体の模型をどのようにデフォルメするのか。寶口歯科技工士は、想いを巡らせる。「西村さんは1年目で診療に直接かかわる業務に当たれていないから経験を積む良い機会になる。そういえば、履歴書に可愛いキャラを作るのが趣味と書いてあったっけ」高田助産師と歯科技工室とのコラボレーションが動きはじめた。

仕組みは正しく、お部屋に飾れるくらい可愛く

​​​​​​​西村歯科技工士はその日のうちに高田助産師の試作品を採寸し、設計資料を作成。
どの程度のデフォルメが許容されるのか、どうすれば可愛くなるのか。
奥行き感や色味、角度や大きさなど、打ち合わせを何度も重ねた。

​​​​​​​​​​​​​​最初の工程は型取りするための原型作り。
フィギュア用粘土で、採寸どおりに形作る。これをもとに、樹脂を流し込む型が作られるのだが、粘土のザラザラした質感が残る。
ここで先輩の高橋歯科技工士が手助け。
実家のガレージを借りて作業場にし、型の表面にコーティングスプレーを何層も吹きかける。
酷暑のなか流れる汗をぬぐい、親御さんの「それはなんだ?」という質問をかわしながら、2週間。
かくして型取り用粘土模型の問題はクリア。制作が本格的にスタートした。

型に樹脂を流し込むには経験が求められる。先輩技工士はパーツ作りの支援をかってでた。
そのパーツを調整し組み立てるのは西村歯科技工士。パーツ同士の継ぎ目をいかに自然に見せるか。研磨機のアタッチメントを取り換えながら研磨し、いろんな角度から継ぎ目をチェックする。ベテランの松下歯科技工士は、製品としてのクオリティを出すためのアドバイスを送った。
1号模型が完成したのは、約1か月後だった。

赤ちゃんは大切な存在、と心に描いてもらえたら

パーツの一つ、赤ちゃん。羊水をイメージした球体の中に、胎盤と繋がった赤ちゃんが浮かんでいる。
すべて西村歯科技工士の制作である。
こぶしを握って眠る赤ちゃん、指しゃぶりをしている赤ちゃん。「一つひとつ手作りするんだから、違う表情にしてあげたいと思って」。
ひっくり返すと可愛いお尻。これも高田助産師と西村歯科技工士のこだわりである。

使用パーツを収納できる台座は先輩の寶口歯科技工士が担当。引き出しもアクリル板を用いた自作である。引き出しには、説明に使う精子と卵子のモデルがついた棒と赤ちゃんをしまう。「赤ちゃんは市販の巾着袋を購入し、それに入れて収納」と一旦話がまとまった。
しかし。
「せっかくなら、安産を願ってお守り風に」
手先は器用だが、お守りを作ったことはない。手芸店での材料選びからミシンでの縫い上げ、お守りの飾り結びまでなんとかやり遂げた。
「お守りは開いたりしないけど、このビジュアルで大切な存在だと伝えられたら…」願いを込めた。

 

子どもたちの「どうなっとん?」に、しっかり応えたい

​​​​​​​1号模型での改善要望を踏まえてすすめられていた、完成形となる2号模型の制作。
2022年11月18日、この世に誕生した。
その名も
「DOUNATTON(どうなっとん)」

まずは院内で活用を広げるために、4つを増産した。
ゆくゆくは院外からの受注も視野に入れている。
​​​​​​​
​​​​​​​子どもたちの「どうなっとん?」に応えるため、高田助産師と歯科技工室メンバーとのコラボレーションは続いていく。

 

 倉中オリジナル子宮・卵巣模型に関するお問い合わせ先

TEL:086-422-0210 歯科技工室

 

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