Vol.26 
患者さんに寄り添える医師を目指して 
初期研修医2年目 
唐井 美佳

Vol.26   患者さんに寄り添える医師を目指して    初期研修医2年目   唐井 美佳

地元倉敷で医師として最初の一歩を踏み出した2020年4月、県内でも新型コロナ感染症流行の兆しが見られ、入職式と多職種合同研修は中止、新入職オリエンテーションは規模を縮小しての開催となりました。大切にしたいと考えていた患者さんやご家族とのコミュニケーションはコロナ禍ならではの難しさがあり、どうすれば患者さんらの思いを尊重しながら医療を提供できるかに心を砕きました。

患者さんの背景を知るためにご家族からお話を聞くことは大切ですが、面会制限で直接会うことは難しく、電話での病状説明や転院の相談も少なくありません。電話だと顔が見えず、声色から相手の気持ちを推し量る必要があるため、慎重に対応しています。また、救急外来では感染が疑われる患者さんの診療時には、マスクやゴーグルに加えて、キャップやガウンなど個人防護具を身に付けます。必要な対策ではありますが、体のつらさや不安な気持ちを抱えている患者さんにその格好で接することに申し訳ない気持ちも。表情が見えづらいので、いつも以上に丁寧な説明や声掛けを心掛けています。そんななか、患者さんから「先生に診てもらえてよかった」と言葉をいただいたときには、患者さんに寄り添える医療者に少し近づけたような気持ちになりました。

コロナ禍で生活は一変しましたが、2年間の研修生活はとても楽しかったです。人に恵まれ、同期や先輩はもちろん、指導医の先生方には大変お世話になりました。安全な医療提供体制の中で研修ができ、特に救急科の研修ではファーストタッチから患者さんを担当し、上級医からアドバイスをいただきながらさまざまな疾患が学べました。

私は幼少期から、難病を持つ兄の付き添いで病院に行くことが多く、自然と医師を志すようになりました。将来は、診断から治療まで一人の患者さんを長く診られる乳腺外科に進む予定です。これまで患者家族として、医療だけでなく介護や福祉のサービスにも支えられていることを実感してきました。医師としてはまだまだ未熟者ですが、広い視野を持って患者さんの生活を支えられるよう、今後も研鑽を積んでまいります。

(取材:2022年1月24日)

 

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