佐藤可奈薬剤師が2025年6月6日・7日に開催された第100回⽇本結核・⾮結核性抗酸菌症学会学術講演会 で2024年度研究奨励賞を受賞しました。

受賞した業績は、⾮結核性抗酸菌症専⾨外来 での薬剤師介⼊について報告した「岡⼭晴れ晴れDOTS*⼿帳と薬剤師介⼊の効果-患者アンケート調査に基づく検討-」です。
当院では外来で結核治療を受ける患者さんを対象に、2013年から県下共通のDOTS⼿帳を⽤いて薬剤師⾯談を実施しています。⾯談では、患者さんが持参する服⽤後の空のPTP シート**で服薬状況を確認したり、当院独⾃の有害事象の聞き取りシートで事象の原因が結核治療薬か否かを伝えて⾃⼰中断を防いだりと、細やかな介⼊を⾏っています。この介⼊⽅法を⾮結核性抗酸菌症専⾨外来へ展開した取り組みが⾼く評価されました。
*DOTS=directly observed treatment, short course :直接服薬確認療法
**PTP シート=錠剤やカプセル剤をプラスチックとアルミで1錠ずつ個別に包装したもの。
非結核性抗酸菌症専門外来担当 呼吸器内科部⻑ 伊藤明広医師より
現在、非結核性抗酸菌症は罹患率ならびに死亡患者数ともに結核を上回っており、今後も増加が予想されています。そのような中、地域の非結核性抗酸菌症診療の質の向上を目的に2022年9月14日に非結核性抗酸菌症専門外来を開設し、現在4年目になります。
⾮結核性抗酸菌症は治療に伴う副作⽤が多く、治療期間が年単位になります。患者さんが治療方針に賛同され、積極的に服薬治療にのぞまれることが治療成功のカギになります。⾮結核性抗酸菌症専⾨外来で治療を開始した患者さんは、佐藤さんはじめ薬剤師による初回服薬指導、以後毎受診時のフォローアップが⾏われ、得られた患者さんの情報がカルテに記載されます。副作⽤を的確に把握でき、確実な服薬状況確認にもつながり、⼤変助かっています。
この取り組みはおそらく⽇本初と思います。学会発表では聴講者の興味関⼼が⾮常に⾼く、多くの質問がありました。受賞は当院の取り組みが⾼く評価されている証拠です。佐藤さんはじめ薬剤部の皆さんに感謝いたします。
受賞をうけてー佐藤可奈薬剤師より
⻑く情熱を注いできた⼤切な取り組みであり、受賞を⼤変光栄に思っております。多職種の⽅々の連携に⽀えられての成果であり、⼼より感謝申し上げます。これからも⼩さな気づきを⼤切にしながら、未然回避と健康増進に貢献できるよう、薬剤師という枠にとらわれず、新たなことにもチャレンジしてまいります。