館内アートめぐり
予防医療プラザ展示絵画紹介
宇佐美圭司(1940-2012)
大阪市吹田市に生まれる。1958年高校卒業と同時に上京。独学で絵画制作を始め、間もなく当時の批評界で積極的な活動を行っていた東野芳明、大岡信に見いだされて、1963年に初個展を開催し、一躍注目を集める。
1966年頃から、『LIFE』誌に掲載された報道写真から抽出した4つの人型-「たじろぐ人」「かがみこむ人」「走りくる人」「投石する人」-で画面を構成するスタイルを手がける。以後、生涯にわたり、4つの人型を複雑に変奏しながら圧倒的な大画面の作品を手がける。
国内外で多数の発表歴を持つ、現代日本を代表する画家の一人である。大原美術館にも初期の作品から、複数の大作が所蔵されている。また武蔵野美術大学、京都市立芸術大学教授などを歴任し、後進の指導にも優れた力を発揮した。
北城貴子
1975年 大阪府生まれ。現在大阪府在住。
2004年 京都市立芸術大学 美術研究科 後期博士課程修了。博士。
大原美術館が実施する芸術家の滞在制作事業ARKO (Artist in Residence Kurashiki, Ohara)の2006年度招聘アーティスト。
風景を前に水彩絵具で幾枚ものドローイングを描くことで、北城は、その空間に充溢する光を捕捉する。長らく、その感覚を抽象的なスタイルで表出していたが、2006年の倉敷での滞在制作以来、画面は具象的なモティーフで構成されるようになった。けれど、その根底となる光への鋭敏な感受性は変わらない。
水野里奈
1989年 愛知県生まれ。現在愛知県在住。
2014年 多摩美術大学 大学院美術研究科 修士課程絵画専攻油画領域修了。
大原美術館が実施する芸術家の滞在制作事業ARKO (Artist in Residence Kurashiki, Ohara)の2017年度招聘アーティスト。
中東の細密画の装飾性や、伊藤若冲の水墨画における筆致が持つ表現力に魅かれ、複数の層が重なり合う緻密な空間を作り上げ「見ても見切る事の出来ない」絵画の制作を目指す。
本作では、倉敷周辺の景観に取材しながら、独自のイマジネーションによって絵画の中に構築された世界観を、複数のドローイングによって提示する。
上田暁子
1983年 長野県生まれ。現在長野県在住。
2006年 武蔵野美術大学 造形学部 油絵学科卒業。
大原美術館が実施する芸術家の滞在制作事業ARKO (Artist in Residence Kurashiki, Ohara)の2012年度招聘アーティスト。
何かの出来事が起こっているような画面である。上田の作品は、常に、そうした物語性と時間の経過が取り込まれるが、近年は、ヨーロッパでのレジデンスを重ね、その造形力は飛躍的に骨太なものとなる。
藤原有里恵
1986年 岡山県生まれ。現在岡山県在住。
2014年 倉敷芸術科学大学 大学院博士課程 芸術研究科 芸術制作表現専攻修了。博士。
数少ない色彩の組み合わせながら、その丁寧な筆の運びで、独特な深みのある空間を生み出す。あたかもその場は、長い時の中で起こった様々な生成や死滅の繰り返えしをも包摂するかのような。
倉敷芸術科学大学に学び、大学院博士課程修了制作展では加計美術館大賞を受賞、2018年には第11回岡山県新進美術家育成I氏賞選考作品展に入選するなど、岡山を基盤に活躍を続けている。